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真に、堺衆と言うことについて-第2回山上宗二忌講話

2016-10-07 10:27:53 | 茶の湯

 4月11日(平成21年)、「堺衆文化の会」会長・谷本陽蔵先生(主宰者)のお声掛けで堺の南宗寺塔頭・天慶院で開催された「山上宗二忌法要」に参列させていただき、角山 榮先生(和歌山大学名誉教授、元堺市博物館長)から「16世紀における堺衆」というお話を拝聴しました。
 天慶院での法要を兼ねた記念のお茶会と講座は昨年から始められ、今回は第2回目です。お茶のおもてなしでは西大寺(奈良)の「大茶会」かと見間違えるような大きな赤膚焼のお茶碗で天慶院・小野雲峰住職様(「堺衆文化の会」副会長)がお立てになられたお抹茶を介添えを頼まれて谷本先生がお召し上がりになられ、ちょっと驚かされました。
 角山先生はとても堺がお好きなのだなと感じました。今回も熱く語って頂き、奥深いお茶の世界と歴史に触れさせて頂けたひと時でした。
 お話を拝聴して特に感銘を受けたのは、千利休が「茶の湯」を大成した茶人でありながら、その一方で魚を商う堺の有力な商人とも言われている背景がよく理解できたこと、反面、自由自治都市とうたわれた「堺」が本当のところは必ずしもそうではなかったという中世の堺の町衆の状況について示唆に富む深いお話を伺ったように思えたことでした。
 以下に要点をまとめてみました。

1.千利休の家業について
 住吉神社と堺が一体となっていて一つの港(住吉津=堺津)ができ、当初、陸揚げ品は朝鮮から輸入された鉄や馬であったものが、鎌倉時代から室町時代に至って魚の集配所となり、今につながる「魚夜市」が立つようになった。そして、漁師が集まり賑わいの町となった。
 魚を商品として日持ちさせるために干し魚(干物)として加工し貯蔵する納屋(なや)=倉庫を持つようになった。卸の魚を扱う商人として、豪商として納屋衆の一人に数えられるようになった。

2.真に、“堺衆”ということについて
 堺が商業都市として脚光を浴びるようになったのは、1469年のことだが、日明貿易で遣明船2隻が応仁の乱による荒廃ため出発港の兵庫港へ入港することができず、急拠、堺港に入港したことに始まる。
 日明貿易の背景は、幕府の権力が弱まるにつれて時の武将(大内と細川)がその権益を横取りし、さらに、南禅寺の下にある五山(天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)も独自に船を出すなど、堺商人はこれらの請負業者として役割を果たす一方で貿易をさせてもらう特権を持っていたというのが実情のようである。
 堺を自由自治都市と言ったのは、京都との比較において言ったのではなく、16世紀の中ごろに堺へ来たポルトガル人(イエズス会の宣教師・ガスパル・ヴィレラ)が西洋の都市と比較して表現したまでであり、本来的な意味においてまで掘り下げて言ったかどうかは疑問が残る。当時、堺商人と一口に言っても、いわゆる「会合衆」(かいごうしゅう)とか、納屋持ちの豪商(納屋衆)とか、生糸を一括購入する特権的商人「生糸10人衆」など様々であり、これらの町人は権力者の請負業であるという立場からすれば必ずしも自由で自治を布いていたとは言い難い。
 ポルトガル人にヨーロッパの中世都市によく似ていると言わしめたのは、幕府の権力が弱まっていた時に勢いのあった堺の町衆の様子に印象を強くして表現したということではないだろうか。
 その点、商人でありながら茶人でもあった千利休や山上宗二は、「茶の湯」においては、上下の関係もなく真剣に勝負するという哲学*「一期一会」、「和敬清寂」を導き、茶の湯において本当の自由と自治を貫いた、まさしく真の“堺衆”だったと思う。
 つまり、堺商人には、特権を背後に富を蓄積した商人や自由を求めてアジア海域に進出し帰国しなかったルソン助佐衛門や具足屋次兵衛など冒険商人がいるが、本当に自由を求めて活動した堺商人は連歌や茶の湯の文化の中に自由の神髄を見出したのではないか。

 *:「一期一会」
    茶会を一生に一度の出会いの場ととらえ、
    相手に誠意を尽くすこころ
   「和敬清寂」
    お互いに心を開いて仲良く、敬いあい、心を
    清らかにして、どんなときにも動じないこころ 

論文 十六世紀 茶の湯におけるキリシタン受容の構図」 詳しくは こちらから

 

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