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是枝裕和監督『海よりもまだ深く』

2017年09月07日 00時36分18秒 | 映画
是枝裕和監督『海よりもまだ深く』を見た。
題名はテレサ・テンの「別れの予感」という曲の歌詞の一部で、このタイトルの付け方は『歩いても歩いても』と同じ。

この監督の特徴で、最近は「アレ」を台詞によく使う。「ごはんをアレする」とか言うときの「アレ」。
確かに普段の生活では言うような気がするが、こんなに言うかなというくらい言う。

真木よう子は不機嫌な妻の顔がうまい。
不機嫌なときの妻というのはよくあんな顔をする。「そんな顔すんな」と思う。

樹木希林の映画で、ずっと見ていると樹木希林が自分の母親のような気がしてくる。
こんな状況になったら、こんなこと言うだろうな、ここで泣くだろうな、という気がする。いつまでも息子のことを思って、別れた奥さんと息子がヨリを戻してくれたらいいなとずっと思っているんだろうなと思う。
しかし、インスタントコーヒーを真木よう子に出そうとするときに「違いの分かる人だと困っちゃうけど」みたいな、昔のCMを踏まえた懐かしいことはうちの母親は言えないだろうなと思う。

阿部寛がほんとうに駄目な男で、こんなお父さん・夫は嫌だなと思う。
しかし、母親や元妻や姉から女の意見で責められるのだが、必ずしもそれが正しいというようには描かれていない。
男の意見もあり、女の意見もあり、というふうに描かれる。決着はつかない。
父親の遺品の白いシャツを着て(いやその少し前に元妻との別れを決意するあたりから)、少し生まれ変わった感じに描かれる。

とてもいい映画で、いい場面やいい台詞がたくさんあったような気がする。
すぐに忘れてしまうので、何度でも見たい。
樹木希林が珍しく泣く場面があり(泣いているのかもしれないが他の映画で見た記憶がない)、良い場面だった。

言い忘れるところだった。池松壮亮は声がいい。
『永い言い訳』にも出ていたが、池松壮亮の声は印象に残る。とても好きだ。

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