シュラ吉旅日記

定期更新型ネットゲーム「DARK KINGDOM3」のキャラクター視点日記。プレイヤーの呟きもたまにあるかモ。

仮面の爆弾娘

2009-03-07 03:26:36 | キャラクター視点
ウー・ユイファ(罠師)

常に仮面で素顔を隠している爆弾大好き娘。
成人すれば仮面を外すと本人は言っていたが、結局最後まで仮面を外す事はなかった。
ん~ 素顔がどんなんだったか見てみたかったかなぁ。と言うのがオレの率直な感想だ。

街入りの際は割と単独で動いてたし、あんまり深く色々と話す事も少なかったから謎が
多いヤツだなぁ と思うが、戦闘においては前衛のオレよりも高い攻撃力を叩きだす罠を
ぽこんぽこんと仕掛けて爆発させまくっていた頼れる戦士でもある。
同じ罠師のニコ爺とは結構ウマがあっていたような気がするんだが・・・。

やっぱり謎だらけのままだったなぁ。


同じ大陸内にいる訳だから、もしかしたら今後何処かで出会う事もあるのかも知れない。
が、成人して仮面を外していたらお嬢だと分からぬまますれ違っちまうんだろう。




とりあえずこれからも元気でいて欲しいもんだ。


それぞれの道へと

2009-03-07 03:09:19 | キャラクター視点
イブラシル歴694年03月



アウストリ海岸 と呼ばれるこの地がオレ達最後の闘いの場所だった。
長いようで短かったこの数年間、オレは良い仲間に恵まれた。

ベタベタとした付き合いではなく、程よい距離を持ちながらの集団生活はオレに
とって心地よいものだった。
そして・・・何よりも、オレが決して得る事は出来ぬと思っていた伴侶を得る事
が出来た事。この闘いが終わった後に正式に彼女に約束を申し入れねばなるまい。


闘いは難なく済み。
暫く皆で休んだ後、それぞれがそれぞれの道へと分かれて行く。

ニコ爺は森を抜けて南へと。
ウーお嬢も南の方へと向かうらしく、暫くは爺さんと同行するつもりのようだ。

アルトは目を治す術を見つける為に他の大陸へと。勿論リリ姐さんも一緒に。
アルヴへイムから他の大陸へと渡る舟に乗るのだろう。

アルト達が北へと向かった後、その場に残ったのは俺とリーゼだけだった。
リーゼは何も言わず俺の服の裾を掴んでじっと俺の顔を見つめていた。

「・・・さて。
 行く先はお前さんの故郷…だな。ディアスの方で良かったか?」

オレの言葉を聞いてリーゼはこくりと頷いた。
そんなリーゼの肩を抱き寄せて、そっとその唇にキスを一つ。

「結婚の許しをお前さんの親父さんに貰いに行くとしよう。
 これからは…ずっと2人一緒だ。」


そう言ってリーゼの手を取り歩き出す。
またディアスまで戻るのは少々時間がかかるだろう。それでも一人旅じゃない。
共に背を護り、支え合い、励まし合える相手がいる。

まぁ 最大の難敵はリーゼの親父さんになるだろうが・・・。




2人一緒ならどうにかなるだろう。
繋いだリーゼの手の暖かさを感じながらオレはそう思った。


闘いの終結

2009-02-14 03:07:07 | キャラクター視点
イブラシル歴694年01月



戦争が終わるのだと…。
噂は以前から傭兵連中の間で囁かれていたが、先日ギルドが発行した日報に
デカデカとそんな見出しが記されていた。

アルトの奴は目を治す術を外の大陸へ探しに出るつもりのようだ。
遠慮がちに、少し遠回しにリリ姐さんに同行を申し出ていた。
アストラーナ大陸の外の世界は未知の世界だ。どんな危険があるか想像もつかない。
そんな所に大切な女を連れて行くのは気が引ける。だが…出来れば自分の側にいて
欲しい。そんな複雑な気持ちなんだろう。
決めるのは2人次第。だが、リリ姐さんならきっとアルトに付いて行く。
大切に想う相手がそう願うならきっと・・・。


