文教日本史

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母の死

2012年01月25日 23時43分56秒 | Weblog
昨年の夏以来、病床にあった母が逝去しました。
回復を信じていただけに、家族の驚きと悲しみは大きなものでした。

母は地方の農家の末娘に生まれ、太平洋戦争で一家の長男と次男を奪われたために、家を継がざるを得ませんでした。

息子の自分から見ても、外に出て働くタイプで、今の時代なら女性実業家になっていただろうと思われるような女性でした。
しかし、家を守ることにも一心不乱で、時間があれば菩提寺に出かけ、墓前に花を欠かすことのない人でした。

ところが、夫婦仲はいいとはいえず、それが母を悩ます唯一の出来事でした。

子どもの頃の私には、不仲の原因は一方的に父にあるとしか思えませんでした。

ですから、幼い頃の私は父が怖いということもあり、母の味方でした。

大学生の頃くらいから父の外で働く男の立場というものが理解できるようになり、家庭を持つようになってからはいっそう、父の気持ちが理解できるようになりました。

すると、母にはそれがさびしくて、唯一の味方を失ったような気持ちになることもあったかと思われます。
私としては、母の気持ちを知るだけに、離れて暮らすことに申し訳なさが募るだけでした。

ただただ両方の気持ちが寄り添ってくれないかと願うばかりでしたが、それは不可能だろうと思っていました。

ところが、母が入院してからの父の献身ぶりは目を見張るばかりでした。

父自身、一昨年の6月に頸椎の大手術をしたばかりなのに、ほぼ毎日、病院に付き添い、夜も病室のソファに寝袋で横になって母を見守り続けました。

私は、その看病に脱帽すると同時に、今までの罪滅ぼしなのかとも考えていました。

しかし、そうではなかったのです。

今までも、父は父なりに母を思っていたのです。
しかし、父の愛情表現は母に通じないものであり、私たち子どもにも理解しにくいものだっただけなのです。

母が、亡くなる十日ほど前に、
「あなたは、本当に人間が変わったのね」
と言ったのに対して、父は、
「わしは昔からずっと同じだ」
と、初めて素直に答えたというのです。

この話を聞いて、そうだったんだ、と思うと同時に、母が最期の最後になって、父の本心に触れることができてよかった、ほんとうによかった、と涙しました。

二人が優しい心を触れ合わせた時間は短かったかもしれませんが、それが最後の数日であったことが、母にとってよかったと思えました。
ジャンル:
我が家
キーワード
太平洋戦争
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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (T・K)
2012-01-26 09:37:47
お具合がお悪いとはお聞きしていましたが、お力落としで御座いました。
人の一生は大きく重いものです・・・激動の人生を終えられて、せめて最期のエピソードが先生のお気持ちの救いになりましたね。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
Unknown (Mちゃん)
2012-01-26 10:44:47
ご家族の皆様はさぞご心痛とは存じますが、どうかお力を落とされませんよう・・・

お母様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
御礼 (文教日本史)
2012-01-26 18:59:17
T・K様、Mちゃん様

お言葉ありがとうございます。
あまりに個人的すぎるので、書くのを躊躇しましたが、自分自身、母の最期が幸せであったことを書くことで確認したかったのだと思います。
これから後始末をした後の父が心配です。
Unknown (こよーて。)
2012-01-26 22:12:07
ご冥福をお祈りいたします。
お礼 (文教日本史)
2012-01-27 12:26:29
こよーて。様

御心に感謝申し上げます。
Unknown (Milly)
2012-02-02 20:48:16
>母が最期の最後になって、父の本心に触れることができてよかった、ほんとうによかった、と涙しました。
二人が優しい心を触れ合わせた時間は短かったかもしれませんが、それが最後の数日であったことが、母にとってよかったと思えました。


お母様はお父様の愛を感じられて幸せだったと思います。お父様まもご看病されて言葉にできたのは嬉しかったのではないでしょうか。ご冥福をお祈り致します。
感謝 (文教日本史)
2012-02-03 22:45:15
Milly様

お悔みありがとうございます。
今はただ、静かに母がいなくなった事実を胸にかみしめるだけです

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