★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

赤面逆上的混乱苦痛とともに、誤謬の訂正的発狂状態が起る(坂口安吾)

今年の蝉2017

2017-07-29 20:35:04 | 日記
今年も蝉の季節です。

下方に妖しい影あり


蝉様





我が大学の構内は、夏になるとこの人たちの大声ですごい騒ぎになります。正直、鼓膜がどうにかなりそうです。なぜ蝉様はこのような美しいフォルムをしているのに、日本の大衆より付和雷同的な変態なのでしょうか。個性というものが全くありません。というわけで、蝉に擬人法をつかう場合、作者もちょっとおかしくなければなりません。

ねんねんよ。おころりよ。ころ、ころ、ころ、ころ、おころりよ。
ねんねんよ。おころりよ。おゝしいつくつく、ねんねしな。
ねんねんよ。おころりよ。みん、みん、みん、みん、ねんねしな。
ねんねんよ。おころりよ。かな、かな、かな、かな、ねんねしな。
ねんねんよ。おころりよ。めんめが覚めたら、何あげよ。
おつぱい、おつぱい、おいしいおつぱい。好い兒の坊やのおいしいおつぱい。
おあがり、おあがり、おゝしいつくつく。坊やのおつぱい、おゝしいつくつくつく。
みん、みん、みん、みん、おゝしいつくつくつく。かな、かな、かな、かな、おゝしいつくつくつく。坊やは好い兒だ、ねんねしな。

――島崎藤村「蝉の子守唄」


特に後半なのですが、こんな調子で寝られると思っているでしょうか。さすが、子どもに対してひどいことをしている藤村だけのことはあります。藤村の脳裡には蝉ではなくかわいい女子の×体がうつっていたに違いありません。いい加減にシテもらいたいと思います。

私は日本のセミの無邪気な力一ぱいの声が頭のしんまで貫くように響いてくるのを大変快く聞く。まして蝉時雨というような言葉で表現されている林間のセミの競演の如きは夢のように美しい夏の贈物だと思う。セミを彫っているとそういう林間の緑したたる涼風が部屋に満ちて来るような気がする。

――高村光太郎「蝉の美と造型」


高村光太郎もこのように身体的な迫害を快感に感じるような人です。こういう人の部屋にはいざとなったら先祖の霊が「陛下が陛下が」と鳴いたりするのです。
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