爺さんとウーお嬢がどうするかはオレもまだ知らない。
2人ともあまり自分の事は語らないから、こちらも突っ込んで聞く事が出来ぬままだ。

そして…オレ達の事。
まぁ・・・オレの方は一応リーゼと添い遂げる覚悟はしている。
寿命が違う事で多分オレは何時かリーゼを見送り1人になるが、それも覚悟の上だ。
リーゼ自身もその事は納得し、なおかつヒトでないオレと共に生きたいと言ってくれた。
後は・・・嫁取りの為にリーゼの実家に挨拶しに行かねばならない。

リーゼの話を聞くと、どうも実家を出る時に一悶着あった臭くて本人も少し戻り辛そう
な様子だが…筋を通すならこれは避けて通れない。
いっその事 アルト達のように外の国へと出て2人だけで暮らすのも良いような気も
してるが、こういう問題は出来るだけ筋を通しておきたい。
覚悟を決めてリーゼの実家へと向かうとしよう。


まだ皆と別れるまでには少し時間がある。
僅かな時間ではあったが、共に過ごした仲間の事を忘れぬように皆の姿絵を絵師に頼んで
みようかと思う。自分でもちょこちょこと記録として皆の姿を絵に描いてはいたが、
やはり本職ではないからどうも巧く描けない。
旅の絵師は意外にもこの土地には多いのが有り難い。
最後の時まで、可能な限り依頼して記録を残しておこう。





この旅でオレが得た初めての仲間達の事を。



一進一退

2008-09-07 00:55:21 | キャラクター視点
イブラシル歴692年03月


塔に籠ってどれぐらい経ったのか。
随分と長い事留まって戦っているが、なかなか足並みが揃わない。

塔に潜む連中はレベル的にはオレ達よりも下なんだが、使うスキルが厄介で
油断していると誰かが倒れてしまい・・・倒れればその分経験ももぎ取られて
しまう。その上戦闘で得る経験値もあまり高くない。
と、あまり宜しくない状態になりつつある。

ニコ爺かリリ姐さんか、そしてオレか。
大体倒れてしまうのはこの3人だ。最近はニコ爺が集中して攻撃を受けてしまい
倒れる事が続いている。

休息時に爺さんと色々と話をしていたら、爺さん昔話なんてのを聞かせてくれた。
あんなに色気付いてリリ姐さんに色目を使っている爺さんには実は奥方がいたのだ
という。
お互いアツアツな状態で夫婦になったと爺さんは言っていたが、その奥方は既に
鬼籍に入ってしまったそうだ。

何の気無しにオレは
「あんまり他の女に色気付いてると嫁さんがあの世から舞い戻っちまうぜ。」

と返したが、爺さんそれを聞いて神妙な顔つきになって

「最近 集中打を浴びるのは そのせいかのぅ・・・」

と呟いた。


とか言っていたら今回はオレが相手のカウンターで返り討ちに遭ってしまい、
戦闘の途中で倒れてしまった。 自分の攻撃力がデカくなった分相手の反撃で
受けるダメージは大きい。しかもその前に連続攻撃を受けて体力を削られていた
のもあって踏ん張る事が出来なかった。

気がついた時には塔の一角に設営した野営地でオレは包帯だらけになって横たわって
いた。側でリーゼが眠りながら座っている。
・・・・・・戦闘の後 疲れているのにずっとオレの看病をしていたのだろう。
疲れ切って座りながら意識を失ってしまったらしい。

オレは起き上がると自分の寝ていた場所にリーゼを寝かせ、その横に座った。


なかなか思うように自分の鍛練が出来ぬ事に苛立たしさを感じながら、自分の力が
足りぬ事を悔しく思う。
そして、その事でリーゼを待たせてしまう時間が長くなる事が申し訳なかった。

早く塔での目的を果たして街へと向かい、そして・・・



その日が何時来るのか、少し不安に思いながらオレは眠っているリーゼの顔を
見つめていた。


約束の為に贈る品

2008-07-05 17:34:52 | キャラクター視点
イブラシル歴688年05月



塔に籠ってもう随分経つような気がする。
少しずつだが強い武具を揃え、武具を強化し闘いの備えが揃ってゆく。
問題は自分達の技能面だろうか。
なかなか技量修得の為の経験を溜める事が出来ず、技能修得に時間がかかる。

