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山田監督が語る中国版「家族はつらいよ」の印象 「両国民の生活が似ていることに驚き」

2017-05-19 10:06:14 | 日記
俳優・黄磊(ホァン・レイ)の初監督作品となった、中国版「家族はつらいよ」は家族をテーマにした映画。日本の巨匠・山田洋次の「家族はつらいよ」のリメイク版だ。「家族はつらいよ」は、山田監督の2013年の作品「東京家族」と同じ家族のキャストで描いている。その「東京家族」は、巨匠・故小津安二郎監督の生誕110周年を祝って、「東京物語」をリメイクした映画だ。このように偉大な監督たちが関わってきた作品とあって、中国版「家族はつらいよ」には、原作の比較というプレッシャーが重くのしかかる。澎湃新聞網が報じた。

日本人の心を知り尽くしている山田監督は、庶民の生活を描く作品を得意としている。これまで、「男はつらいよ」、「幸福の黄色いハンカチ」、「遙かなる山の呼び声」、「たそがれ清兵衛」、「母べえ」などの作品を手掛け、「喜劇と言えば山田監督」、「庶民目線の映画の巨匠」などと称され、「日本人の心の代弁者」となっている。

山田監督は中国との縁も深く、2歳の時に両親と共に中国東北地方に移り住み、哈爾濱(ハルビン)や長春、大連などで少年時代を過ごした。そして、改革開放(1978年)後、山田監督は、交流のため中国を訪問した日本の映画人の第一陣の一人となった。

映画コンテンツや中国を熟知している山田監督は、黄磊がリメイク版のメガホンを握ったことに満足しており、脚本のチェックに関わり、北京のロケ地にも自ら足を運んで指導を行った。

山田監督は、「日中両国の国民の生活はこれほど似ているのか」と感想を語り、中国の役者の演技も高く評価している。
【インタビュー】

「中日の国民の生活がこれほど似ているとは」

記者:黄磊は、「この作品を通して山田監督と師匠であり友人でもある関係を築いた」と言っていたが、山田監督は初めて監督を務めた彼をどのように評価しているのか?

山田監督:中国版「家族はつらいよ」のロケ地に足を運んだが、黄磊監督は非常に真剣に取り組んでいた。彼は撮影も制作も真剣にこなし、私はとても感心させられた。

記者:映画に出演した中国の役者の演技をどう評価しているか?

山田監督:どの役者も、監督の真摯な態度を反映していたと思う。みんな最高の演技をしていた。喜劇だからといって浮かれた態度で臨んでいる役者はいなかった。真剣な演技ほど、多くの笑いと涙を誘うものだ。中国版「家族はつらいよ」に出演した全ての役者に拍手を送りたい。

記者:今回、脚本の監修として、どんな作業に関わられたのか?中国版の脚本制作で、印象深かったことはあるか?

山田監督:脚本の初稿が完成した時、脚本家が日本に来て、3日かけて私と初めから最後まで意見を交わした。私も自分の意見を伝えた。印象深かったのは、日中両国の国民の生活はこれほど似ているのかと感じたこと。日本で大きな問題となっている「熟年離婚」が中国でも家庭内で起きる大きなトラブルの原因の一つになっていることにとても驚いた。

記者:同作品は山田監督がメガホンを握った「家族はつらいよ」のリメイク版。山田監督自身も「東京物語」のリメイク版を手掛けられたが、「リメイク」をどのように見ているか?

山田監督:小津監督の「東京物語」は、世界各国の監督から高く評価されている作品。私にとっても、黄磊監督にとっても、映画史上の傑作である「東京物語」から派生した作品「家族はつらいよ」を作ることができて、とても光栄に感じている。
笑い声の中で悲しい物語を描くのが喜劇

記者:山田監督は誰もが認める「ポスト小津安二郎」。このような評価についてどう感じているか?

山田監督:そのように評価されて本当に光栄に思う。しかし、私が若かった頃は、小津監督のような映画は絶対に作らないとずっと思っていた。ところが、年齢を重ねるにつれ、小津監督の映画の長所が少しずつ分かってきた。小津監督と黒澤明監督は私の師匠。そのため、「東京物語」のリメイク版を作れたのは本当に光栄なこと。

記者:喜劇をずっと得意としてこられたが、社会の発展、疎遠になる家族関係、死なども山田監督の作品のテーマ。どうしてこれらのテーマを喜劇で表現しようと思ったのか?

山田監督:映画界では、昔からずっと、「喜劇を作る際に最も大切なのは悲劇」と言われてきた。笑い声の中で悲しい物語を描くというのが喜劇だと、私は思っている。

記者:「家族」をテーマにした作品を長年作ってこられたが、各時代、人と家族との関係はどのように変わってきたか?そのような変化を、どのように映画を通して描いているのか?

山田監督:日本人が100年以上かけて構築してきた生活、文化が今、知らず知らずのうちに崩壊してきている。今の家庭生活において、何を否定し、何を守らなければならないのか、日本人は真剣に考えなければならない。これは、日本の政治にとっても、大きな課題となっているはずだ。私は危機感を抱いており、このような状況が今後も続けば、日本人は不幸になってしまうと思う。

記者:山田監督の作品は、日本では大人気となっているが、中国人は、平凡な生活を描く映画を、お金を払って映画館で見るということにまだ抵抗があり、中国の映画館でも家庭の生活をテーマにした映画が上映されたことがずっとない。このようなジャンルの映画はどのようにPRすればいいと思っているか?

山田監督:中国では、家庭や生活のすばらしさを細かく描き、魅力が詰まっている映画を作るべきだ。日本には、小津監督を代表とし、成瀬巳喜男監督、清水宏監督など家族生活をリアルに表現することを得意とする先輩たちがいる。彼らの作品の中ではヒーローは登場しない。私もヒーローには全く関心がない。逆に、貧乏臭く、哀れで、みんなにバカにされている男性を主人公にするのが好き。それは「アンチヒーロー」と言えるのかもしれないが、その最も代表的なものが中国文学に存在している。それは、中国の作家・魯迅の「阿Q正伝」だ。


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