零

　何だかホラーゲームがしたい！といつものように突然思いついた私に付き合い、兄と古本屋に行きました。

　私はホラーゲームが結構好きなんですが、反射神経が切れているのと、三半規管が枯れて茶色くなっているせいで、敵に襲われてもその場でくるくる回ってたり、画面酔いしてわたし自身ダウンしたりとゲーム処ではありません。

　故に私はゲームをしている人を横から見るのが好きなんです。

　ん？何か変態ぽくなった。何か違う。

　ええと、ゲームをしている人の横からゲームを見るのが好き。これが正しいですね。

　というわけで兄がしたがっていたゲーム「零～紅い蝶～」を中古で買ってきました。

　ゲーム自体を良く理解していないおばあちゃんと、どうでもいいお母さんのいる居間で始めたんですが、明るい２人がいるせいで怖くない。

　でも我慢して続けました。まあ、私は怖かったですしね。

　基本的にこのゲーム画面が暗いので真っ暗なシーンが一杯なのですが、その中を主人公が歩いている時、ドキドキしているまさにその時、

　「あ！お化けが映ってるよ！」

　おばあちゃんのマジな声に私はドキッとしました。

　このゲームの敵はいわゆる幽霊みたいなもんですからね。

　何処だ何処だと暗い画面を探しているとゲームをしている兄が一言。

　「そればあちゃんの顔が映ってるだけだろ？」

　暗にばあちゃんの顔が化け物だと言った兄にちょっと吹き出しました。

　「あんた！何失礼なこと言うんな！そこに映ってるでしょ！」

　私の角度からは見えなかったのですが、画面に映ったお化けもニコリと笑っていたそうです。

　そう、正体は画面に映っていた私の母でした。ゴーン。

　「あんたやないね！！」

　兄にお化け呼ばわりされたおばあちゃんは怒りを横にいる母にぶつけました。

　その姿はまさに・・・・げふんげふん。

　結局兄はおばあちゃんに「ごめんなさい」を言わされ、ゲームは怖くないままその日は中断。

　懲りた兄は二階の私の部屋でゲームをするようになりました。

　がんばれ、兄ちゃん！