オレもやっと「乱れ斬り」を先日修得出来たところだ。
暫く技能修得せずにいたんだが、皇帝戦の前に修得したマジックシールドで経験値
を使ってしまい、足りない分を補充するのに手間を食ってしまった。

それでもコツコツとやってきた事は無駄にはならない。
他の連中もそうだろう。 もう少しすれば準備は整う筈だ。
上階へと進む日は近い。



さて、ここで頭の痛い問題がある。
リーゼの事だ。

遠回しにこう・・・迫られていると言うか何と言うか・・・。
こんな場所で、しかもアッチ方面ではまだまだ現役の(本人談)ニコ爺が覗き見しそう
なこの状況で既成事実とやらを作るわけにはいかない。
こういう事は女側にとってはかなりでりけぇとな問題だし、見た所リーゼはそういう
方面には疎いと言うか・・・まぁアレだ、いざという時にもそうそう簡単にうまくは
いかないだろう。 そう思って、なるべくはぐらかしていたんだが・・・
リーゼの奴言うに事欠いてオレの事を『奥手』だ等と!

照れ隠しだったのか何なのか、顔を赤くしてそんな事を言われちゃたまらない。


オレも遊んでいた訳ではないが、経験がない訳ではない。
正直なところ・・・今は状況が状況なだけに我慢をしている状態だ。一度切れてしまえば
自制がきかなくなりそうでそれが怖くてならない。
しかも好きな女の口から『奥手』と言われて、オレは少し傷ついてしまった。

全く・・・どうしたものか。


だが、リーゼの方も何処かで不安に思っているのかも知れない。
交わした約束がまだ形になっていない事を。
形になっていないから霞のように消えてしまうのではないかと、そんな風に思っている
んじゃないだろうか?


本当はこの塔の攻略を終え、街に戻った時にちゃんとした指輪を買ってリーゼに贈る
つもりでいた。だが、まだこの塔を後にするのは先の事になりそうだ。



ふと、思い出して鞄の中を探る。
鞄の中に忍ばせてある小さな金属製の箱を開けて、中に入っている装飾品を調べてみた。
イブラシルに流れ着く前、大陸でジプシー達と共に旅をした時に装飾職人から手ほどきを
受けて装飾品を作った事があった。幾つかは途中で旅の資金として売ってしまって手放して
しまったが、気に入った品だけは手元に置いている。

箱の中にあった銀と石榴石で作った指輪が目に止まった。
凝った細工ではないが、旅の途中立ち寄ったオアシスで見かけた花をモチーフにして
作った品。オレが初めて作った指輪だ。作ったのは随分と昔で大分煤けている。
大きさも小振りでこれならリーゼの指に合いそうだ。

箱を鞄に戻し、指輪を柔らかい布で磨いてみる。
少しずつ汚れが取れて銀の台座は鈍い光を取り戻し始めた。


急凌ぎでちょっと気はひけるが、リーゼにこれを贈るとしよう。
また奥手だ等と言われてしまったら、繊細なオレのハートが持ちやしねぇからな。






・・・・・・リーゼはこの指輪を気に入ってくれるだろうか?
少し不安に思いながら、オレは指輪を磨き続けた。



塔の上にて

2008-06-12 22:36:15 | キャラクター視点
イブラシル歴691年02月



こうして記録をつけるのは随分と久しぶりだ。
今、オレ達はバルバシアの城を離れて「白眼の塔」と呼ばれているアヤシ気な塔の
3階に待機している。 城から一番近くにある曰くありげな場所なんだが、ここの
最上階には竜が住んでいると聞いた。
そして、そいつを討伐する為の力を蓄える為に今は3階で戦って鍛練を積んでいる
という訳だ。

