もののけ そこのけ あそこのけ

見顕屋(みあらわしや)による
妖怪うきうきウォッチング!

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なんでもやります! よろず見顕屋

2010-03-07 | もののけそこのけあそこのけ
近所の肉屋から自慢のコロッケを2つ買った。
牛肉は国産黒毛和牛を使っているというから、かなりうまいはずだ。

店主が、商店街のチラシにできたてのコロッケを包む。
「はい、お待ちどう!」

商店街を抜けると、角のビルディングの屋上が、道満と僕が見顕屋をやっている事務所。
見顕屋というのは、そもそもは極道に雇われた下請けのような仕事だ。

つまり、チンピラがやってきて、「今夜、どこそこで賭場が開かれるので、賭場荒しが出たら見顕しておくんなせえ」と、依頼する。
そこで、僕らのような見顕屋が賭場へ赴き、いんちき博打なんかを暴くわけだ。

そんな見顕屋の普段の仕事はというと、たとえばお祭りの出店で、うさんくさいおもちゃを売ったり、スーパーの特設会場で手品をしたり、神社が忙しくなる結婚シーズンや、年末年始などは、そこでアルバイトなどをして生業を立てていた。

でも、見顕屋というのは本当の姿ではなくて、本当は僕らは陰陽師なのだ。
なかでも、僕と、道満は悪霊祓いの術を体得した数少ない陰陽師といっていい。
だけど、最近は科学万能の時代。
妖怪退治や魑魅魍魎のたぐいは、悪事を働かなくなり、ほとんど表には出てこなくなってしまった。

たまに、テレビや新聞なんかで、世間を騒がせるような事件があって、僕らは笑って見ているんだけど。
たとえば、未解決の通り魔事件などは妖怪かまいたちの仕業だったり、
振り込め詐欺の大本には狐火が憑いていたりする。

彼らが、それを妖怪の仕業だと認め、僕らに妖怪退治の依頼をしてきたなら、
出向いて行って、処理することができるだろうけど、だけど、今の世の中じゃあ、
僕らにはどうすることもできないのだ。

「ただいまあ」
僕は、そんなことを考えながら事務所へやってきた。
道満の姿はなかった。
だけど窓際に、真っ赤な着物を着て、お姫様のような髪形をした背の高い女が立っていた。

すらりとした女は、僕が入ってきたことに気づいて、振り返ると、にたりと笑った。
顔は、おしろいを塗って真っ白になっており、それに反して唇は真っ赤っか。
まるで、おかめだ。

「安倍君、僕はもうヘトヘトだよ」
その女が、話しかけてきた。
「あ! き、君はもしかして道満かい?」
「しらじらしいんだよ、安倍君」

「あはははは! いったいどうしたんだい? その格好!」
僕は、思わず笑ってしまった。
「笑いごとじゃないんだよ、安倍君。今日の仕事だ」
「しかし、君が女装するなんて・・・・・・ぷぷぷ!」
「女装じゃないんだよ! これはチンドン屋じゃないか。安倍君、本来は君の仕事なんだよ、こういうヨゴレは」

道満は、自尊心の人一倍強い男だから、チンドン屋なんてやったら、しばらくは傷ついてしまうだろう。
「わるかったよ。さあ、機嫌なおして、ほら、コロッケでも食べてさ」
僕は、道満にさっき買ってきたコロッケをチラシに包んで渡した。

道満は、コロッケを一口で頬張ると、包んでいたチラシを広げて僕に投げてきた。
「見たまえ! 僕がプライドをかなぐり捨てて一生懸命働いた結果がコレさ!」
僕は怒り狂う道満が投げてきたチラシを受け取る。

「商店街決算大売り出し・・・・・・これが?」
「そのチラシはね、さっき僕が、チンドン屋をやって配ったチラシさ!安倍君!」
「へえ」

僕らは、陰陽師だ。
悪霊祓いなどを生業としている。


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