伊東良徳の超乱読読書日記

読んだ本の感想を中心に本に対するコメントを書き散らします。読み終わった本は図書館に返すのでフォローは保証できません。

クラウド・ガール

2017-09-08 00:25:02 | 小説
 著名な作家だった母と大学講師の父の間に生まれた、父に愛着を持ち続け妹からはファザコンといわれ母に愛されたかったという欲求を持て余し複雑な思いを持つ大学生の理有と、浮気性のイケメン男と同棲状態にあるシスコンの高校生杏の姉妹が、母が行きつけだった美容室のオーナー美容師広岡、母が集めていたぬいぐるみ「ベスティ」が置かれていた喫茶店でバイトする光也らと関わり合いながら、父母の過去への思いなどをぶつけていくという展開の小説。
 著名な作家だった母の言葉として「可哀想な人とか、社会的弱者を主要人物において悲惨な状況やストーリーを書いて、読む者の感情を著しく揺さぶるような小説には、誠意が感じられない」と書いています(155ページ)。作者の信条なんでしょう。いわゆる社会派とか(昔の言葉だと「プロレタリア文学」だとか)言われる人が嫌いなんでしょうね。
 終盤で、姉妹間で、過去にあった事実、父母への評価が矛盾対立し、事実と幻想/妄想の境が曖昧にされていきます。おそらくは、そこがテーマで、真実を突き詰めることの不可能性/不要性をいい、自身の持つ幻想/妄想と折り合いをつけながら、過去に囚われずに生きていこうというようなことを言いたいのかなと思いました。


金原ひとみ 朝日新聞出版 2017年1月30日発行
「朝日新聞」2016年9月1日~12月30日連載:う~ん、記憶にない (^^;)
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