正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

譬喩を用いた教化育成を(譬喩品第三)

2005-11-15 | 妙法蓮華経並開結 略要旨私考

 法華経には譬喩が盛りこまれ、難解な法門を弟子が理解するように釈尊は説かれます。「譬喩品第三(法華経128)」では、「三車火宅の譬え」が説かれ、大白牛車という最高の乗り物において、成仏することを諭していきます。
 「三車火宅の譬え」とは、長者の家が火事になった時、中にいる子供たちは遊びに夢中で火事に気づかず、外に出ようとしません。そこで長者は、子供たちのほしがっていた羊車・鹿車・牛車の三車を門外に用意したといい、子供たちを救い出し、その後にもっと立派な大白牛車を与えました。
 長者は仏で、火宅(火事の家)は三界となる、迷い多き六道輪回の世界、子供たちは一切衆生に譬えられ、羊車・鹿車・牛車の三車は声聞・縁覚・菩薩の三乗の教え、大白牛車は法華真実の教えを譬えています。
 日蓮大聖人は『三車四車事』に、
  「三車・四車  
  ひつじのくるま 羊車(ようしゃ)しゃうもんにたとう あごんぎゃう
  しかのくるま  鹿車(ろくしゃ)えんがくにたとう
  うしのくるま  牛車(ごしゃ)ぼさつにたとう 華厳・方等・般若
  をヽきにしろきうしのくるま 大白牛車(だいびゃくごしゃ) 法華経」(御書1210)
と御教示であります。日蓮正宗を信心すれば、立派な大白牛車に乗れますが、他宗の信仰では大白牛車より劣る羊・鹿・牛に乗ることになるのです。現代においては、更に進化していますので飛行機や新幹線に譬え、信心を促していきます。
 信心を知らない多くの人は、仏様が説かれる随自意の教えに、理解できない部分があります。このところを回避するのが「譬喩」です。
 「譬喩」は、その人が生活の中で縁する事柄を、上手に活用することが大事です。法華経に説かれる「七譬」は、その一例です。「譬喩」の応用は、私達が生活の中で経験する、全ての出来事にあり、信心を理解させる「譬喩」に活かされます。つまり、信心をしての体験談が、難しい御法門を理解させるための大切な「譬喩」になります。
 『御義口伝』に、「譬喩品九箇の大事」(御書1733)が説かれております。「第一 譬喩品の事」「第二 即起合掌の事」「第三 身意泰然快得安穏の事」「第四 得仏法分の事」「第五 而自廻転の事」「第六 一時倶作の事」「第七 以譬喩得解の事」「第八 唯有一門の事」「第九 今此三界等の事」という九つの大事です。
 「譬喩品第三」では「十四誹謗」(法華経157)についても説かれ、法華経を信じない者は阿鼻地獄である無間地獄に堕ちることを示されます。「十四誹謗」とは『松野殿御返事』に、
「有る人此を分かって云はく『先に悪因を列(つら)ね、次に悪果を列ぬ。悪の因に十四あり。一に鎬慢(きょうまん)・二に懈怠(けだい)・三に計我(けいが)・四に浅識(せんしき)・五に著欲(じゃくよく)・六に不解(ふげ)・七に不信・八に顰蹙(ひんじゅく)・九に疑惑・十に誹謗・十一に軽善(きょうぜん)・十二に憎善(ぞうぜん)・十三に嫉善(しつぜん)・十四に恨善(こんぜん)なり』と。此の十四の誹謗は在家出家に亘(わた)るべし。恐るべし恐るべし」(御書1046)
と仰せです。信心では「十四誹謗」を恐れながら修行することが大事です。