伊東良徳の超乱読読書日記

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深読み!絵本「せいめいのれきし」

2017-05-15 23:32:06 | 自然科学・工学系
 絵本「せいめいのれきし」(バージニア・リー・バートン、石井桃子訳、1964年:原書は1962年)の改訂に当たり、改訂版の監修者の著者が、絵本には盛り込めなかった知識や研究成果などを加えた解説をする本。
 地球の歴史の様々な時点においてどのような生物がどのように生存していたかの概要を読むことで、私たち人間が持ちがちな、生物が「霊長類」「人間」に向けて「進化」してきたのだという考えが誤りであることを認識させてくれます。
 例えば、2足歩行をするようになったことで人間は手(前肢)が自由になり道具が使えるようになり、また脳を大きくすることができ、文明を発展させることができた、人間のみが2足歩行をするようになった、というような言説をよく目にします。しかし、恐竜を例にとると、「最初の恐竜は二足歩行であったと考えられています」(27ページ)、「最初の恐竜は二足歩行だったのですが、後ろあしの2本の柱で体重を支えるより、4本の柱で体重を支えたほうが有利ですから、体の大型化とともに、四足歩行に『戻った』ものが現れました」(31~32ページ)とされています。
 また、食物がふんだんにある時代は体の大きいもの、速く動けるもの(恒温動物)が競争上有利でも、食物が少ない時代、気温が低い時代には少ないエネルギーで生存できるもの(体の小さなもの、変温動物)が競争上有利だということも示されています。
 生物は、特定の方向に「進化」するのではなく、様々な種が併存する中で、その時々の環境に応じて、より適応できた種が繁栄する(多数生存できる)、つまり環境への適応で体の構造や特性が変化すると考えるべきなのでしょう。人間が「進化」の「頂点」なのではなく、単に現在の地球環境の下での競争に勝っているだけと考えることが、素直にできる、というかそういうことを考える材料になる本だと思います。


真鍋真 岩波科学ライブラリー 2017年4月13日発行
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