詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

パオロ・ジェノベーゼ監督「おとなの事情」(★★★)

2017-07-27 08:47:37 | 映画
パオロ・ジェノベーゼ監督「おとなの事情」(★★★)

監督 パオロ・ジェノベーゼ 出演 スマートフォン

 三組の夫婦、一人の独身男が集まり、食事会。一組の「新婚」のお祝いを兼ねているのかも。その食事のテーブルで、ゲームが始まる。
 電話がかかってきたらスピーカーをとおして会話する。着信したメールは公開する。みんな親友なのだから「秘密」はないはず。でしょ?
 でもね。
 みんな「秘密」をもっている。それが電話、メールのたびに明らかになって、だんだんそれぞれの夫婦仲があやしくなってくる。愛していることに間違いはないのだけれど、不信感が強くなる。愛は最初は強くてだんだん弱くなるのに対して、不信感は一度持ってしまうと消えることがない。愛とはまったく逆に動く。
 問題は(?)は、このグループにゲイがいたこと。
 一人の男が「女が毎晩写真を送ってくる。スマホが同じだからきょうだけ交換して」と独身男に頼む。で、なんとか「女の写真」問題を乗り越えるのだが。そこへ独身男の恋人からメールがくる。電話がかかってくる。ゲイだった。突然、ゲイを隠していたことになってしまう。みんなの態度ががらりと変わる。「俺はゲイげはない。この電話は俺のではない」と言ってしまうと、クリアしたばかりの「女の写真」の問題が持ち上がってくる。隠していただけに、問題は大きくなる。どうしよう……というどたばたがある。
 ほかは、精力をもてあまし何人もの女に手を出していることがばれたり、フェイスブックの男とメールのやりとりをしていたりという、まあ、「単発」ものというか、話題(?)が他人にはあまり広がっていかない。
 そのなかで、「秘密ではない秘密」がある。高校生の娘から父親に電話がかかってくる。「男友だちの家に誘われたのだけれど、行っていい?」これに対する「答え」がなかなか心を揺さぶる。そうなることが半ば予想できたのだろう、父親は娘にコンドームを渡していた。娘はそのことも電話で語る。「コンドームをくれたのは初めて。どうしてくれたの?」さて。いろいろなことを言うのだが「笑って家に帰れるという自信(?)があるなら、男友だちのところへ行きなさい。そうでないなら、ことわりなさい」というような結論。
 ここが美しすぎて、コメディーになりきれていない。
 のが、残念だけれど。
 このシーンと、ラストシーンが好きだなあ。ゲイの男にはときどき「エクササイズメール」がくる。それがくると何をしていても体操をする。そうすると減量できるというシステム。車を運転して帰る途中、そのメールがくる。橋の上。車をとめて、歩道で体操をはじめる。その律儀なおかしさが、とてもうれしい。
 いろいろあったけど、なんとなく元におさまってめでたしめでたし。いつもとおなじことがつづくだけ。いや、つづけるだけ。それが夫婦。その感じがとてもよく出ている。独身の男に、そういうことを象徴させているのが、軽くていい。
 ほぼ会話だけ、ほとんど一室でのストーリーなのだが、脚本が非常によくできていて、それぞれの登場人物をいきいきとさせている。
                     (KBCシネマ1、2017年07月26日)

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