伊東良徳の超乱読読書日記

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ダ・ヴィンチ絵画の謎

2017-07-12 23:57:28 | 人文・社会科学系
 レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画のうち、「モナリザ」と「聖アンナと聖母子と子羊」を中心にレオナルドの意図等を、レオナルドが残した膨大なメモ類からレオナルドの自然観・地球観・絵画観などを読み取ってそこから論じた本。
 レオナルドの父親が公証人で様々な裕福な宗教団体の代理人を務めていたため大口の注文があったがレオナルドが悪戦苦闘した挙げ句にすべてを未完成のまま放棄し、債務不履行のため信用を失い、フィレンツェを離れミラノに移住した(51~54ページ)、ミラノでも契約通りに完成できず何年も放置して訴えられた(59ページ)、「南半球の水の重さが大地を押しているので、北半球のユーラシア大陸とアフリカ大陸が海面から突出したと考えている」(73ページ)などの説明は、天才・偉人のレオナルド像を見直させるもので興味深く思いました。
 大地の隆起(それ自体は、現在は、プレート・テクトニクス、ホットプルームによる造山運動として理論づけられるわけではありますが)についてのレオナルドの考えから、「モナリザ」「聖アンナと聖母子と子羊」の背景、特に遠景の切り立った岩山、その崩落、川の流れなどとのつながりはいえるのでしょうけれども、そこに示された意図については、著者も必ずしもすっきり説明できていないように感じられますし、「モナリザ」の制作経緯に関する推理はロベルト・ザッペリの仮説(155ページ~)に依拠しているので、著者が見事に謎を解いてくれたという読後感を持ちにくいのが哀しい。


斎藤泰弘 中公新書 2017年3月25日発行
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