コロンビア白熱教室の全5回シリーズが、昨夜(12月25日) 第5回「幸福になるための技術」 を最後に終了となりました。
番組紹介サイトには、
「今100ドルもらうのと1ヶ月後に120ドルもらうのとではどちらを選ぶ?」。これまで教授が行った実験によると、今100ドルをもらうことを選ぶ人がほとんどだった。人間は、目先の誘惑から逃れることができず、論理的な判断力を失ってしまうことがしばしばある。目先の誘惑から逃れる、頼れる自制の法則を教授は次々に提示していく。
皆、幸せになりたいと願っている。それは人の本能である。でも幸せになるのは簡単ではない。最新の科学実験の研究結果を見ると、人は自分が進もうとする道に、つまづくための石を自ら置く習性があることが分かってきている。いかにして自らの限界を知り、障害物を回避し、幸せを獲得するための選択の力を強化させるか、その方法を考えていく。
と紹介されています。
「幸せになるための技術」
幸せとは何かと問われると多種多様な幸せ観があります。直感と理性のバランスを考え幸せを自分おものとする方法が語られました。
人間は誘惑に弱い。シーナ・アイエンガー教授は次のように語っていました。
【シーナ・アイエンガー教授】
一般的な方法は、誘惑とのバランスを取ること。
直感はこれが欲しいこれが欲しいと言ってきます。
直感が欲することを全て拒絶していたら、人生は楽しくなくみじめで、逆に理性はいい子にしろいい子にしろとささやく。
この二つをどのようにすり合わせるか?
お奨めの戦略は、あなたにとって大事なものは何かを知ること。
余りにも自分をコントロールしすぎて理性に従ってばかりいたらなんの楽しみもない人生となってみじめな気持になってしまう。
自分にとって本当に大事なものは何かを知り理性を使ってルールを守り、状況に対応できるようにするには自分をコントロールする能力を直感と同じレベルで発動させればいい、つまり習慣にすればよいのです。
セルフコントロールを選択ではなく習慣にすることによってのみセルフコントロールは直感と同じレベルで発動し、あなたはすべきことができるようになるのです。
幸せになるっためにはどんな選択をすればよいのか?
ここで大きな問題となるのは、「どうやって直感と理性とをすり合わせるか?」ということです。
前に話した情報に基づいた直感の話しの中で情報と理論に裏打ちされたことを何度も悔い吏返し実践するうちに、それが段々と直感のようになって行く。この理性に裏付けされた分析こそ直感に必要なものだ、という話をしました。
でもこのやり方は、幸せとは何かという問題では使うことができません。このやり方はパフォーマンスの結果が数値化され、測定可能な形で出てくるときにしか使えないのです。
幸せは常に変化しています。ではどうしたら自分により意味深い幸せへと導く決断ができるのか。直感が教えてくれるのは、あなたがたった今欲しいものは何かという情報です。
直感はあなたが明日あるいは明後日欲しくなるものは教えてくれません。直感は今この瞬間に欲しいものしか教えてくれないのです。ません。
理性は何を教えてくれるのか?
あなたが欲しがるべきもの、明日、明後日、十年後のあなたが欲しくなるであろうものを教えてくれます。
何を欲しいと思うべきかを計算するに当って、理性は測定可能なもの、数値をより重く扱う傾向があり、それらを客観的な寂度で計算します。ですが、あなたの直感にとって意味のあるものを測定する尺度はもっていないのです。
ここに問題があります。つまり明日のあなたを幸せにするものは何か、については解らないのです。
結婚をした方がいいのか、しない方がいいのか?
Aという仕事を選ぶべきか、仕事Bを選ぶべきか?
子どもを産むべきかどうか?
何が私を幸せにするのでしょう。そこで私たちは立往生してしまいジレンマを抱えることになってしまうのです。
とはいえがっかりする必要はありません。なぜなら限界を認識することで私が今話したより上手に選択をするようになるからです。
あなたが何かを選ぼうとしているとしましょう。二つの仕事のうちどちらかを選ばなければならないとします。その時どうやって選びますか?
