元気の源

猫が大好き、動物が大好きな、パステル画家・山中翔之郎のブログです。

ルーティン

2012年04月03日 | My Works −我が家の元さん−

完成したばかりで、まだタイトルも付いていません。
19日にアップしたデッサン2点のうちの一つがこんな作品になりました。


ところで・・・、この絵の中の元さんのヒゲ、何本あるか分かりますか?
改めて数えてみると、人間の眉毛にあたる毛も入れると50本近くになります。
「このヒゲはどうやって描くのですか?」
個展のたびに必ず何回となくいただく質問・・・。
きっと今度の個展中にも、この絵をご覧になった方から同じ質問をいただくことになると覚悟しています。
だから・・・前もって・・・というわけではありませんが・・・。

制作の一番最後に先をとがらせた白のパステル鉛筆を使い、息を止め、神経を集中させて、「エイッ!」とばかりに描き入れます。
しかし、柔らかいパステルが芯なので、あっと言う間に減って先が丸くなってしまいます。 
1本のパステル鉛筆で描くことができるヒゲは4〜5本が限界。 無精をしてそれ以上続けて描こうとすると、妙に太くて締りのないヒゲになってしまい、ガックリ・・・。
一旦描いたヒゲを完全に消すのはまず無理。 ただでさえ気合と共に力も入っているので尚更です。
だからと言って、数本のヒゲを描くたびに鉛筆の先をとがらせていたのでは集中力が途切れてしまいます。
そこで私は新しい作品を描き始める前のルーティンとして、必ず鉛筆削りをします。
白だけでも最低10本・・・。 先が丸くなったそのほかの色も併せると、平均して30本近くをカッターナイフを使って丁寧に削ります。
電動、手動にかかわらず、鉛筆削り機はダメ。 芯が柔らかいので折れてしまう確率が高いから・・・。
それに・・・、実はこの鉛筆削りの時間が、私にとっては気持ちを集中させるための貴重なひとときになっています。
芯を折らないように注意深くカッターの刃を押しながら、これから描こうとしている作品のイメージを頭に浮かべ、モデルのコ(今回はもちろん元さん)との会話を楽しんでいるのです。
まさに、けっして欠かすことのできないルーティンなのです。

ただ・・・、大量の削りカスを見るたびに思うことがあります。
使った分よりも削り落とした方が多いのでは・・・と。
しかし、生き生きとしたヒゲを描くためには、それも必要なのだと自分を納得させています。


個展まであと二週間。
きっとギリギリまで・・・、このルーティンを繰り返しながら元さんの元気なヒゲを描き続けます。
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星になって・・・

2012年03月26日 | My Works −我が家の元さん−
                 『 星になって・・・ 』


三間後に迫った個展のために描いた新作です。

この作品をDMに使いました。
ちょっと迫力があり過ぎるかな・・・とも思いましたが、「思いきり元さんを描くぞ〜!」と決めてから描いた第一作目なので、迷わずに決めました。
ぜひ原画を直接ご覧になってください。

星になった元さん・・・。
きっといつもこうして見守ってくれているのだろうな。
時には優しい、また時には厳しい眼差しを感じながら、あと三週間を精一杯楽しんで初日を迎えたいと思います。
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個展に向けて・・・

2012年03月19日 | My Works −我が家の元さん−

今毎日のように愛猫元さんを描いています。
個展までひと月を切って、いよいよお尻に火が付いたという感じ。
と言っても、これは今回が初めてということではなく、むしろいつものこと・・・かな。
困ったことに、追い込まれないとなかなか本気で集中できないという性分らしくて・・・。
ただ今回は、“思いきり元さんを描く”と決めた時から何とな〜く今までとは違った雰囲気に包まれています。
一作一作描き進めていくたびに数々の想い出が蘇ってきて、ついつい制作時間がオーバー気味になっているのがちょっと心配なところですが・・・。
とにかくぎりぎりまで、心を込めて精一杯描き続けます。

                

途中経過・・・と言ってはなんですが、今回は新作のために描いたデッサンのうちから2点をアップすることにしました。
もちろんどちらもまだタイトルは付いていません。
どんな作品となって皆さんにご覧いただくことになるか、楽しみにしていただければ嬉しいです。



