きたさんの奴隷1号はコデラーマン。きたさんの奴隷2号はナガイさん。
ナガイさんは、イクラをほぐしたあと、自分の宿へと帰って行った。雨の中。
なんのためにイクラをほぐしたのか?という話は前に書いた。
ナガイさんが帰ったあと、ナガイさんが居た場所にタバコとライターが置いてあった。
「あっ、ナガイさん、忘れてった!」
僕はきたさんにタバコとライターを渡す。もしかしたら明日取りに来るかもしれないから、きたさん、持っておいて。
「わかったわ」と、きたさんは自分の横のテーブルにタバコとライターを置く。
それからしばらくして。
きたさんがタバコを吸っている。そして言い放つ。
「ナガイさんのタバコ、吸ったったわ」
ナガイさんのタバコの煙をプハーっと吐き出す。
こわいこわいこわい。。。
そして僕とコデラーマンはお芝居に興じる。
明日、ナガイさんがやって来る。
あのぉ、昨日、ここにタバコとライターを忘れてしまったんですけど・・・。
「は?タバコ?タバコってなんや?」
いや、タバコを置いて帰ってしまって・・・
「は?タバコ?そんなもん知らんがな」
きたさんはタバコの煙をプハーっと吐き出す。もちろん、きたさんが吸っているタバコは、ナガイさんのタバコである。
こわいこわいこわい。。。
「なんや?わしがわれのタバコを取ったとでもいうんか?」
いや、そういうわけじゃないんですけど・・・あっ、そのタバコ・・・今お吸いになっているそのタバコ・・・
「なんや?わしがどこ出身か知ってんのんか?」
「アマやで。尼崎やで。アマやで。尼崎やで!なめとんか?」
こわいこわいこわい。。。
コデラーマンと僕の小芝居である。
「アマやで!尼崎やで!」は、お気に入りである。
小芝居を打つコデラーマンと僕を見ながら、きたさんは笑っている。
ナガイさんのタバコの煙を、プハーっと吐き出しながら。
こわいこわいこわい。。。
おわりや!