正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

色花ではなく御樒を御供えする理由

2005-11-21 | 手引書⑪

 日蓮正宗では、御本尊様を御安置申し上げるところには、色鮮やかな色花ではなく、青々とした常緑樹「樒」を御供えします。
 理由は、色花では一時的な鮮やかさを保つだけで、長持ちしません。しかし「樒」は、色花とは比較にならないくらい長持ちします。この意味は、何を物語っているのかといいますと、正しく宗祖日蓮大聖人の御精神に通じるところであり、強靭な精神「不自惜身命」を意味します。色花のような貧弱な生命力では、日蓮大聖人の御精神に反しますし、御本尊様のところに色花を飾っては法を下げることになります。そのために、日蓮正宗では古来から「樒」を御供えするのです。即身成仏に一番相応しいのが「樒」であります。
 釈尊は『方便品第二』に、
  「清浄に広く厳飾し 諸の塔を荘校し 或は石廟を起つに 栴檀及び沈水 木樒并びに余の材 甎瓦(せんが)泥土(でいど)等をもってする有り」(法華経115)
と説かれていますように、仏教ではインドの釈尊の時代から、木樒である「樒」で荘厳していたことが窺えます。
 「樒」とは、モクレン科の常緑樹・香木で、高さは三メートルから五メートルほどに達し、葉は厚くなめらかです。三月から四月頃に、葉の付け根に直径二.五センチ余りの黄白色の花を付けます。全体に香気があり、この香気が正しく成仏を妨げる邪気(三毒や三惑)を払拭させる作用があります。仏前に御供えすることで、荘厳にします。樒の葉を乾燥させ粉末にし、抹香や線香にすることもできます。樒の実は、有毒なので気を付けましょう。有毒な実があることで「変毒為薬」を意味します。
 「樒」を御供えすることで、御本尊様の「常住不滅」を意味し、宗祖日蓮大聖人の「滅不滅の相」も意味します。また御先祖様の未来世に於ける長寿を施すことが出来、更に私達の人生も長く寿命を延ばすことに通じます。反対に色花を御供えすれば、すぐ枯れるため短命をもたらします。御本尊様に色花は絶対に供えてはいけません。必ず「樒」を御供えしましょう。
 「樒」は六根清浄の功徳を助ける働きを成し、勤行唱題の時に働きがあります。「樒」の青々とした色が、気持ちを落ち着け「禅定」の境地へと導きます。色花では、様々な色があるために、肉眼から雑念が入り、仏眼を出しにくくする魔の働きがあります。つまり、心が乱れ成仏の妨げとなるのであります。「樒」の香気に戒の意義となる、邪気を払うという「防非止悪」があり、青々とした色が定という気持ちの冷静さを作用し、それらが縁となって御本尊様から有り難い智慧を頂くのであります。つまり、「樒」を御供えすることには「戒定慧の三学」があるのです。色花は、心の迷い貪瞋癡の三毒を助長させる作用があることを理解しましょう。
 「樒」の毎日変化する様子を観察することで、洞察力や観察眼が高められ、自行化他の大切な糧になるはずです。春夏秋冬という季節の変化に、「樒」は微妙に対応します。この変化を察することが、自行化他に応用することで有り難い智慧が具わるのであります。自行では、自分自身の心の微妙な変化を、直ちに察し、心の煩悩を菩提に転じていく唱題行が大切になります。折伏では、相手の気持ちの微妙な変化が、読み取れるようになり、折伏成就に繋がるはずです。この意識を更に生活の場に広げれば、「我此土安穏」な境遇に繋がります。 
 「樒」の水を変える作法が、所作仏事に繋がり、法統相続や教化育成に活かされます。「樒」の毎日変化する状態を見る眼が、法統相続や教化育成に必ず活かされます。懈怠な気持ちが生まれれば、「樒」はすぐに枯れます。御本尊様には、必ず「樒」を御供えしましょう。