個展は、銀座ボザール・ミューで、4月16日(月)〜 22日(日)の一週間です。

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3・11 に思う

2012年03月12日 | 日記


あと数分で3月11日が終わろうとしている。

今朝、いつもと変わりなく目が覚め、いつものように朝食を摂り、いつものように・・・、いつものように・・・のつもりだったが、心のどこかでは間違いなく今日という日を意識していた。

一年前の3月11日も、いつものような一日が過ぎると思っていた。
あの瞬間が来るまでは・・・。

今日もその同じ時刻が近づいてくるにしたがって、自分に対して冷静を装いながらも、どこか落ち着きを失っていく自分がいた。

直前に窓を開けた。
無意識のうちに胸の前で両手をしっかりと組んでいた。
14時26分になると同時に、海の方角に向かって黙とうした。
何処からか微かにサイレンの音が聞こえてきた。

一瞬頭の中に、一年前の恐怖の瞬間が蘇った。
しかし、今日は何も起こらなかった。
静かに・・・、静かに・・・、時が流れていた。
なぜか涙が溢れだして止まらなかった。

いつものように・・・、いつものように・・・、時の流れと共に生きている自分がいる。
それがどれほど奇跡的なことかと改めて思う。
奇跡が紡ぎだす一瞬一瞬の連なりに、生かされている自分を感じる。


掛け替えのない時間を無駄にしていないか?
自分のやるべきこと、できることをしっかりとやっているか?
鎮魂の思いは薄れていないか?
被災地、被災者に寄り添う気持ちを忘れていないか?
何よりも、しっかり生きているか?

3月11日という日はけっして忘れてはならない日。
しかし、3月11日だけが特別ではない。
あの日に感じ決意したことを心に、毎日を送っていかなければ・・・。


ああ、もう既に日が替わってしまった。
ようこそ3月12日!
新しい日を迎えられたことに、感謝。



最後に・・・、
犠牲者の方々に心より哀悼の意を表します。
そして、未だ行方不明となっている方々が、一日も早くご家族・親しい方の元へ戻ることができますように・・・。
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耳でお返事

2012年03月03日 | My Works −我が家の元さん−
                            『 耳でお返事 』


今日3月3日が“桃の節句”であることは言うまでもないが、その語呂合わせ から、“みみ(耳)の日”でもある。
いつごろからそうなったのかと思って調べてみると、1954〜6年(諸説があって2年ほどの違いがあるが・・・)には既に制定されていたとのこと。 何と私が生まれたころと同時に存在していたのか・・・。
そんなことを考えていたら、ふっと1枚の絵が頭に浮かんできた。

『 耳でお返事 』というタイトルの通り、猫の耳の動きに焦点をあてて描いた作品。
“目は口ほどに物を言う”というが、耳も目に負けないくらいのなかなかの口達者。
猫に限らず身近に小動物がいる方ならご存知の通り、彼らの耳が持つ表現力には驚かされる時がある。
それはまるで耳だけが別の生き物ではないかと思えるほど・・・。


2001年の秋に描いたこの絵のモデルは、言わずと知れた(?)我が家の元さん。 まだ10歳にも満たない、元気いっぱいの頃だった。
窓から差し込む暖かい日差しを浴びながら、お気に入りの青い毛布の上で気持ちよさそうに寝ているところを見つけ、いたずら心がムクムク・・・。 
「元さ〜ん」
用もないのに声を掛ける。
しかし、まったく反応なし!
数秒おいて、私に近い方の右耳がゆっくりとこちらに向きを変えた。
さらに数秒後、まったく同じようなゆっくりとした動きで、その右耳は元の位置に戻された。
その間、閉じられたままの両目はもちろん、耳以外のどこも微動だにしなかった。
返事らしい動きは、右耳だけ・・・。
大人げないと自覚しつつ、いたずら心がさらにヒートアップ。
「そろそろ、ごはん の時間かな・・・」
実際にはまったく関係のない時間なのに、元さんに聞こえるようなひとり言・・・。
ごはん」という、人間の言葉の中で元さんが一番好きな響きに、右耳が今度はぴくっと反応する。
相変わらず身体は全く動かずに、眼も閉じたまま・・・。
暫く黙ったままでいると、さらに「ごはん」という言葉を探しているのか、まるでレーダーのように右耳があちこちを向いて動き始めた。
思わず吹き出しそうになるのを必死にこらえる。
しかしその気配を感じたのか、閉じられていた瞼がわずかに開くのが見えた。
そしてゆっくりと顔をあげながら、薄目のままでこちらをジロッ・・・!
「今、ごはん って言った?」
その眼は間違いなくそう訊いていた。
笑いを堪えながら黙っている私を見て、一瞬のうちにそれがいたずらだったことを悟ったのだろう。 こちらにも聞こえるほどの大きな鼻息を一吹きすると、またもとの姿勢に戻ってしまった。
「ごめん、ごめん、あまり気持ちよさそうに寝てるから、つい・・・ね」
今度はもう耳さえ動かなかったことは、言うまでもない。


