老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

旧暦併用のススメ 

2018年02月12日 20時12分34秒 | その他
 今日の毎日新聞のオピニオンという欄に金田晉(ススム)氏(美学者)の「旧暦併用のススメ」という記事があり、興味深く読ませていただきました。
以下、この記事からの引用を交えながら述べさせていただきます。

 日本でも江戸時代まで使用されていた「旧暦」は何となく、「太陰暦」と混同しがちですが、少し違います。
月の動きに基づく太陰暦そのものではなく、太陽・月・地球3者の運行を基準にした太陰太陽暦と呼ばれる一種の“複合歴”で、生活者が生活や労働がし易い太陰暦と、季節がずれにくい太陽暦とを組み合わせたもののようです。

 即ち、地球が太陽を一周する約365.25日を基準とする新暦(太陽暦)と、約29.5日で地球を一周する月を基準とする太陰暦では、年間約11日の誤差が生じますが、これを10年間に7回の閏(ウルウ)月を挿入することで調整しています。

 現在でも、この旧暦は完全に無くなったのではなく、農業では「24節気」「72候」に基づいて作業することが多いですし、漁業でも干満の時期を把握するために旧暦を大事にしています。
更に、季節感を大事にするお茶やお花の世界でも旧暦の方が親しみやすいようです。


 その他にも、私たちの生活でも、新暦よりも旧暦の方が違和感の少ないものも結構あります。例えば
◆1月7日のこのブログでも書き込んだように、七草粥は1月7日ですが、新暦の1月7日ではまだ春の七草を入手するのが難しく、止むを得ずに温室栽培の野草をスーパーで購入することになります。
旧暦の1月7日(新暦の2月22日となります)なら、もう少し簡単に自生のものが手に入るでしょう。

◆7月7日の七夕も、新暦の7月7日は大抵が梅雨空になるのですが、旧暦7月7日(今年は新暦の8月17日)では夜空の高い所にあり観やすい。

◆更に、桃の節句(旧暦3月3日=新暦4月18日)、端午の節句(旧暦5月5日=新暦6月18日)や重陽の節句(旧暦9月9日=新暦10月17日)なども、やはり旧暦の方がその節句の花(桃・菖蒲・菊)が身近に感じられるでしょう。

 更に、金田氏は旧暦を通じて「月」をもっと身近に感じるとともに、月の引力を利用した「潮力発電」の活用も訴えられています。


 最近は普通の家庭でも冷暖房が進化すると共に、冷蔵庫に頼る快適な生活に慣れてしまい、ややもすると季節感が非常に薄らいできているのは事実ですが、私は園芸や自然の移ろいの写真を趣味としていますし、スポーツ等も外出する機会が多いので、このコラムの記事に同感する部分が多いです。

 金田氏が言われる通り、何も旧暦に戻せという極論ではなく、新暦で生活しながらも旧暦を意識することで、変化に富んだ季節を感じられる日本独特の文化がより身近になるでしょうし、自然と共存した祖先たちのエコ精神が学べるのではないでしょうか。(まさ)


追記:
◆金田氏の「美学者」という初めて聞く肩書に少し戸惑いましたが、“「現象学」という哲学的な思考から、暦という時間の中に隠された日本的生活の美的感動にたどりつた”という説明がありました。

◆日本では明治5年11月9日に、「12月3日をもって、明治6年1月1日とする」改暦令が公示されました。この時点での変更については、新政府発足に伴う財政悪化を避ける為に12月と翌年の1ヶ月分、併せて2ヶ月分の公務員給料を削減する意味もあったとされています。(旧暦では、明治6年は閏月があり13ヶ月となる)