まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

サヨナラ、夢の東京オリンピック

2013-05-04 11:18:25 | オリンピック

猪瀬都知事のNYタイムズ取材での不適切発言が
波紋を呼んでいます。IOCが倫理規定で禁止
している他都市の批判、他都市との比較を展開
し、またイスラムの宗教問題にも踏み込んだ
コメントをしてしまいました。それが4月27日
付けのNYタイムズ紙に掲載されたのです。

こちらがその時の記事の原文。
In Promoting His City for 2020 Games, Tokyo’s Bid Chairman Tweaks Others

猪瀬都知事は「競技者にとって一番いい場所
はどこか。インフラも整っていない、洗練され
た設備もないほかの国と比べてみてください」
として、東京の優位を強調しました。また、
「イスラム諸国は共有しているのはアラーだけ
で、互いにけんかばかりしている。また階級の
問題もある」とも述べたことが致命傷でした。

29日には猪瀬都知事はツイッターとフェイス
ブックで、「インタビューの文脈と異なる
記事が出たことは非常に残念だ」また、
「真意が正しく伝わっていない」として、
NYタイムズ側に責任を転嫁したものの、
同紙はただちに「記事には完全な自信がある」
と反論。猪瀬知事は発言を訂正、謝罪しました。

4月30日に猪瀬都知事はフェイスブッック
で、次のように発言しています。

残念ながら、ご指摘の記事は他の立候補都市
について触れたごくわずかなコメントに焦点
があたり、私の真摯で広い意味での2020年
招致への想いは完全には反映されませんでした。
しかしながら、私は自分のコメントの一部が
不適切と認識される可能性があることを認め、
心よりお詫び申し上げたいと思います。


問題の箇所は英文では次のように表記されています。

Unfortunately, the article in question focused
on a small number of comments relating to
another bid city and therefore did not reflect
my sincere and wider thoughts on the 2020
bid campaign.


英文の中の"small number of comments"という
言葉は「ごくわずかなコメント」に対応している
のですが、あいつらはどうでもいいような言葉尻
をとっているだけという責任転嫁の雰囲気が
感じられ、トルコの人たちからしたらいい気が
しません。

IOCは事実関係の確認などを求め、東京側の
招致委は4月30日に竹田理事長名のメールで
「ルールの順守を約束する。知事は他都市に
言及し、IOCルールに抵触する可能性のある
不適切な表現が一部あったことを認め、
謝罪した」と説明。

これを受けて、IOCは1日、東京招致委員会
の説明を受け入れ、処分はしないとの回答を
送ったことを明らかにしました。IOCは
「ルールを守るよう念を押し、この問題は
終結すると東京に通知した」と説明しています。

一見、事件は収束したかに見えていますが、
猪瀬都知事の怒りは治まりません。5月1日
の自身のTwitterで次のように発言します。



「今回の件で誰が味方か敵か、よくわかっ
たのは収穫でした」とつぶやき、さらに波紋
を広げることになります。

そして二日の定例会見。



各社の記者が質問しているのですが、逆切れ
状態で、「だから、これから気をつけると言っ
てるでしょ」と謝罪の気持ちは皆無。また
過去のTwitterでの不適切なコメントを削除した
件に対しても、「知事になってからオリンピック
招致をやりだした。それ以前は関係ない」という
無責任発言。

こちらがその動画です。



一時間以上もあるのですが、この映像を見ると、
猪瀬都知事が謝罪しているのは、IOCに対して
ルール違反だったということのみで、トルコに
対して、イスラムに対しては全く申し訳ないと
言う態度を示していません。また、これで
オリンピック招致にとって大きなハンディー
となることで、迷惑を被ることになる招致
委員会に対しても、夢と税金を託していた
国民に対しても、全く謝罪をしていません。
そして、「世界史を語りあいたい」という
傲慢な態度。世界各国はそれぞれの歴史観を
持っているので、日本の歴史観を語っても
どこまで通じたかどうか...

質疑応答に関しては、猪瀬都知事の自身の
フェイスブックにも出ていますので、ご覧ください。

東京都知事 猪瀬直樹 の部屋

私は、かねてから東京のオリンピック招致
に対しては否定的だったのですが、これで
東京招致はさらに遠のいた感じがします。
ちなみに私のオリンピック関連のブログ記事
はこちらにまとめてあります。

スイスでオリンピックとの接近遭遇

フェイスブックに関する本も書かれている
熊坂仁美さんが、ブログで東京五輪招致の
英語サイトの問題を指摘されています。
マーケティングの分野で著名な著書の
デビット・ミーアマン・スコット氏が、
英語のサイトとしては最悪と指摘している
ことを紹介しています。

「ドラえもんが五輪誘致の特別大使」というセンスは国際的に通用するのか

ドラエもんをキャラクターとして使っている
ことに加えて、英語表記が画一的で全く機能
していないという指摘です。

私も、東京のオリンピック招致は、日本人の
ことしか考えていない気がしていました。
日本人の、日本人による、日本人のための
東京オリンピック。世界のアスリートは
それを盛り上げるための脇役としか考えて
いないような雰囲気。このような国際的
センスだと、今回のことがなくても、無理
だったんじゃないかと思います。

さて、こちらは、イスタンブールの招致サイト。



ISTANBUL 2020

スローガンの"BRIDGE TOGETHER"という言葉
に真摯なメッセージを感じます。東洋と西洋
を繋ぐ架け橋、宗教を超えて文化を繋ぐという
位置づけ。猪瀬知事に象徴される、日本こそが
優れているという時代錯誤の世界観。東京に
オリンピックを招致するという行為がとても
]恥知らずのことのように思えてきます。

トルコの招致ビデオを見て、オリンピックを
招致すべき都市は、東京ではないということが
よくわかります。



国民的支持とはこういうものだというのがよく
理解できると思います。猪瀬都知事には申し訳
ないですが、私は誇りを持って「敵」になりたい
と思います。

こちらもよろしくお願いいたします

にほんブログ村 海外生活ブログ アジア情報へにほんブログ村
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« おもしろアップル新製品?特... | トップ | 映画「レ・ミゼラブル」にお... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オリンピック」カテゴリの最新記事