元さんとはよくこんなやり取りをしていた。
いたずらのあとは、お詫びに耳掃除を・・・。
そういえば、元さんの耳の中はいつもきれいだ。
ということは、それだけよく耳掃除をしていたということ・・・?
長い間、そんな大人げない私の相手をしてくれていたんだね。

これからも、毎年“耳の日”が来るたびに、元さんの口達者な耳との会話を想い出すことだろう。
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2012 “黒猫展” 終了しました

2012年03月01日 | 展示会

昨日、二週間近くにわたって銀座ボザール・ミューで開催されていた“黒猫展”が終了しました。 

なんと最終日は雪が・・・。 寒い日が続いている今年の冬を象徴するような天候で〆。
毎年“黒猫展”を楽しみにしていてくださっている皆様・・・、聖路加個展中に配ったDMを見て初めて“黒猫展”を知った皆様・・・、寒い中を、また遠路からもお出かけいただき、本当にありがとうございました。


毎年のことですが、“黒猫展”の終了と同時に3月が始まり、気分は一気に春に・・・。
今年は少しその訪れが遅くなりそうですが、それでも必ず春はやってきます。

そしてあの忌まわしい大震災から、早や一年が・・・。
けっして忘れてはいけないことをもう一度しっかりと胸に、前を向いて新たな春を迎えたいと思います。

たくさんの希望の芽が頭をもたげ、顔を出し、確かに育っていきますように・・・!
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ひるね

2012年02月27日 | My Works −我が家の元さん−
          『 ひるね 』


「4月の個展では、元さんを思いきり描く!」

先日、元さんが旅立ってちょうど1年が過ぎた2月17日のブログでそう宣言をした。
それから去年の今ごろにアップした自分のブログを改めて読み返してみた。
蘇る想い、溢れ出る寂しさと向き合いながら、何百という数の元さんの写真を見直した。
様々な表情、姿の元さんを、どんな世界の中に描いてあげようかと思いを巡らせた。 
それはとても楽しいひとときでもあり、同時に切なくもあり・・・。
そして今もまだ、いくつもの構想が頭の中をところ狭しと飛び回ってる状態で、手を動かすまでにはいかないまま・・・。


「ホームページに載せる個展案内用の画像を送って・・・」
ボザール・ミューの宮地さんからメールが来た。
そうだ・・・。 3月に入ると同時に、4月の展示予定がアップされるのだった。
しかし、まだ新作は出来ていない。
取り敢えず・・・で、元さんの作品なら何でもという気にはなれなかった。
かといって、新作の完成まで待ってもらうわけにはいかない。
そんな時だった・・・。 昼寝をしている元さんの姿がふっと頭に浮かんできた。
急いで画像データを捜し、宮地さんに送った。
それが・・・この『 ひるね 』。

前回ご紹介した 『 ちょっとお散歩に・・・ 』と同様に ’99制作の未発表作品(たぶん???)。
元さんと共に過ごした18年間に、彼の寝姿にはどれほど癒されたことか・・・。
私が病気療養をきっかけにして絵の世界に飛び込み、否応なしに自宅で元さんと一緒に居る時間が増えてからは尚更だった。
特に何をしてくれるわけではない。 静かな寝息をたてながら、ただそばにいてくれるだけで・・・、そこに存在しているということだけで私の心は穏やかになった。
この『 ひるね 』も、そのころの私のそんな気持ちが描かせてくれたのだろう。

