ぐうたらの記

さまざまのこと、ありにけり。

ダイアローグ「いい気なもんだ」

2009年01月21日 | Weblog
 
 「ご隠居。こんにちは」
 「ああ、与太か。来たか」
 「はい、来ました」
 「で、何の用かね」
 「いつだって、何も用事などありませんけれど」
 「じゃ、どうして来るのかね」
 「足がこっちに向いてしまって」
 「わしだって忙しい時がある。そうしたら、与太にかまっていられないぞ」
 「そういう時は気にしないでください」
 「ほう」
 「勝手に上がりこんでお茶を自分で淹れて、、、という具合に出来るといいですね」
 「そんなことが、いいわけないだろう」
 「ご隠居にもお茶を入れてあげます」
 「忙しくても、自分で淹れるよ」
 「上がってはいけませんか」
 「駄目だ」
 「どうしてですか」
 「人さまの家に用もないのに上がりこむものではない。泥棒でもあるまいし」
 「泥棒は酷い」
 「だから上がるな!」
 「ご隠居んちの畳は立派ですね」
 「畳を褒めてくれたのかい?」
 「褒めたわけではないけれど………この上で大の字になって寝たら気持ちがいいだろうな、と思ってね」
 「自分ちでやんな」
 「おれんちは、大の字になれる場所はない」
 「片付ければあるさ」
 「面倒くさいや」
 「家の掃除は面倒がらずに、こまめにやるもんだ」
 「面倒くさいや」
 「やってみるとそうでもないよ。終わった後の気持ちよさに取りつかれたら、しめたもんだ」
 「ふ~ん。その気になってきた。だけど、その手には乗らないよ」
 「その手?」
 「うん、その手」
 「この手に乗られたら重いだろうな~」
 「ご隠居。このバヤイ、手は「策」とでも言うべきかな。「ハンド」のことではないですよ」
 「(じろ~。この野郎)」
 「ご隠居。『寠し(やつし)』は読めましたか?」
 「(この野郎)」
 「『就中』が読めなかった。というより、『しゅうちゅう』でも良いんではないかと思ったのだが、やはり『なかんずく』でなければならないようですね」
 「(………)」
 「ご隠居!ご隠居!寝たふりはいけません。己を叱咤激励して起きていてください。でないと『愚弄』され『揶揄』されますよ」
 「(この~)」
  



 

 「

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