伊東良徳の超乱読読書日記

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武道館

2016-10-29 19:07:03 | 小説
 武道館ライブを目指す売り出し中のアイドルユニットの心情を描いた青春小説。
 生きていく上での選択、自分が選択する以前に周りから定められ/期待されている選択、「正しい選択」をしようとして何が正しいのかを思い悩み戸惑いためらう姿、予め正しいとわかる選択などない、「正しかった選択」にするのだという吹っ切り、といった自分の意思での選択をめぐる問いかけをテーマにしています。アイドルとしての生きざまだけでなく、「その欲をかなえるために、まず無料でできる選択をするようになったのは、いつからだったろう。」(114ページ)と、一消費者としての選択にも疑問を投げかけています。「だけど、無料で手に入るものとはつまり、全員が同じように手に入れられるものだ。」「そんな銀河の中に、自分を、自分だけを形成してくれるものは、あるのだろうか。」(114ページ)はどうでしょうか。ある意味であまりこだわりのないことがらであれば質を犠牲にしても無料のものを選ぶというのも、その人の選択だし、有料だから、高いからそれに見合った質が確保されているとも言えず、自分がその質を見極められるなら質と価格をにらんで選択することもありだと思います。ただ自分にとって重要なことで、質を見極める目がないときに、それでいいのかなぁとは、思いますけど。業界人としては、人生かかったような事件で、数千円とか1万円くらいの相談料を惜しんで無料の法律相談とかさらにはネット情報を自分でいいように判断して対応するのはどんなものかなと。その人にとってたいしたことじゃないからそうしてるんだと思うことにしていますけど。
 アイドルのファンの姿を「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」(166ページ)と問題提起しています。ネットの世界では、後者の人たちが多いのだろうという書きぶりです。それは、アイドルのファンということに限らず、ありがちで、そういう投稿を見るにつけ、悲しくなるのですが。


朝井リョウ 文藝春秋 2015年4月25日発行
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