この絵の他にも、’98 〜 ’99に描いたままどこにも展示したことのない元さん作品が何点かある。
もちろん4月の個展は新作中心のつもりだが、まだ皆さんにご覧いただいたことのない“思いきりの旧作”も一緒に展示してみようかと考えている。
新旧に関係なく、自分なりに精一杯描いたことには何の違いも無いのだから・・・。



まだ少し先のことですが、原画だからこそ感じることができる、絵に込めた私の“気”を楽しんでいただくために、ぜひ会場にお出かけください。
個展に関する情報は、追々アップしていきたいと思います。
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ちょっとお散歩に・・・

2012年02月23日 | My Works −個性派たち−
           『 ちょっとお散歩に・・・ 』


今回ご紹介するこの『ちょっとお散歩に・・・』、思わぬことからつい最近開いた聖路加個展で初めて公に展示することになった。

この作品を描いたのは、画像をよ〜く見ていただければお分かりの通りの1999年・・・。
当時は、今まさに銀座のボザール・ミューで開催中の“黒猫展”に初めて出品させていただいたばかりの頃で、まだそれから先のことは海の物とも山の物ともつかない状況だった。
赤い首輪をつけているように飼い猫がモデル。 しかし肖像画として依頼されたというわけではなく、たまたまいただいた写真をもとに、あくまで私自身の勉強として描いたものだった。
だから・・・というわけではないが、展示会に出品するきっかけのないまま、つい最近まで作品置き場の中に埋もれたままになっていた。


聖路加個展の時は搬入直前までいつもバタバタ・・・。 展示を予定していた作品を慌ててかき集めてトラックに積み込んだ。
ギャラリーで開梱し始めた時、タイトルを記した紙が貼っていない箱を見つけて、「あれっ???」
その箱の中にあったのが、この『ちょっとお散歩・・・』だった。
いや、正確に言うと、その時点ではまだこのタイトルはついていなかった。
練習のつもりで描き、とりあえず額に入れたものの、タイトルどころか展示するための紐さえ付けていない状態だったのだ。
「なんでここに居るの?」
予想外のコの登場に呆気にとられながら、思わず心の中で呟いた。
特別な理由など無いのは分かっている。 ただ単にバタバタの中で間違えてしまっただけ・・・。
一瞬そのまま箱のふたを閉めようとした・・・が、(まぁいいか、せっかくここに来たのだから)と、小品群を並べた長机の奥の壁に立てかけて置くことにした。
個展がスタートしてから、何もないのもおかしいから・・・と、直感で思いついたタイトルを付けた。
「ちょっとお散歩に・・・」
絵の中から、その柄には珍しいオッドアイで、私に向かってそう語りかけているように思えた。

そうだよね・・・、たまには散歩ぐらいしたかったんだね。
せっかく絵のモデルになったのだから、みんなに見てもらいたかったんだね。
長い間箱の中にしまったままで、ごめんね・・・。


けっして目立つ場所に展示したあったわけではなかったが、不思議に人気を集めていた。ついには最終日になって、T さんという新しい飼い主さんの元でお世話になることに・・・。
「このコには名前がついているのですか?」
T さんから訊かれた私は、こう答えた。
「新しい名前を付けてあげてください」
ニコッと笑顔を浮かべて頷いたT さんのやさしい表情が、私をホッとさせてくれた。
その瞬間、私は今まで何度となく味わってきた素敵な出逢いの喜びと一抹の寂しさと共に、これまでには感じたことなない不思議な気持ちに包まれた。

ふと思った・・・。
私が間違えたんじゃない。
私がバタバタしている隙を見て、このコが自分から紛れ込んだのだ。
待つのではなく、自ら動いて未来を切り開くために・・・。
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あれから一年

