鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

甲州街道を歩く-高尾から小仏まで その9

2017-04-20 06:52:02 | Weblog

 

 フェンスに立て掛けられた案内板には次のように記されていました。

 「太平洋戦争(第二次世界大戦)末期の一九四五年(昭和二〇年)八月五日、この地で米軍機による我国で最大の列車銃撃空襲がおきました。

 八月二日の八王子空襲で中央本線が不通になった後、三日ぶりに長野行き四一九列車が浅川駅(現・高尾駅)を出発し、猪の鼻(湯の花)トンネルにさしかかった際米軍機P51に襲われ銃撃を受けたのです。

 この銃撃により、判明しているだけでも52名以上の死者と百名を超える負傷者が出ました。

 五周忌を前にした一九五〇年、地元・浅川町青年団上長房分団が犠牲者の供養のために供養塔をつくりました。その後、一九九二年、八王子南ロータリークラブの協力で慰霊碑が建てられました。

 いのはな慰霊の会は、再びこのような悲惨な空襲がおこることがないよう、平和をかみしめ、戦争の惨禍を語り伝えていきたいと思います。

 慰霊碑、供養塔ご見学の方は、心して犠牲になった方々のご冥福をお祈りくださいますようお願い申し上げます。

       いのはなトンネル列車銃撃遭難者慰霊の会」

 そしてフェンスの上には、「いのはな慰霊碑入口」と記され、その概略の記された看板がありました。

 途中で右折するように示されています。

 その道の入り口には、木製の案内表示が二つ立てられていました。

 人家の脇を通り、畑の斜面の間を上っていくと、囲いがあってその中に供養塔と慰霊碑がありました。供養塔が手前で両側にはきれいな花が供えられています。その背後に慰霊碑が立ち、「慰霊の碑」と刻まれています。そして事件の概略と「戦災死没者氏名」とその年齢が刻まれていました。

 事件の概略は、次のように記されていました。

 「終戦間近の昭和二十年(一九四五年)八月五日 真夏の太陽が照りつける午後二時二十分頃 満員の新宿発長野行四一九列車が いのはなトンネル東側入口に差しかかったとき 米軍戦闘機P51二機または三機の銃撃を受け 五十二名以上の方々が死没し 百三十三名の方が重軽傷を負いました この空襲は日本最大の列車銃撃といわれています

 私どもは この戦争の惨禍を決して忘れることができません

 ここに 確認された犠牲者のお名前を書きとどめ ご遺族とともに心から冥福をお祈り申し上げ 現在の平和の日々をかみしめ 戦争を知らない世代へこのことを語り伝えます

     いのはなトンネル列車銃撃遭難者慰霊の会 」

 その左隣に「戦災死没者氏名」が三段にわたって刻まれています。

 若い人もいれば年配の人もいる。五歳の子供もいます。

 全部で45名の名前が刻まれ、下段には余白があります。

 「五十二名以上」の死没者のうち、名前が判明しない方もいるのでしょう。

 余白はそのためのものであるようです。

 手前の供養塔には、「戦災死者供養塔」と刻まれています。

 そこから振り返って南方を見てみると、畑の斜面が下へと続き、甲州街道があるあたりに人家の屋根と満開の桜樹があり、その向こうに高尾山が見えました。

 高尾山の山腹には山桜がいろどりを添えています。

 そこから中央本線の鉄路が見えるところに上がると、鉄路左手奥に「湯の花トンネル」(かつての「猪の鼻トンネル」)の入口が見え、その上には圏央道と中央道が交わる「八王子ジャンクション」の高架橋が見えました。

 「猪の鼻トンネル」のある丘の真上には、圏央道が走っていることになります。

 鉄路の八王子方面を眺めてみると、わずかながら左へとカーブしており、その左手やや上方に鉄路と並行して中央道が山の斜面に走っています。

 そのやや右下の斜面にも、畑の向こうに見事な桜が咲いていました。

 鉄道と高速道路の高架が交わる現代的な景観と、甲州街道筋のむかしながらののどかな山里の景観が対照的に交錯しています。

 ここがかつて終戦間際に、非戦闘員である民間人が多数乗り組んだ列車が、米軍の戦闘機によって銃撃されるという惨禍があった地点でした。

 

 続く

 

〇参考文献

・『報告書』(山梨県立博物館)

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