特に鍛練に熱心なのはウーお嬢とニコ爺の2人。
今まで使っていた罠がこの竜相手には全く効果がないらしいのだ。

「聞いた話。全て竜は飛んでるから普通の設置罠は通用しないって。」

ウーお嬢は何やら困った様子でポソっと一言そう言っていた。
後は竜の弱点が「火」であるらしいと言う事。アルトがツテを辿って武器職人に
新たな武器作成の依頼をしなくちゃならない とぼやいていた。
調達するのがリーゼとオレの2人分なので、色々と大変そうだ。



さて、ここで今までにあった事を簡潔に書き記しておこう。

一度皇帝に負けたオレ達は、暫し鍛練を積んで力をつけた後にもう一度皇帝に闘いを
挑んだ。 そして、皆で力を合わせて魔導師と皇帝をようやく倒す事が出来たのだ。
ただ・・・皇帝が倒れた時に誰か知らぬ者の声が聞こえた事が気になる。
声が消えると同時に一瞬で消え失せた影の事も…。



闘いはその後2度続いた。城を守る兵隊どもが相手だ。
コイツ等を何とかしなければ城から出る事は出来ない。皇帝との闘いの後、皆消耗
しきっていたが城を出る為には戦わなければならなかった。
リーゼもニコ爺も初戦では相手に押されて倒れてしまった。 が、一番割を食って
大変な目にあったのはアルトの奴だった。
皇帝戦で倒れてしまったアルトの消耗はかなり激しく、アルトはこの闘いで2度共
意識を失ってしまったのだ。

城を出て、誰もいない城下町の一角を拠点として休息をとる。
皆が満身創痍で、癒し手のリリ姐さんは大忙しだった。 体力バカのオレは他の
面子よりはダメージも少なく済んだとはいえ、癒しについては何一つ知識がない為
何一つ手助けする事は出来なくて・・・それが本当に申し訳なかった。

何よりも、いつも陽気で強気なリリ姐さんが涙を見せた事。
皆のいる場所ではいつものように振るまっていたが、アルトの看病をしている時に
一瞬見せたその表情をオレは忘れる事が出来ない。

後はリーゼの奴が、何だか急に逞しくなってしまったみたいで少々戸惑っている。
まだ子供だと思っていたのに、いつの間にか強気と言うか何と言うか…
もう少し周りの目を気にしてくれりゃいいんだが、あまり気にせず気がつくとオレ
の側にいて・・・いきなり頭を抱きしめられた時はどうしたものかと
(その後書かれた文章は黒く塗りつぶされている)



とにかく、色々とあったが何とか今日も無事に過ごす事が出来ている。
塔の上にいる竜とやらを倒す事がオレ達の目標だが、それも鍛練を積む事で何とか
なるだろう。


この塔での目的を終えたら、街に入ってゆっくりしたいものだ。

ああ リーゼの奴に指輪を買ってやらなくちゃなるまい。
ああいう事言われちゃなぁ・・・放っておく訳にはいかないだろう。
あんまりその手の事は詳しくないので、どういった品を贈ればいいのか悩むトコロ
だが、誰かに相談出来るような事でもねぇしなぁ。

西方の冠婚葬祭の決まり事についてはオレもまだ良く分かってない。
………塔での闘いもだが、こっちの方も色々と悩ましすぎる。
困ったものだ。



夢か現か幻か

2008-05-08 03:13:24 | キャラクター視点
イブラシル歴688年03月



バルバシア皇帝との闘いが始まる。
皇帝付きの魔導師ルベザルがオレ達の前に立ちはだかる。
2対6の闘い。人数的にはオレ達の方が有利の筈だが、どうにも心の中がモヤモヤと
してならない。魔力を持たぬ筈のオレだが、微かに血の中に潜む陰陽師の血が何かに
反応しているのだろうか?

