月命日に、「愛は奪う」を想う事

　　　　　　　　


あのクリスマスの朝、
ポーラちゃんの時間は止まってしまって
生きている私は、
彼女を惜しみ、振り返り振り返りしつつも
新年を迎えました
今日で１ヵ月

夏の再発の知らせからあのクリスマスの朝まで
あっという間の事でした
ネットを通じて始まった１０数年は、
「滅多に会えない」のがデフォルトだったので
この「滅多に会えない」と「もう会えない」の境界が上手くぼやけて気持ちがまぎれる
そんな風にひと月が過ぎました。

大学の勉強が忙しくない限りは
私がどんなに取っ付きにくい記事を上げても、果敢にコメントをくれる人だったので
ブログを書くたびに
これを読んだらポーラちゃんはどう思うだろう？
という習慣は今でも残ります



ところで
有島武郎はその著書「惜しみなく愛は奪う」の中で

愛は自己への獲得である。
愛は惜しみなく奪うものだ。
愛せられるものは奪われてはいるが不思議なことには何物も奪われてはいない。
しかし愛するものは必ず奪っている>

と言っています

なんとなく
「愛」と言われると
シェル・シルバスタインの「おおきな木」における、
愛する者に身ぐるみ与えるリンゴの木のイメージ
なので
「愛は与える」なら想像がつくけれど
「愛は奪う」ってどういうこと？と長年疑問に思っておりました
そして、この命題を理解しようとして何度もこの著作物を読もうとしましたが
何ともまあこれが難解でして
まだすべてを読解しきれてはおりません←コラ

ただ、
「愛」という言葉は自分のサイズに合わないので
「好き」に置き換えてみることにしたらば、
これがなかなかに
わかりやすく変換されるのです

好きは自分への獲得
好きは惜しみなく奪おうとすることだ
好かれている者は奪われてはいるが不思議なことに何物も奪われてはいなくて
しかし、好いている者は必ず奪っている

これについて
例えるなら
「あなたから勇気を貰いました！」という言葉

大好きな歌手や芸能人に対するありがちな想いの代表格ですが
これは有島が言うところの
「奪っている」に相当するものの1つ
ではないでしょうか


さて、
冒頭の主題に話を戻すと
（ポーラちゃんが死んでしまって
もういないなんて信じられない）
（もう、コメントを貰う事もないなんて、寂しい）
今も続く私のこの気持ちは
まちがいなく
純粋な思慕であるのですけれども

あのホスピスで
痛みと恐怖と悔しさと無念と断念の最果てにあっても
礼儀正しく感謝深く
万策尽きて不可避となった死を受け入れ
1人逝った彼女を正しく本気で理解したのであれば
（いないなんて信じられない）
等と言う甘い感傷になど浸れたりはしないはずなのであって

いつだって
北海道においでおいで案内するよと手招きしてくれて
私が書いたブログは毎朝目を通してくれていた
そんな彼女の
自分にとって都合のいい存在だけを切り取って
私はそれを自分の物として取り込み

いつまでも自在に幻想しているのだなあと思うのです



そしてまた
それはそれでいいのだ
とも思っていて

きっと許してもらえる
とも思ってる


にんげんだもの


思慕も追憶も
所詮は自己愛由来

有島先生の
言う通り



今日は
そんな話です




　　　　　　　　　　　　　　　～(￣▽￣)ﾉｼ
















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