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詳細解説 戦後70年談話

2015-08-18 23:25:41 | 政治
※「戦後70年談話」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

この記事では先日発表された戦後70年談話「安倍談話」について、詳細に解説しています。
談話全文の後に※を付けた部分について私の解説を書いているので、参考にしてみてください。


戦後70年談話全文
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 終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。

 百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、(※1)植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、(※2)植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。

 世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。

当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。

 満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。(※3)進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。

 そして七十年前。日本は、敗戦しました。

 戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。

 先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。

 戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。(※4)戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。

 何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。

 これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。

 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。

 事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。(※5)植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。

 先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、(※6)インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。

 こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

 ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。

 ですから、私たちは、心に留めなければなりません。
 戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

 戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。

 そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。

 寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。(※7)あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。

 しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

 私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。

 そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。

 私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、(※8)いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。

 (※9)私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。

 私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。

 私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。(※10)だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

 終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。

 平成二十七年八月十四日

 内閣総理大臣 安倍晋三
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(※1)(※2)(※5)
安倍談話において植民地支配という言葉は実に三回に渡って出てきます。
このうちテレビと新聞では(※1)と(※2)について触れないようにし、(※5)しかないかのように報道しているものがありますね。
これは国民に(※1)(※2)に注目されると太平洋戦争に至る経緯として当時白人至上主義が世界を支配し、白人達がアジアの国々を植民地支配していたことに気付かれるかも知れないため、それを恐れているように見えます。
日本が全て悪いように報道していることとの整合性が取れなくなるからです。

村山談話では日本が植民地支配によって非道の限りを尽くしていたように書いていますが、そんなことはないですよ。
たしかにアジアの国々が戦場となり損害を与えてしまいましたが、当時アジアの国々はイギリス、フランス、オランダといった西欧列強によって植民地支配されていました。
この西欧列強の国々と全面対決となったのが太平洋戦争(大東亜戦争)です。
日本が突然極悪国家となりアジアの国々に非道の限りを尽くしたかのような言い方は間違いです。


(※3)「進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。」
今回の安倍談話ではここに至る過程を丁寧に説明してくれています。
ここが村山談話と大きく違います。

村山談話での一文
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」

村山談話では日本が突然戦争への道を突き進む怪物国家になったように書かれていますが、これを当時の国際情勢をもとに詳細に書いたのが安倍談話です。
また、「戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れた」とありますが、白人至上主義が世界を支配していた当時の世界情勢からみて、戦わなければ日本という国は滅んでいました。
かつて「ASEANの旗」という記事に書いたように、あの当時アジアの中で白人至上主義に唯一対抗できたのが日本という国でした。


(※4)(※9)
これは慰安婦のことだと思います。
ただし、朝日新聞のねつ造報道であったことが白日のもとに晒された従軍慰安婦(軍が女性を強制連行してきて無理やり性奴隷として働かせた)ではなく、募集慰安婦のことです。
募集慰安婦は職業売春婦のことで、軍から高い報酬を支払われています。
ただ募集慰安婦であっても肉体的、精神的負担は重く辛い思いをしたのは間違いないため、もうそういうことがないようにしようと言っているのだと思います。
また、敗戦後の日本国内において、朝鮮人、ソ連人、アメリカ人などが日本女性を無理やり性の相手にしていたことも指していると思います。


(※6)インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が
ここでは、「アジアは中国と韓国だけではない」というのを伝えています。
「インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々」とはASEAN(東南アジア諸国連合)のことを言っています。
親日国が名を連ね、「ASEANの旗」に書いたように旗にもそれが表れています。
また、パラオのことも言っているかと思います。
大の親日国です。

「台湾、韓国、中国」の部分では、この並びは台湾を国として認めていて、しかも中国、韓国よりも先に名前が出てきていて、安倍晋三首相の台湾への思いが伝わってきました。
談話発表の時に台湾の名前が出てきて胸が沸き立ちました。
台湾も大の親日国です。

テレビのニュースではよく「アジア諸国の反応は」と言って中国と韓国の反応だけを流し、「アジア諸国が日本に反発しています」と印象操作報道、偏向報道をすることがあるのですが、実際にはアジアは中国と韓国だけではなく、沢山の国があります。
しかも親日国が多いです。


(※7)
これはかなり良いことを言ってくれました。
まさにそのとおりです。
そしてツイッターで良い意見を見かけたので以下にご紹介します。

@sbox_
70年談話、とりあえず「子や孫の先の世代に謝罪を背負わせない」ってのは評価して良いのでは。これに「NO」と言う人は出自で人を差別するレイシストと同じだ。

レイシストとは差別主義者のことです。
談話が発表された8月14日の夜、テレビ朝日「報道ステーション」でキャスターの古舘伊知郎氏とコメンテーターの保阪正康氏が「NO」と言っていたのが印象に残っています。
またこの主張をするのであれば、アジアやアフリカに非道の限りを尽くしたイギリス、フランス、オランダなど西欧列強の国民や、東京大空襲や広島、長崎への原爆投下によって罪もない民間人を大量虐殺したアメリカ国民は未来永劫アジアやアフリカ、日本に謝りなさいと主張していかないと、整合性が取れなくなります。

(※8)(※10)
これは中国への牽制となっています。
(※8)では武力によって南シナ海や南沙諸島を侵略し、日本の尖閣諸島も侵略しようとしていることを牽制しています。
(※10)では中国には自由、民主主義、人権がないというのを言っています。
領土を侵略され中国の一部にされてしまったチベットやウイグル(東トルキスタン)の人々には今も人権を無視した激しい弾圧が行われています。
そして基本的価値を共有する国と手を携えての積極的平和主義とは、アジア太平洋地域の他の国々と協力し、平和を乱す中国の侵略行為を許さないということです。
尖閣諸島を侵略してきても必ず阻止するというメッセージとなっています。


安倍談話をよく読んでいくと、深い意味が込められていることが読み取れます。
総理大臣という立場にあり、諸外国と付き合っていく関係上、例えば西欧列強について私が書いたように露骨に批判することはできなくとも、やんわりと釘を差すような形になっています。
日本を取り戻す一歩となる、良い談話だと思います。


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