皆の技がそれなりに魔導師と皇帝に決まり、相手の体力を削って行く。
最初に皇帝の攻撃をモロに受けて倒れたのはウーお嬢だった。たった一撃で全ての
体力を奪われてウーお嬢の身体が地面へと倒れ込んだ。
その後ヤケクソになったリリ姐さんが皇帝の股間に蹴りを一発入れていたが、その蹴り
すらあまり効き目がなかった。

魔導師の麻痺が切れた段階で、皇帝の攻撃の対象がオレに向いた。
1度は何とか攻撃を無効化した物の、その後の重い攻撃を連続で喰らって右手を折って
しまった。こちらの攻撃はことごとく避けられ・・・
皇帝の技の前にオレはそのまま意識を失った。

意識を失う前に最後に見たのはリーゼの…泣き顔だったような気がする。




気がついた時は、誰もいないバルバシアの城下町の道のど真ん中に倒れていた。
オレだけじゃない、他の5人も皆傷だらけになって倒れている。
慌てて皆を空いていた家の中へと担ぎ込んで寝かせて様子を見る。

確かに皇帝の間にオレ達は行って・・・皇帝と魔導師相手に戦っていた筈だ。
なのに何故オレ達はここにいる?
少しして気づいたリリ姐さんが癒しの術を皆に施し始める。
何とか皆無事のようだ。

なんだかキツネにつままれたような、微妙な気分。
オレだけではない、皆黙ってはいるが釈然としない気持ちでいるのだろう。
1度ここで休息をとり、体調と気力を整えてからもう一度城へと向かう。
皆で話し合ってそう決めた。


夜になって、ふと 気になって懐を探ってみる。
・・・そこには闘いの前にリーゼから託されたレリーフが入っていた。




皇帝と戦ったのは・・・夢ではなかったのか?


いよいよ

2008-03-11 13:03:50 | プレイヤー雑記
ボス戦。

そしてお約束の死にフラグが立ってしまったような気がします。
日記の方はうまくまとまらなくてちとお休み中。
というか アレ、まとめるのが大変のような・・・(遠い目)

とりあえずリーゼさんのお返事があんまりにかわゆくて、ドキドキでした。
ヘタレなのにあんなに想ってもらっちゃって。


久しぶりにDK3版のシュラさんを描いたので貼り。
そういえば そろそろプロフ絵を別のに差し替えなくちゃなぁ。

ー告白ー

2008-02-19 02:38:38 | キャラクター視点
イブラシル歴688年11月



バルバシア王城内に留まって2ヶ月。
広い城内には殆ど人の気配が無い。城の中枢部の屋内にはわんさかと敵が蠢いているが、
少し離れた場所には生き物1ついはしない。

オレ達は城内でも外側の塀側に近い場所に野営地を構えている。
屋外なので水の補給も楽だし、何よりも敵がいない。
リーゼが念の為に野営地の周りを哨戒したいと言ってきたので、2人で夜の城内を見て
廻っている。

歩きながらたわいのない話をする。
以前からリーゼが聞きたがっていたオレの故郷の話、実家の話を少しずつ話してやった。
オレの家は陰陽師の一族で、常に人ならざるモノ達と接する事も多かった事・・・
故郷の秋津島にはまだ人以外の物の怪や、呪い等も根強く生きている事・・・
おとぎ話のように聞こえたのだろうか。リーゼは少し嬉しそうな顔をして話を聞いてくれた。
いつもなら色々と話をしてくるリーゼが珍しく黙って聞き手に廻っている。

「どうした? 最近随分と大人しくなっちまったな。 何か悩み事でも出来たのか?
 それとも、カレー分が切れておしとやかにでもなっちまったか?」

それとなくリーゼに尋ねてみた。
その言葉を聞いたリーゼは、少し間を置いてから口を開く。

「この城を落としたら…何もかもが終わって、みんなが離ればなれになる。
 シュラさんとも、二度と会えない、そんな気がして…
 そう思ったら、もう何も考えられなくて。」

俯いたままそっとオレの側に来てリーゼはオレの外套の端を右手で掴んだ。

「シュラさん…  どうか私をおいてどこかにいってしまわないで…ください」



言わねばならない。
もう隠してはおけない。

オレはリーゼの方を向き、彼女の頭にそっと手を置く。

「アムスティアでオレはお前に言ったろう。
 何時どんな時でもオレはお前の側にいると。お前の不安と恐怖をそれで祓う事が出来るのなら…
 お前がそれを望む限り ずっと・・・側にいると。」