2012年02月17日 | 日記


元さんが天国へ旅立ってから、今日でちょうど一年が経った。

つい昨日のことのような・・・、それでいてもう何年も前のことのような・・・、そんな不思議な一年・・・。


2011年2月17日の早朝4時過ぎだった。
「また明日ね・・・」
そう言って私が寝るのを待っていたかのように、そして5時近くに起きた妻を待つことなく、元さんは独りで旅立つことを決めた。

その瞬間を誰も知らない。
既に息をしていない元さんに気付いた妻が私を起こした時、もちろん元さんはいつもと同じように温かく、そして柔らかいままだった。
その顔は、私がオヤスミを言った時と何も変わらない穏やかな表情をしていた。
そう、まるで寝ているかのように・・・。

「きっと何も苦しまないで、眠るように逝っちゃったんだね」

家族の誰もが、何の疑いもなくそう思った。
その瞬間を知らないから、そう信じることができた。
その瞬間を見せなかった元さんが、そう信じさせてくれた。
元さんがほんの一時間にも満たないあのタイミングを選んだのは、最期の姿を誰にも見せないという彼の中に流れ続けていた野生のプライドと同時に、私たちを少しでも悲しませまいとする元さんなりの思いやりだったに違いない。


確かに元さんの姿を見ることはできなくなった。 しかし、私の心の中に・・・、家族みんなの心の中に・・・、そして絵を通じて元さんを知っているたくさんの人たちの心の中に・・・、元さんは確実に存在して、今でも光を放ち続けている。

すごいヤツだな・・・と思う。
その凄さを、もっとちゃんと伝えなければと改めて思う。

それなのに・・・。
「これからもずぅっと元さんを描き続けるからね」
元さんとそう約束したのに、この一年間で描いた元さんの絵の数は、情けないかな片手でも余るほどだけ。
自分でも気づかない何かがあったのかな・・・???

今年もまた4月に、銀座ボザール・ミューで個展を予定している。
例年ならノラ猫個展なのだが・・・。

よ〜〜〜し、決めた!
今年のミュー個展は、元さんを思いきり描く!
ノラ猫たちにはちょっとお休みを願うことにする。
昨年は悲しみのどん底で、ただ無我夢中になって、絵の中で元さんを戸外に出してあげた。
でも、今年はもう悲しみはいらない。
愛おしさゆえに決して消えることのない寂しさを最大限の力に替えて、元さんが私にくれたたくさんの宝物を絵にしよう!

さあ、先ずはどっぷりと想い出に浸ってから・・・。


そうそう、元さん、今夜は君の大好物だったブリの照り焼きをドカンっと一切れあげるからね。
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桜 道

2012年02月16日 | My Works −黒猫−
                  『 桜 道 』


“黒猫展”出品作が続きます。
3点目の最後にご紹介するのがこの『 桜 道 』(さくらみち)。

前回に続いてタイトルに“さくら”が付いていますが、『 桜 道 』は2004年の春に描いた作品です。
その年のノラ猫個展のうちの一作で、ここ数年は展示する機会がありませんでした。
DMに掲載された『 どすこい まかせとけ!』もノラ猫をモデルに描いた作品なので、今回は戸外の黒猫作品で揃えようと決め、桜の花びらの上を歩く黒にも再登場してもらうことにしました。


改めて額装しようと久し振りに目の前にかざしてみた時、ふと何かが心の中で動きました。
そして次の瞬間には、ほとんど無意識のうちに加筆を・・・。
それは、何か気に入らないところがあるとか、目先を変えるためとかいうことでは決してなく、最初に描いたときから経過した8年間という月日がそうさせたのだと思います。

敢えて言わなければ、以前に見たことがある方でも加筆したことに気付くことはないかもしれません。 
その程度のほんの僅かなことなのですが、それが8年という月日を経た私自身の変化の表れなのです。 
ただ手元に残っているからということだけで展示するのではなく、最初に描いたときの気持ちを大切にしながらも、そこに今の自分の思いも加えた作品を見ていただきたいと思うから・・・。

もしかしたら・・・、作品が描き手である私の元にある間は、実はまだ完成したとは言えないのかも・・・???
たとえば個展とか企画展とかをきっかけにその時点の作品に共感し、気に入ってくださった方が現れた瞬間が、ある意味で“完成”の一つの形なのかもしれません。
今も私の手元にある作品すべてがそうだというのではありません。
ただ、時にそんなことを感じて、思わず手が動き出してしまうこともあるのです。


