正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

成仏を妨げる先入観と固定観念

2005-11-20 | 手引書⑫

 先入観とは、初めに知ったことによって作り上げられた固定的な観念や見解。それが自由な思考を妨げる場合にいいます。先入見。先入主ともいわれます。 
 固定観念とは、固着観念のことであり、絶えず意識を支配し、それによって主として行動が決定されるような観念。強迫観念とは違って病的な感じはありません。過価観念ともいいます。
 先入観と固定観念が、私達の迷い貪瞋癡の三毒や見思・塵沙・無明という三惑と深く関係しています。
 先入観について、着眼してみますと、その人が生まれてから、現在に至るまで、疑うことなく信じて学び身に付けてきた人生観です。先入観は、我見を作り上げる要素を持ちます。その人生観がどのような経過をたどり、更に思想的な勝劣浅深という物差しで測った場合、どれくらいの価値があるのか、信心において考えることが大事です。
 一度、命の中に入り込んだ先入観は、なかなか直しにくいものがあります。この先入観を正しい仏法と入れ替える作業に苦労するところですが、一度でき上がった人格は、相当な努力を要します。それがまた信心修行になり、成仏につながります。
 先入観の出来上がる仕組みについては、疑う気持ちが全くありません。折伏や教化育成・法統相続には、この先入観の要素を多分に活かすことが必要です。 
 邪宗教では、先入観の要素を利用して洗脳していきます。先入観には、善悪の判断基準は存在せず、吸い取り紙のように、命の中にすんなりと入り込みます。先入観が固定観念となって、自分自身の人生観へ変わり、現在と未来に大きな影響を持ちます。影響を持つと言うことは、生活に直接関わってきます。つまり、対人関係や人間関係の難しさには、お互いの先入観と固定観念が魔の働きとなり、様々な生活空間を作り上げるのです。相手の先入観と固定観念を、信心では勤行唱題に於いて、御本尊様から智慧を頂き明らかに見つめ、人間関係が円滑になるよう対処していきます。そこに「我此土安穏」があります。 
 先入観は、主に生まれた環境と、生きていく上で、五感に触れて自分自身が素直に感じたことにより出来上がります。そこにはまた、過去世に作り上げた業も深く関係してきます。業は、心で感じる部分で影響し、それぞれの性格や人格の違いとして明らかに見ることが出来ます。同じ環境で育っても、個人差が生まれる理由に、過去世の業が関わっていることがいえます。
 私達の成仏には、折伏が必要です。折伏では、相手の先入観を分析していく能力が要求されるわけであります。その分析力が、信心即生活により、生活の中で役立つことになります。折伏で養われた力を生活全般に応用することで、我此土安穏な境界へと変わっていくわけで、善と悪とを見分ける力が、折伏で養われます。生活を快適にする善と、生活を駄目にしてしまう悪を止めていくことに繋がります。
 他力本願的思想が世の中を覆う時代です。他力本願が先入観として多くの人々の心に入り込んでいます。如何に念仏的な考えが、信仰を持たない人の心に入り込んでいるかが窺えます。
 理想的な先入観と固定観念は、日蓮大聖人の教えを心肝に染めることです。大聖人の教えが先入観となり固定観念となれば、人生に於ける多くの苦しみを打開する力が身に付くのであります。その方法が、御本尊様に向かう勤行唱題となり、「信行学」に精進するところに築き上げられ、そこに成仏があります。