リーゼはじっとオレの顔を見ている。
オレもリーゼも何も言わぬままずっと互いの顔を見つめていた。
彼女の頭に置いた手を下ろしてオレは言葉を続ける。

「オレはお前の事が好きだ。
 こんなオレの事を『大切な人』だと言ってくれたお前を愛おしいと思っている。
 だから 護ってやりたいと思う。 お前の側にいたいと思う。

 そして・・・大切に想うからこそ、お前にだけは真実を話さなければならないと。」

オレの言葉を聞いてリーゼは不思議そうな顔をした。

「その真実を知ってもなお、お前がオレを必要としてくれるなら…。」


オレもリーゼも互いを見つめ合ったまま、城の回廊の側で立ちつくしていた。
空にかかる月に雲がかかり、雲に隠されて月の光は弱々しくなっていく。

この言葉を言う事でリーゼを失う事になるかも知れない。
それでも・・・オレは黙っている事は出来ない。
例え彼女に刃を突きつけられ、その胸を貫かれたとしても。


「オレは…人ではないんだ。」

月は完全に雲に隠れてしまい、周りは闇に包まれた。
何も見えない闇の中でオレは全てを話した。
人であった筈なのに、故郷である諍いに巻き込まれ毒を飲まされた事で不死人となった事。
その為に故郷を離れる事となり、独りで旅を続け長い時を渡っている事。

何もかも全て。


リーゼは何も言わない。
ただ黙ってオレの話を聞いていたようだ。


「化け物だと罵られる事も、拒絶される事も覚悟している。
 そうなったとしても、1つだけ頼みがある。

 この城を落とすその時までは…仲間でいる事を許して欲しい。」



雲が切れて月の光が地上を照らし始める。ゆっくりと月の光が強くなって行く。
オレのこの言葉にリーゼは何と答えるのか、話を聞いた後のリーゼの顔を見るのが怖くて
・・・オレは目を閉じた。



言わなければならぬ事

2008-02-10 19:49:42 | キャラクター視点
イブラシル歴688年10月



闘いが始まる前に、リーゼに伝えなければならない。
そう思っていても、オレはまだ踏み切れないでいる。
今在るモノを失う事が恐ろしくて、どうしても言葉が出て来ない。

アルトの奴はそれを「結婚の申し込み」だと思っているのかして、笑いながら
代わりに俺が言ってやろうか? 等と言うが…
そんな良い話ではない。
その申し込みをする前に、どうしても言わなければならない事がある。


今まで誰にも言わなかった事。
オレ自身と、オレの家族しか知らぬ事。
只人には受け入れられぬであろう事を・・・伝えなければならないのだ。

大切に想う相手だからこそ欺きたくはない。隠したくはない。
だが…それを受け入れられなかった時の事を考えると辛い。いっそこのまま
最後まで何も言わず、本懐を遂げた時に黙って姿を消した方が良いのかも知れない。
と そんな事まで思う。

それ程までにオレは失いたくないと思っている。
自分に向けられているあの無邪気な明るい笑顔を。



そうして時間は過ぎて行く。
城内で待機して既に2ヶ月以上が経っていた。

晩飯の後、アルトに言うタイミングの事を話すと、アルトはにやにやしながら

「タイミング? そりゃおめ、今しかねえだろ。
 後一歩進んだら派手にドンパチやるんだぜぇ?」

と 軽く笑う。
軽く言っているが、あまり思い詰めずに済むような気遣いもあるのだろうか?
アルトに釣られてオレも少し笑ってしまった。
くよくよと考えていても仕方が無いのかも知れない。

「『この戦いが終わったら……』ってヤツだよな。
 男は度胸! なんでも試してみるものさ。」


アムスティアで彼女に必要とされる限り彼女の側にいると、リーゼに言ったあの時から
それは避けられぬ事だと分かっていた。

……なかなか気持ちの整理がつかない。
まだオレは何処かで躊躇っている。けれど・・・。





そう思った時、リーゼがやって来た。
野営地付近の哨戒に一緒に行かないかと。リーゼはそうオレに言った。
彼女の申し出を受け、火の番をアルトに任せて立ち上がり身支度を整える。


逃げてばかりでは何も解決はしない。
全てを 話そう。・・・彼女にだけは。