様々な展示の機会を前にして、いつも、何よりも大切にしなくてはいけないこと・・・。
それは・・・、皆さんに見ていただこうと決めたからには、制作年が古いとか新しいとかに関係なく、どの作品でも精一杯心を込めて描いたという揺るぎない自信と共に、変わりない愛着の気持ちを抱き続けること・・・。

久し振りに対面した黒猫が、のっそのっそとこちらに向かって桜道を歩きながら、そんなことを私に思い出させてくれました。



“黒猫展”は、2月15日(水)から29日(水)まで(会期中無休)、銀座ボザール・ミューにて開催されています。 
  詳しくはブックマーク欄の“ボザール・ミュー”をクリックしてください。
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さくら風

2012年02月15日 | My Works −黒猫−
                  『 さくら風 』


今日から銀座ボザール・ミューで “黒猫展” が始まりました。
初日のオープンと同時に、まだ湯気が出ているのではないかというほど出来立てほやほやの新作『 さくら風 』を納品してきました。

今年は3点出品しています。
既に前回ご紹介してある、DMでも使っていただいた『 どすこい まかせとけ!』ともう一作は先週のうちに納品してありましたが、何とか一作だけでも新作を・・・と思ってギリギリまで描いていた『 さくら風 』だけが、初日搬入になってしまいました。
いや〜〜〜、間に合ってよかったぁ〜〜〜!

入り口の正面で『 どすこい まかせとけ!』が皆さんをお迎えし、3作並んで展示されています。 
もちろん奥の方も、いろいろな作家たちによって生み出された様々な黒猫たちでいっぱいです。
黒猫ファンのみなさん、ぜひお出かけください!
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もうすぐ “黒猫展”

2012年02月11日 | 展示会


毎年二月恒例の銀座ボザール・ミュー“黒猫展”が今年も始まります。

一年前の今ごろのブログにも書いた通り、13年前の“黒猫展”に初めて出品させていただいたことが、私の絵描きとしてのスタートになりました。

光栄なことに、毎年“黒猫展”のDMに私の作品を載せていただいています。
今年はこの『 どすこい まかせとけ!』(↑)
深川の富岡八幡宮のわきを通っている遊歩道を根城にしているノラ猫がモデルです。
思わずこんなタイトルをつけてしまったほど、なかなか迫力のあるブー猫でしょ!
よく聞く“黒猫独特の神秘性”は何処へやら・・・。
まあ、親しみを感じさせるブーが私の描く猫の魅力だから、しょうがないかな。
昨年春のノラ猫個展で初登場して以来いくつかの展示会に出品したのですが、引き取り手が見つからないままでいたのは、この“黒猫展”に出たかったからなのかもしれません。

それにしても、DMでご一緒している絵描き仲間の畑尾洋子さんが描く優雅な黒猫と比べると、いやはや何とも・・・・・???
このように、10人を超える作家たちがそれぞれ独自の“黒猫”を表現しています。
平面作品だけでなく、立体からアクセサリーまで、さまざまな黒猫の魅力を楽しんでいただけると思います。
ぜひお立ち寄りください。

詳細はブックマーク欄の“ボザール・ミュー”をクリックしてください。
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ぼくの大好きな箱

2012年02月10日 | My Works −我が家の元さん−
          『 ぼくの大好きな箱 』


我が家の廊下の壁際に今も置かれた段ボール箱。
そこは元さんのお気に入りの場所の一つだった・・・。

元さんはその箱の上でよくダラ〜っと伸びて寝ていた。
その横を誰が通り過ぎてもお構いなし。
まったく意に介さずと言った様子で、そのまま ダラ〜〜〜。
たまに私がいじわる心を起こして、通りすがりにお腹をチョンと突いたりすると、「うるさいなぁ・・・」とでもいうようにわずかに耳を動かすだけで、さらに ダラ〜〜〜〜〜。
傍から見ていると、ちょっと動いただけで落ちてしまいそうなその箱の上が、元さんにとってはきっと実に居心地の良い場所だったのだろう。


