『 ちょっとお散歩に・・・ 』
今回ご紹介するこの『ちょっとお散歩に・・・』、思わぬことからつい最近開いた聖路加個展で初めて公に展示することになった。
この作品を描いたのは、画像をよ〜く見ていただければお分かりの通りの1999年・・・。
当時は、今まさに銀座のボザール・ミューで開催中の“黒猫展”に初めて出品させていただいたばかりの頃で、まだそれから先のことは海の物とも山の物ともつかない状況だった。
赤い首輪をつけているように飼い猫がモデル。 しかし肖像画として依頼されたというわけではなく、たまたまいただいた写真をもとに、あくまで私自身の勉強として描いたものだった。
だから・・・というわけではないが、展示会に出品するきっかけのないまま、つい最近まで作品置き場の中に埋もれたままになっていた。
聖路加個展の時は搬入直前までいつもバタバタ・・・。 展示を予定していた作品を慌ててかき集めてトラックに積み込んだ。
ギャラリーで開梱し始めた時、タイトルを記した紙が貼っていない箱を見つけて、「あれっ???」
その箱の中にあったのが、この『ちょっとお散歩・・・』だった。
いや、正確に言うと、その時点ではまだこのタイトルはついていなかった。
練習のつもりで描き、とりあえず額に入れたものの、タイトルどころか展示するための紐さえ付けていない状態だったのだ。
「なんでここに居るの?」
予想外のコの登場に呆気にとられながら、思わず心の中で呟いた。
特別な理由など無いのは分かっている。 ただ単にバタバタの中で間違えてしまっただけ・・・。
一瞬そのまま箱のふたを閉めようとした・・・が、(まぁいいか、せっかくここに来たのだから)と、小品群を並べた長机の奥の壁に立てかけて置くことにした。
個展がスタートしてから、何もないのもおかしいから・・・と、直感で思いついたタイトルを付けた。
「ちょっとお散歩に・・・」
絵の中から、その柄には珍しいオッドアイで、私に向かってそう語りかけているように思えた。
そうだよね・・・、たまには散歩ぐらいしたかったんだね。
せっかく絵のモデルになったのだから、みんなに見てもらいたかったんだね。
長い間箱の中にしまったままで、ごめんね・・・。
けっして目立つ場所に展示したあったわけではなかったが、不思議に人気を集めていた。ついには最終日になって、T さんという新しい飼い主さんの元でお世話になることに・・・。
「このコには名前がついているのですか?」
T さんから訊かれた私は、こう答えた。
「新しい名前を付けてあげてください」
ニコッと笑顔を浮かべて頷いたT さんのやさしい表情が、私をホッとさせてくれた。
その瞬間、私は今まで何度となく味わってきた素敵な出逢いの喜びと一抹の寂しさと共に、これまでには感じたことなない不思議な気持ちに包まれた。
ふと思った・・・。
私が間違えたんじゃない。
私がバタバタしている隙を見て、このコが自分から紛れ込んだのだ。
待つのではなく、自ら動いて未来を切り開くために・・・。
今回ご紹介するこの『ちょっとお散歩に・・・』、思わぬことからつい最近開いた聖路加個展で初めて公に展示することになった。
この作品を描いたのは、画像をよ〜く見ていただければお分かりの通りの1999年・・・。
当時は、今まさに銀座のボザール・ミューで開催中の“黒猫展”に初めて出品させていただいたばかりの頃で、まだそれから先のことは海の物とも山の物ともつかない状況だった。
赤い首輪をつけているように飼い猫がモデル。 しかし肖像画として依頼されたというわけではなく、たまたまいただいた写真をもとに、あくまで私自身の勉強として描いたものだった。
だから・・・というわけではないが、展示会に出品するきっかけのないまま、つい最近まで作品置き場の中に埋もれたままになっていた。
聖路加個展の時は搬入直前までいつもバタバタ・・・。 展示を予定していた作品を慌ててかき集めてトラックに積み込んだ。
ギャラリーで開梱し始めた時、タイトルを記した紙が貼っていない箱を見つけて、「あれっ???」
その箱の中にあったのが、この『ちょっとお散歩・・・』だった。
いや、正確に言うと、その時点ではまだこのタイトルはついていなかった。
練習のつもりで描き、とりあえず額に入れたものの、タイトルどころか展示するための紐さえ付けていない状態だったのだ。
「なんでここに居るの?」
予想外のコの登場に呆気にとられながら、思わず心の中で呟いた。
特別な理由など無いのは分かっている。 ただ単にバタバタの中で間違えてしまっただけ・・・。
一瞬そのまま箱のふたを閉めようとした・・・が、(まぁいいか、せっかくここに来たのだから)と、小品群を並べた長机の奥の壁に立てかけて置くことにした。
個展がスタートしてから、何もないのもおかしいから・・・と、直感で思いついたタイトルを付けた。
「ちょっとお散歩に・・・」
絵の中から、その柄には珍しいオッドアイで、私に向かってそう語りかけているように思えた。
そうだよね・・・、たまには散歩ぐらいしたかったんだね。
せっかく絵のモデルになったのだから、みんなに見てもらいたかったんだね。
長い間箱の中にしまったままで、ごめんね・・・。
けっして目立つ場所に展示したあったわけではなかったが、不思議に人気を集めていた。ついには最終日になって、T さんという新しい飼い主さんの元でお世話になることに・・・。
「このコには名前がついているのですか?」
T さんから訊かれた私は、こう答えた。
「新しい名前を付けてあげてください」
ニコッと笑顔を浮かべて頷いたT さんのやさしい表情が、私をホッとさせてくれた。
その瞬間、私は今まで何度となく味わってきた素敵な出逢いの喜びと一抹の寂しさと共に、これまでには感じたことなない不思議な気持ちに包まれた。
ふと思った・・・。
私が間違えたんじゃない。
私がバタバタしている隙を見て、このコが自分から紛れ込んだのだ。
待つのではなく、自ら動いて未来を切り開くために・・・。
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