自分の心の中だけで決めるということはありません。私たちは、選ぶという行為は個人を掘り下げることだと思いがちですが、外の世界を見ることがとても役に立つのです。
外の世界を見るとはどういうことか? それは他の人の選択を見ることです。Aという仕事を選んだ人を見、その結果どうなっているかを観察する。そうすればあなたは自分がその仕事を選んだ場合の数年後の自分の未来を垣間見ることができるわけです。
Bという仕事を選んだ人を見てみる。あるいは結婚した人を見る。しなかった人を見てみる。でも彼らに直接「幸せですか?」と聞くのは意味がありません。人間は自分の選んだことに順応するものなので大抵「幸せだ。」と答えるからです。
ですから彼らを観察し誰が幸せそうに見えるか自分の直感に聴いてみてください。直感に問いかけて、こっちは幸せそう、あっちは幸せそうじゃないと結論を出せばよいのです。
その結果あの人は幸せそうだ、という答えが出たらあなたもその人と同じ経験をしてみると幸せになれるかもしれません。
理性的な分析は答えを出すのに役立ちます。でもこれまでの講義でお話しした個性のバイアスの罠に気をつけてください。私たちは皆他人とは違うと思っているけれども、実際はそれほどの違いはないのです。
自分は他人とそう変わらないと前もって自覚しておくことはいいことですし、生きていく上で役に立ちます。人がやったことでネガティブな結果が出たことは、あなたがやってもダメな可能性が高いのです。もしダメそうだと思ったら、もしネガティブな結果が出てしまったら、それに対処する方法があるだろうかと考えてみてください。
もしないのだったら、あなたにとって正しい選択ではないのかも知れません。
私たちには直感と理性という二つのツールが与えられています。直感と理性を使い自分の外の世界を見ることで、長い目で見れば何が自分を幸せにしてくれるのかを突きとめることができるのです。しかしそのようにして選んだことでも自分の選択を修正しなければならないなったらどうしようかと心配になることもあるでしょう。
いいのです。後悔することは当たり前だと思ってください。科学的なリサーチによって人間はしなかったことを後悔するのと、してしまったことを後悔するのとはその割合が2対1であることが解っています。
実際に選択する前にある程度分析したものであればチャレンジする価値がある場合が多いのです。私たちは選択をしたら仕事は終わりだと思いがちですが、実際はそこからが始まりです。
自分がした選択を成功させるにはその選択を成功させるための選択を日々重ねていかなければなりません。
科学の助けを借りることで、私たちはよりよい選択をすることができます。なぜなら選択が、成功する確率を上げられるからです。
選択という行為の本質は芸術です。なぜ芸術家というとその人その人の人生で、選択の結果は違ってきますし、全員が同じことを成し遂げたいと思っているわけではないからです。
それに他の人から学ぶことはできますが、同じ方程式にそってやって行けばいいというものではありません。
人をまねして同じ選択をしても結果が同じとは限りません。選択を成功に導くには、あなたが自分の心のなかをよく見つめることが必要です。その過程で知りたくなかった自分の一面を発見してしまうかも知れませんが、それをよりよい選択に活かしていきましょう。
<今回の講義でアイエンガー教授が明らかにした「幸せになるための選択」>
1 数値化できることに惑わされないこと。
それには直感が上げる声を聞き逃さないこと。特に障害を避けることに対して直感の信頼性は高い。
2 時として私たちは欲しいものが解らなくなってしまう。
眼の前の物に直感は弱いからです。
将来のことを考えられるのは理性だけ。
直感と理性のバランスが重要。
3 幸せを求めると兎角物やお金に目標が向かいがち、その幸せの中身をもう一度考えてみること。
物やお金は手段であっても、本当の目標ではありません。幸せをもたらす本当に価値があることにお金は関係がないことが多いのです。
4 直感はいつも誘惑に負けやすい。
理性によって計算して振る舞っているかに見えていても、その時の直感にそそのかされ間違った選択に導かれてしまいます。
直感が下そうとする選択には、明日のことは考慮されていないからです。
<以上>
歴史上の偉人は皆どこかで困難な選択をのり越えてきた人たちです。1回目の講義で私は、現代社会で成功した人の成功の鍵となった資質は他の人が選択の余地はないというところに成功を見い出す資質だと言いました。
しかし成功した個人に共通する資質はもう一つあります。
それは目的を成功させるために、選択という芸術を実践していく強い意志の力です。私たちの存在も芸術だと考えることも出来ます。私たちは選択をすることで、傑作をつくり上げていきます。
決断を下すごとに自分という人間の姿を、石から彫刻を掘り出すように作り上げていくわけです。
私たちは皆、選択という進化を通してあがていくように自分自身を発見するための彫刻を続けているのです。私たちが今日、何を選択してもいきなり人生が変わるとは考えられません。しかし選択を日々積み重ねることによって、私たちは人生を変え満ち足りた人生へと近づいていけるのです。
私は自分が何者かを発見するために選択をするのです。そしてそのプロセスにおいて私たちは最も美しい唯一の自分をつくり上げることができるのです。
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選択は芸術である。『選択の科学』は、英語では『The Art of Choosing』と書かれています。その意味するところがはっきりと解る最終講義でした。
最後の15分を起こしました。坂の上の雲を観たり、2000年前の大震災を観たりと興味がある番組が目白押しで参りましたが、大変感動的な5回シリーズでした。
今朝は雪、積雪で松本市内まで大変ですので早めに出勤を開始したいと思います。ということで落ちがあるかもしれませんがメモ代わりに最後の重要な部分を起こしました。
再放送していたので
じっくり見ちゃいました。
おもしろい(興味深い)内容でした
コメントありがとうございます。
自分を彫り起こす。選択とは芸術である。
未だに最終講義を聞いています。
たくさん書きたいことがある興味尽きない番組でした。
見たのですか、友達にうまく説明出来なかったので、これを見るように話します
人生を変えるお話でした!
コメントありがとうございます。今朝PCを開けたらコメントがあり急きょ内容を変えて、
「選択の科学」と「人生は物語り」について
という見出しの記事をアップしました。多分私よりお若い方だと思います。今の求めの態度はとても素晴らしいものだと思います。
「選択の科学」から多くを学んで我が人生に生かしてください。