歩き続ける

キーワード 歩く,立つ,座る,呼吸する,身体感覚,心と体

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2017-02-23 23:24:13 | 日記
その日は20キロほど歩いて、伊予三島駅の近くで宿泊。旅館の名前は忘れてしまったが、ここでも遍路の私は大事にされた。そこは工事関係者が多い素泊まり旅館で、お客は各自で食べ物を買ってきて部屋で夕食を取るようだったので、私は到着して直ぐ、夕食用の買物を済ませた。ところが、部屋に戻ると夜まで待ちきれず、そのまま座り込んですっかり食べてしまった。食べ終わって、寛いでいると旅館の女将が、「これをおかずに」と大量の天ぷらをもってきた。
私は、ありがたく受け取ったが、到底食べきれそうもない。どうしたものかと思案していると、先程、買物を済ませて戻ったとき玄関先で見かけた男性と廊下で出くわした。
その男性は、よほど気が短いようで、ちょっとした仲間の失態を、すごい剣幕でどなっていた。歩き方からするとまだ興奮が収まらないようで、睨み付けるように私を見た。私はとっさに「もしよかったら、食べてもらえませんか」と天ぷらを差し出した。その男性は、意外な展開に戸惑ったようで、急にしおらしいくなり、か細い声で「ありがとうございます」と返事してくれた。
遍路旅は、自分を変えてくれるようだ。普段の自分なら、ついさっきまで怒声を浴びせた人には絶対近づかない。ましてや物をあげようなどとは思いつかない。ところが、私は何のためらいもなく、こうした行動を取ってしまった。そんなときは相手の性格も変わるか、まるで悪戯を咎められたような少年のようなしぐさにみえた。
翌日は六十五番三角寺を打って、夕方4時前に岡田屋に到着した。旅館の庭先では80にはなろうかと思われる柔和な笑顔のご主人が出迎えてくれた。ご主人は、何十年もの間毎日夕方近くになるとこうして、庭先で遍路客を待っているという。不思議な魅力があり、側にいるだけで癒される。私は、すっかりこの方が好きになり、側から離れるのが惜しくて、部屋に荷物を置いた後、すぐ庭先に戻り一緒に客待ちをさせてもらった。
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