ケロりん魂~kerorincon 

より良い明日へ。
素敵に飛びつきすぐに忘れる「ケロりん魂」
「全力で与太話」書いてます(” ̄▽ ̄)ゞ  

先人と花見 ~語らない桜の下で ( ̄ー ̄”)ゞ

2017年04月05日 | 日記
     

母に入ってもらった施設への道中に久地円筒分水を見つけた時はとてもわくわくしました。
その歴史的な遺産の傍らに桜の巨木がひっそりと佇んでいて
その日から私は今日をとても楽しみにしていたのです。


         


昭和16年に竣工したという、当時最先端の技術の結晶と言われる久地円筒分水は
多摩川から取水した二ヶ領用水を、下流の4つのエリアへ用水路の灌漑面積に応じて一定の比率で正確に分配するという画期的な分水施設
徳川の時代から長きにわたって水争いの絶えなかったこのエリアの問題を解決し、以後の収穫高を飛躍的に上げたと言います。
分水の役目を終えた今でもその美しい円筒から水は絶え間なく流れ続けていて
当時の尽力を伝える立て看板のモノクロの写真の中の、
腕を組んで誇らしげに立ち並ぶ男性たちの姿に
これから向かう有料老人ホームの無口な入居者の皆さんを、なんとなく重ねて

「多くを語らなくても
先人の業績は忘れてはいけない」
という気持ちにさせられていた場所でもありました。


         


ちに待った桜が咲いて
私はかねてからの企みを実現させるべく
小型のポットにお湯を詰め、抹茶と割り箸を持って
職場で道明寺を買い求め、
仕事が終わるといそいそと、
自転車を漕いで義母のところに向かいました。

今日は円筒分水で途中下車して
一人花見を決め込む予定で


        

沿線のどの駅からも歩いて来るには少し遠く
忘れられた遺跡のようだった冬場とは打って変わったお祭りのような賑わい
隅っこを探して自転車を止め
運良く目の前で空いたベンチを陣取り
和菓子を取り出し
お湯の入ったポットの湯の中に抹茶を入れて
シェイクして、
裏ワザ千家私流の野点気分を味わおうと思ったところで

「ようやく半分ですな。」

一人のご老人が声をかけてこられたのでした

「今年は少し遅いですね?」
一人花見が二人になりそうな予感に覚悟しながら
私は桜を見ながら答えました。

「二ヶ領とは稲田堤領と川崎領を指すんですよ。」

「ああ!
二ヶ所の領地、で二ヶ領なんですね!?」

このエリアに暮らす誰もが知ってる二ヶ領用水の、案外知らないトリビアに私が思わず食いつくと
「僕はこの分水と同じ年でね。今日は鶴見からコレで来ました」
ツール・ド・フランスにも出られそうな自転車を立てながら、つやつやした老人は自分が健脚な75歳だということを伝えてきました。
私はいよいよ覚悟して
膝の上においた4つ入りの和菓子を分けるようなことになる面倒な展開を恐れ、さりげにバッグに戻しながら
しばしの間
できるだけ沢山この先人から話を引き出し、聴かせてもらうゲームを始めることにしました。
相手の言葉尻の復唱と
適度な相槌だけで人の話をただ聴いてゆく
傾聴。

誰もが知る大企業に10年勤めた後独立して30年事業をしていること
鶴見の第二国道で昔はかくれんぼが出来たこと
終戦直後にはその国道には50もの「タンク」が並んでいたこと、それらは朝鮮戦争に行ってしまったのだろうということ
「50個のタンクには何が入っていたんですか?」
「タンクってのは戦車だよ!」
「戦車!50も?」
「そうだよ」

鶴見に戦車!
その日本を知る人
ああ、ワクワクする ( ̄ー ̄"人
 
30年ほど自治会長や子供会を束ね、交通安全関連の組織の幹部にも関わって
この5月で定年退任となること
退任したら自転車に乗って100名城にチャレンジしたいこと
100というけれど、半分には城がないこと
100名山は果たしたこと
八ヶ岳に山小屋を持っていること、維持費に年間12万かかるのが奥さんの気に入らない事だということ
売りたくても買い手がないこと
谷川岳で山岳仲間が二人亡くなったこと
自分も20歳の時駒ケ岳で遭難したこと

「高校生のね、有ったでしょ。テレビでさ、
引率の先生を槍玉に挙げていたけどあれはね気の毒だよ
なくなった子たちももちろん可哀想だ、
でも、先生も気の毒だ
だって、わからないんだから。
後からだから言えるんだ
知らないから責めるんだ
お前ら指導してみろよ、って言ってやりたいよね。」

「マスコミは
わかりやすい悪者を作りたがりますね・・」


         


「お話している内に、半分だった桜が少し咲いたような気がしませんか?」

風が少しだけ冷たくなって、西に傾いた日差しで桜が白く輝きだしたように見えた頃合いで
私は、そう言う事で私達が長時間話していることをほのめかし
「そろそろ私、姑のところに行きますね」と切り出しました。
「そうですか。それでは」

たっぷり話したはずの老人は、満足気に送り出してくれました。
人は話すことで会合の満足感を覚えるというから、
きっと楽しんでくれたはず。
私は私の知らない風景を
その記憶の中に沢山秘めている先人の話を聞くのが
昔から好きだったので

コレはコレでアリの
ウィンウィンの花見。

「老人ホームの皆さんは殆どか車椅子なんですよ
足が壊れると、記憶が壊れるんですね。
健脚は宝ですね
大事になさってくださいね」


もしかしたら
これから対峙する
失われて二度と再生されることのない義母の記憶と
美しく咲くけれど語らない桜

それだけでは
私が辛かったのかもしれない

半ばボランティアのつもりだったけれど
本当は
ワタシが
その健やかで絵に描いたような豊かな老後を送る姿に
励ましてもらったのかもしれない


いつまでもお元気で


まだまだ花が
咲きますように









今日はそんな話


                        ~( ̄ー ̄”)ゞ






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こんばんは (かめよこ)
2017-04-06 18:35:26
 その後、柏餅は食べられましたか?
立派そうな御老人ですが、人恋しくなるのでしょうかね。
 うちの母も最近、言い間違いが少し気になるようになりました。
ナイツの漫才か!?と思うくらい。
笑えません・・・。
かめよこさま (麦)
2017-04-06 18:59:16
かめよこさまいらっしゃいませ

この年代の元気な方は
とにかく喋りたい!
という方々が多いです
職場のスーパーでも
私よく捕まります
この方のように資産家の方は特に
人の羨む話になりますし
経験が多いので
面白いです

言い間違いだと大丈夫かなあ
もっと、どうしようもない違和感を持って始まったような気がします
毎日人と雑談するのが良いみたいですよ( ̄ー ̄)
あ( ̄ー ̄)ゝ (麦)
2017-04-06 19:04:41
柏餅
食べましたよ
今日、誰もいない桜の木の下で
ゆっくりと頂けました♥
Unknown (きょろ)
2017-04-07 11:08:48
こんにちわ
ランキングからきました。
足が壊れると記憶が壊れる
高齢者が歩けなくなって寝たきりになるとアルツハイマーになってしまうとはよくいいます。
やはり歩くというのは大切ですね。
きょろさま ()
2017-04-07 12:41:36
二度目ましてですね

そうですねえ
最近は歩きすぎてヒザを壊す→弱気になってやめてしまう→
ゆっくり寝たきり
の方も多そうです。
ウォーキングが健康習慣としてメジャーになってしまいましたが
先に筋肉トレーニングをおすすめしたいです。
山を登られる方はそれで

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