Sightsong

自縄自縛日記

リー・コニッツ『Frescalalto』

2017-03-25 14:52:24 | アヴァンギャルド・ジャズ

リー・コニッツ『Frescalalto』(Impulse!、2015年)を聴く。

Lee Konitz (as, vo)
Kenny Barron (p)
Peter Washington (b)
Kenny Washington (ds) 

いまになってインパルス移籍。コニッツとインパルスとはどうもイメージが重ならない。聴いてみると、何のことはない、レーベルが何であろうとコニッツはコニッツである。

ケニー・バロンをはじめとするサイドメンのプレイは申し分ない。しかしとにかくコニッツだ。ベンドして音色がよれまくり、エアを豊かに含んで浮遊感があり、そして、年齢のせいか、ときに弱弱しい。それらがすべてリー・コニッツという偉大な音楽家の音となっている。まったく特別な盤でもないのに、聴いていると不思議な感慨で涙腺がゆるんでしまう。

●リー・コニッツ
リー・コニッツ+ケニー・ホイーラー『Olden Times - Live at Birdland Neuburg』(1999年)
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、1999年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年) 
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』(1995年)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』 (1978、83年) 
アート・ファーマー+リー・コニッツ『Live in Genoa 1981』(1981年)
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』(1980年) 
リー・コニッツ『Spirits』(1971年)
リー・コニッツ『Jazz at Storyville』、『In Harvard Square』(1954、55年)


渡辺香津美+谷川公子(Castle in the Air)@本八幡cooljojo

2017-03-25 09:06:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

本八幡のcooljojoに大スター・渡辺香津美が来るという。しかも響きのいいハコ。これは行かねばならぬと駆けつけた(2017/3/24)。

Kazumi Watanabe 渡辺香津美 (g)
Koko Tanikawa 谷川公子 (p)

パートナーとの谷川公子とのデュオ「Castle in the Air」。よく考えたら、カズミのライヴを観るのは、『おやつ』(1994年)リリース後の新宿ピットイン以来のような気がする(記憶が曖昧)。何でも、谷川公子の曲もその盤から演奏しているようである(「Mission St. Xavier」)。

カズミはギターを4本持ち込んだ。シンセのようなヘンな音が出るものなどもあったが、半分はガットギターによる演奏。それにしても冗談のように巧い。まるで刺激があるサウンドではないが、ともかくもリラックスする。

曲は、ラルフ・タウナーの「Icarus」、「G線上のいるか」(実は「On Green Dolphin Street」)、ラリー・コリエルの「Zimbabwe」(カズミはコリエル、ジョンスコ、ジョー・ベックの演奏をコピーしており、初対面のコリエルに驚かれたという)、ジャンゴ・ラインハルトの「Nuage」~「Minor Swing」、エグベルト・ジスモンチの「Infancia」、映画音楽「New Cinema Paradise」、そして、「Light & Shadow」、『おやつ』でラリー・コリエルと共演した「Nekovitan X」、「Mission in the Sand」、「Mother Land」、「Eagle's Eye」、「Beautiful Village」、「Sea Dream」といったかれらのオリジナル。

カズミがここで演奏したのは千葉県在住ということもあるが、かつて師事した高柳昌行のアルバム名を冠しているからでもある。中牟礼貞則に師事し、レコードも出したあとになって高柳塾に入ったとき、さぞ怖い人かと思いきや、塾生にスイカを振る舞って「このスイカ、イカスだろ!」とベタなダジャレを言ったのだとか。高柳塾では作文も書かされ、また、アドルノなども読まされたのだという(全然何が書いてあるかわからなかったと笑っていた)。