あるとき、急にムクっと頭をもたげた箱の上の元さんと偶然目が合った。
鼻の頭をペロッと舐めたその舌の先が出たままになった。
猫を飼っている方には珍しいことではないはず・・・。 そしてご存知の通り、その時のご本人、いやご本猫はそのことに気付いていない。
笑いそうになるのを堪えるが、思わず肩が震える。 元さんにはその様子が気に入らないらしい。
「何わらってるの?」と言わんばかりに、じっとこちらを見続ける。
その真剣な眼差しと、その下にチラッと覗いて見えるピンク色とのギャップが実に可笑しかった。
しばしその状況を楽しんだ後に、舌の先をチョンとつついてやる。
すると元さんは慌てて(?)舌を口の中にしまってムニャムニャ・・・。 そして何事も無かったかのように、再び夢の中へ戻ってしまった。
けっしてその箱から降りようとはせずに・・・。


元さんが天国に旅立って、もうすぐ一年が経とうとしている。
そういう時期だから尚更なのだろうか。
聖路加の個展が終り、またいつもの日常に戻って家に居ることが多くなると、心なしかこれまで以上に部屋のあちこちに元さんのいる気配を感じることがある。
普段はほとんど気にすることが無くなっていた元さんお気に入りの段ボール箱・・・。
今改めて目を向けると、その上でちょこっと舌を出したままの元さんがこちらを見ているような気がする。

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聖路加個展 終了しました

2012年02月06日 | 日記
今日の雨模様の空・・・、そして明日の天気予報を見ると、先週は本当にいい天気が続いてくれたのだなぁと改めて思ってしまいます。
しかし・・・、それにしても寒い寒い6日間でした。
26年ぶりの寒さだとか・・・。
そんな中をお出かけいただきました皆様、本当にありがとうございました。
予定通り4日の土曜日に無事会期を終えることができました。

すぐにでも、終了のお知らせと共にお礼のコメントをアップしたかったのですが・・・。
寄る年波(?)は回復力に現れるようで、最終日の夜はもちろんこと、昨日もほとんど何もできないままダラ〜〜〜っと。
今日になってようやく動き出した次第です。 トホホ・・・。

今回も例年と変わらずたくさんの方々からエネルギーをいただきました。
ご覧くださる方々の心のぬくもりとなる絵を描き続けたい!
改めて強くそう思いました。 
また今日から、次に向かって新作の制作はもちろん、ブログの方も精力的にアップしていきたいと思います。
まだまだご紹介したい作品がいっぱいあるし、展示会のお知らせも・・・。
ぜひまた覘いてみてください。

ありがとうございました。
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様々な白の頃

2012年01月21日 | My Works −ノラ猫たち−


この冬初めて降る雪をみていたら、この作品を思い出した。

2008年12月に開いたボザール・ミューの個展では、それまでとは少し趣を変え、縦横に長〜い作品ばかりに挑戦してみた。
その中で“ 春夏秋冬 ”それぞれの季節をテーマにしたノラ猫4部作を描き、“ 冬 ”をイメージした作品が今回ご紹介する『 様々な白の頃 』。


色で言えば、冬を連想させるのは何といっても“白”。
しかし、ただ白のパステルを塗り重ねるだけ・・・という訳にはいかない。
真っ白な雪に覆われたその下からは、春の訪れを待つ様々な新しい命の息吹が聞こえてくるはず・・・。
私はその命の息吹を種々様々な色に替え、寒さにも怯むことなく凛とした姿のノラ猫を包み込んでいった。
そして最後に、激しく降る雪のように、力を込めて白のパステルを重ねた。
うっすらと透けて見える様々な色たちのせいか、冷たいはずの雪が温かく感じられて嬉しかった。


この作品、確かまだ手元にあるはず・・・。
しばらく展示会に出していなかったが、今だからこそ、次の聖路加個展に出品しよう。

やがて春が来た時に、雪に覆われた悲しみが、苦しみが、悔しさが、雪解けとともに少しずつ流れてゆき、新たな希望の芽を育てる糧となりますように・・・!

そんな思いを込めて・・・。
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