東京国際フォーラムに相田みつを美術館はあります。相田みつをの作品は常設の美術館で触れることができます。今年は相田みつを没後20周年を記念して金子みすゞとコラボレーションで特別展が開催されています。この二人は、震災復興に寄与する作家として注目を浴びています。金子みすゞは詩人です。26歳でこの世を去ってしまい、埋もれていた作品が世に広がったのは最近のことです。僕が知ったのは大人になってからで、それでも時間が経ちました。詩人の作品を展示するなんて無茶があるなと思って見学すると、直筆の詩を拡大して絵画のように壁に貼って展示してありました。もちろん印字されたものも併記してあります。「こだまでしょうか。いいえ。誰でも。」震災直後のテレビはどのスポンサーもCMを控える行動をとったために、一日中公共広告機構のCMが流れていました。その中で、金子みすゞの詩を題材にしたCMが反響を呼ぶことになり、震災復興と重なり合うことになった気がします。金子みすゞの詩は、あどけないテーマの中に瑞々しい心を素直な気持ちで表現したものが多く、どれも分かり易い文章だから簡単に書けそうですが、実は書けないものだと僕は思っています。忘れていた無垢な気持ちとでも言っておきましょうか。金子みすゞの作品を味わうことに抵抗感があった僕ですが、震災後には気持ちが変わったのか心に響いてきます。同じように相田みつをの作品も、分かり易く単純明快でありながら、真似がし辛い作品が多い書家です。僕はあまり詳しく知らなかったのですが、ここへ来ていろいろ勉強することができました。10代の頃から短歌と書道に精通し、その才能は開花しながらも独自の道を選び、相田みつをの世界を作り上げた人だと初めて知りました。金子みすゞとの共通点はあるにしろ、相田みつをには、山伏が滝に打たれて境地を会得するようなプロセスが感じられ、しかも自分自身はその境地と一致せず、かくありたいと願う立場で書いているのに対し、金子みすゞは、自然そのままの自分をストレートに表現して書いている違いがあります。震災で卒業証書が流され、このままでは生き残った卒業生に渡す物がないから、相田みつをの色紙を渡したいと願い出た小学校があり、急いで用意したのが「願」と一字だけ書かれた作品だったと紹介されているのを見て、言葉の重みを改めて感じました。「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」これを有名にしたのは今の総理大臣。
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まだまだ復興はそう簡単にはすすんでいないようですね。
地震の揺れに慣れることも怖いなぁ。
言葉で伝わる、重みありますね。
力を与えてくれそうです。
この震災で失ったものはまだまだ…。
日常を平穏に過ごす私には想像を絶することです。