伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

検証 福島原発事故・記者会見3 欺瞞の連鎖

2014-05-12 20:30:24 | ノンフィクション
 福島原発事故以降東京電力の記者会見に出席し続けている著者が、東京電力の記者会見での姿勢、特に事実を認めず隠蔽し続ける様子を中心に、一向に収拾に向かわない福島原発事故のその後をレポートした本。
 3作目になるこの本では、前半の4章を汚染水問題に充てています。例えば第2章では、汚染水の海への漏洩が疑われながら、いつまでたっても漏洩を認めようとしない東京電力と、漏洩してるに決まってると思いながらも東京電力が認めなければ書けない大マスコミの記者たち(東電がメルトダウンを認めるまで2か月間もメルトダウンと書けなかった記者たちの姿と重なる)、2013年7月10日に原子力規制委員会の島崎委員長代理から観測孔の水位が潮位と連動していないかの確認を要請され記者からも度々観測孔の水位データの公表を求められながら、そして観測孔の水位のデータは連続的に自動記録されていて東電が当然に把握しているにもかかわらず7月18日の記者会見で記者に観測孔の水位データの観測について聞かれて尾野昌之原子力立地本部長代理が「毎回ということではない。適宜、という状況であったと聞いている」「現場の線量もあるので、ある程度定期的に測りに行っているが、汲むたびに毎回ということではないということだった」などと嘘を言い続けて、参議院選挙投票日まで汚染水の漏洩を隠蔽し続けて、投票日の翌日の7月22日に初めて観測孔の水位データを発表するとともに汚染水の海への漏洩を認めたという経緯がわかりやすく書かれています。それにしても、この例に限らず、東京電力は都合の悪いことについてはどんな嘘でも平気でつけるのだと呆れますし、東京電力の担当者というのはこれだけ嘘を言い続けてよくその後も平気で人前に出ていられるものだと思う。
 切れ切れに報道される事実を、東京電力の姿勢・やり口を思い起こしつつ復習・再検討するのによい本だと思います。


木野龍逸 岩波書店 2014年2月27日発行
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