伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

震度7の生存確率

2017-03-20 20:23:33 | 実用書・ビジネス書
 防災教育の普及活動を行う一般社団法人日本防災教育振興中央会の代表理事(阪神・淡路大震災の被災者だそうです)と理事が、大地震で震度7の激しい揺れに襲われた場合、その瞬間に何をすることで生き延びる確率を上げることができるか、そのために日頃からどのようなことを考え準備すべきかを解説した本。
 冒頭の第1章が、さまざまなシチュエーションで震度7の揺れに襲われたときに取るべき行動を3択ないし4択で答える方式になっていて、ここがこの本のハイライトです。地震の瞬間に関する12問と日常の備え3問、地震後の避難3問で構成され、地震発災の際の12問の著者が評価した生存確率合計860%に対する読者の答えの合計確率で、生存確率の評価がなされます。私の回答は、760%で、評価は上から2つ目の「サバイバー」(生存の可能性が高い人)でした。もっとも、評価対象から外されている「日常の備え」が全然だめなので、現実の生存確率が高いとは言えないでしょうし、自分が車を運転しない関係で、車に乗車中の判断が低かったです。
 私たちが子どものころに繰り返し言われた、(教室で)地震が来たら机の下に潜り込むは、震度7では机ごと飛ばされるのでかえって危険で、窓(ガラス)や机等の飛んできて危ないものから離れてしゃがみ込むべきだそうです。同様に調理中の場合、ガスの火を止めようとすることは震度7では危険(止めるのは無理)な上に今は震度5強以上の強い揺れがあるとガスの供給が自動的にストップするので無意味なのだそうです。
 そのほかに、地震の時にけがをすると生存確率が大幅に低下する(救急車が来ないので平時なら死なない程度の怪我でも死ぬ可能性が高くなる、移動能力が落ちて危険を避けられなくなる。102~105ページ)、倒壊物の下敷きになるなどして筋肉の30%を3時間挟まれると筋肉が押しつぶされることで発生したカリウムやミオグロビン(筋肉中で酸素を貯蔵するたんぱく質)が救出の際急激に体内に回り「クラッシュ症候群」を引き起こして死に至る(116~117ページ)ということも頭に入れておくべきでしょう。クラッシュ症候群というのは初めて知りましたが、せっかく生きて救出されたのに、その救出で圧迫がなくなって死亡するって、あまりにも悲しい。
 そして、大災害に直面すると多くの人は動けなくなるのだそうです。震度7の揺れがあると物理的に動けなくなりますが、それだけではなく、心理的に日常の無意識の刺激→反応/行動のシステムが働かなくなることや麻痺がおこることで動けなくなり、70~75%の人は何もできなくなり、15%以下の人が我を失って泣き叫び、落ち着いて行動ができる人は10~15%程度だとか(123~126ページ)。大きな災害が起こったときは、事前の準備(情報の収集)と麻痺から覚める/覚ますため大きな声を出すことが大事だそうな(126~127ページ)。
 災害時のしゃがみ込みは、著者が「ゴブリン・ポーズ」と呼ぶ、片膝をつき(片膝とその足の先ともう片足の裏3点で体を支える)両手の拳を頭の上側につけて脇を締める体勢で行うべきだそうです。拳を握るのは、頭部への落下物に対して拳がクラッシュ(骨折する)ことでクッションになって頭部を守るのだとか…考えるだけで怖い/痛いけど。
 首都直下地震とその後の状況をシミュレーションした第4章も悲しくおぞましい記述が続きますが、そういったことも含めて、いろいろと直視すべきことがあると考えさせられました。


仲西宏之、佐藤和彦 幻冬舎 2016年12月15日発行

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