醸楽庵だより

芭蕉の紀行文・俳句、その他文学、社会問題についての評論

醸楽庵だより  398号  白井一道

2017-05-15 14:33:25 | 日記

 大学新入生コンパ

  新入生コンパの軽薄な遊び
 五月、大学の学生部の職員は忙しい。新入生歓迎コンパが開かれると、急性アルコー
ル中毒のため救急車のお世話になる学生が続出する。これを防ぐため、学生部の職員はあらかじめ酒の飲み方を指導する。東京の有名私大に勤める職員から聞いた話である。以前、猫協大学に勤め川間に住む安西さんからも同じような話を聞にいた。今や、どこの大学でも同じような指導をしているようだ。
 酒を飲んだことのない新入生に無理に飲ませ、楽しむ先輩たちがいる。今から670~80年前、鎌倉時代に生きた吉田兼好法師が徒然草の中で書にいている。後輩をいじめて楽しむ風習は昔も今も変わらないようだ。
「世には、心得ぬ事の多きなり。ともある毎には、まづ、酒を勧めて、強ひ飲ませたるを興とする事、如何なる故とも心得ず。飲む人の、顔いと堪へ難げに眉を顰め、人目を測りて捨てんとし、逃げんとするを、捉へて引き止めて、すゞろに飲ませつれば、うるはしき人も、忽ちに狂人となりてをこがましく、息災なる人も、目の前に大事の病者となりて、前後も知らず倒れ伏す。祝ふべき日などは、あさましかりぬべし。明くる日まで頭痛く、物食はず、によひ臥し、生を隔てたるやうにして、昨日の事覚えず、公・私の大事を欠きて、煩ひとなる」。
 遠慮がちに何も話せず、ただ黙って隅に座っている新入生に酒が入ると人が変わる。指名されると大声で歌う。裸踊りだと言われると脱き始める。先輩たちのお囃子にのってのどんちゃん騒ぎは盛り上かっていく。トイしに連れて行かれた新入生は無理やり自分の手を喉の奥に突っ込むよう強制ヤれ、うぉっと吐潟ゃせられる。口の廻りを乱暴にタオルで拭われ、表に引き出されてフラフラと新入生は家路につくことになる。
 明日になると新入生の頭は痛く、食欲はなく、体を動かすことができない。やむを得ず、床に着いてにいると『息が臭くて堪らないね』などと母親に嫌みを吉われる。この世に生きているとは思えなにいような状況で新入生は臥せったままでいる。どうしてこうなったのか、昨日のことを思い出すことができない。授業に出ることもできず、バイトにも行くことができない。新入生をこんな目にあわせる先輩たちには、優しい心があるのだろうか。世間の礼儀にも反していないのだろうか。このような事が他所の国であると聞いたなら、きっと私たちは妙で不思議な事だと思うに違にいない。もう三十年近く前のことだろうか。東大生か山中湖で行った新入生歓迎コンパで死者を出した。この事件が大きく報道された。報道の趣旨は東大生の奇妙な不思議な慣習として常識を逸した行為として糾弾されていた。しかし、七百年以上前の鎌倉時代の日本で既に酒宴においては似たようなことが行われてにいたようだ。
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