くまだから人外日記

くまだからくまなのだ。

それでいいのだ。

【偽書】雪華残像(9G) 36

2017-04-25 12:23:25 | 【偽書】シリーズ
「才能ですよ。タレントと申しましょうか」
「確かに月子のこの力はタレントよね」
「そうかな?」
「月ちゃん何だかアイドルみたいね」
姫はよく分かっていないみたいね。執事さんの言いたい事が。
「どちらにしましてもなるべく早く復旧を試みますので」
そう言って扉から出て行く。

「小夜子さんはいい執事さんをお持ちなね」
「持ち物じゃないよ。姫」
「案外驚かなくて少しだけガッカリ。私なんて初めて見た時は心臓止まりそうになったわよ」
「そうしたら月ちゃんに電気ショックを与えて貰うから大丈夫」
「私はAEDじゃないよ」
「電圧強すぎて黒こげになっちゃいそうだわ」
早矢は遠慮しときますとばかりに首をすくめて見せる。
「それにしても、火災報知器の誤報の次は停電?真冬の人里離れた断崖絶壁のお屋敷で怖いのは火と寒さと…お天気ね」
窓を叩く様に北風が吹き付け始め、更に白いものまで混じるに至り、早矢は溜め息まじりに椅子に腰掛ける。
「次は寒さで水道が凍って断水かもよ」
「不吉な事を言うのはやめてよ。悪いことは続きやすいんだから」
月子の軽口に眉を潜める早矢。
「うふふ。楽しいホワイトクリスマスね」
嬉しそうに姫が笑う。
「そんなロマンチックなものじゃないわよ。窓の外も荒れて来ているし、これは、暴風雨…いえ、暴風雪になるわね」
「外は雪か…」
灯油のランタンの灯りを得て発光を止めた月子が早矢に代わって窓の外を見つめる。
「おや…?」
「今度は何よ?」
「誰か外に居る」
「今出て行った執事さんじゃなくて?」
「違うね」
「こんな時間に。しかも停電してるんでしょ。灯りでも持ってるの」
「いや、灯りの類は手にしてはいないよ」
「なら、どれだけ視力がいいのよ。月子は」
早矢が月子の隣りに立って窓の外を注視する。
外は街灯の類も消え、幾つかの部屋からの灯り、アルコールランプの仄かな灯りだけが外に光るだけのほぼ暗闇の世界が広がるだけだった。
「見えないけど」
「…おかしいな」
「見間違いじゃないの?」
「それは無いよ」
確かに昼間は寝てばかりだけれど、夜の月子の視覚聴覚嗅覚は人間のレベルを遥かに超えている。
でも早矢の言う通り、見間違いだって無いとは言えないわよね。



「人だって?」
「真っ暗だよ、桃恵。亡霊でも見たかい」
「まあ、詩織んの動体視力じゃあ、昼間にマンモスが横断歩道で寝ているくらいのスピードを見えるのが関の山ねん」







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