ラファル・マズール+キア・ニューリンガー『Diachronic Paths』(Relative Pitch Records、2013年)を聴く。
Keir Neuringer (as)
Rafal Mazur (bass g)
ニューリンガーのサックスとマズールのベースギターとのデュオ。単なるストイックな即興のぶつかり合いではなく、また、どや顔での技術のショーケースでもない。各々がソロ・パフォーマンスを展開しながら、相手のことも常に気にかけているような、不思議な感覚である。
とくにニューリンガーについて、曲によってみせる貌の違いが面白い。「Second Path」では割れた音によるマルチフォニック・サウンド。「Third Path」では循環呼吸。「Fifth Path」ではエチュードにも聴こえる執拗な繰り返し。「Sixth Path」ではささくれた底辺での蠢き、ときに顔を出す傾奇者。
そして、マズールのベースギターがこれ見よがしでない闊達さであり、常に追求というものを思わせる。
半年以上前に「JazzTokyo」誌のコラムを翻訳しておきながら、そのレビューに耳と脳とが引っ張られるのではないかと思い、いままで聴かずにいた。あらためて、ジョン・モリソン(フィラデルフィアのDJ・プロデューサー)による文章を読みかえしてみると、確かに納得できる。