★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

赤面逆上的混乱苦痛とともに、誤謬の訂正的発狂状態が起る(坂口安吾)

火花とでかぷりお

2017-06-10 22:42:35 | 文学


真樹さんは神谷さんの恋人?であったが、他に男ができた。で、主人公と神谷さんが、上石神井にある真樹さんのアパートへ神谷さんの荷物を引き取りに行く場面、数年後に井の頭公園で真樹さんを観たことがあると回想する場面がよかったね。。――突然時間が飛ぶので、主人公の精神が小説中の時間とはもう決定的に離れていることを予感させるところである。すなわち、この小説は、別れが――相方との別れとか神谷さんとの別れとか観客との別れとかが、主人公のある種の内面をつくってゆく物語である。それは主人公にとって、自分の相手に対するポジションを上げ下げすることではなく、相手の精神のエッセンスを吸収することでもないような、謙譲性を形作っている。わたくしは、又吉氏の小説を勝手にもっと太宰治風だと勘違いしていたが、太宰の恐ろしいまでの思い上がりは彼にはなく、芥川龍之介という感じがした。芥川の小説と同じく、主人公の内面が密度を増して弧獨になってゆくに従い、描かれた地名や人名を含めて、だんだんと作品世界が神話的な相貌を帯びてくるようだった。無論、こうなるのは、「火花」に描かれているのが、単に人情や恋愛といった軋轢ではなく、お笑い世界の激しい批評的闘争だからである。これがないところでは内面ではなく絆とかが描かれることになるであろう。



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