くまだから人外日記

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【偽書】『エトランゼ・異邦人』 12

2016-10-08 14:21:01 | 【偽書】シリーズ
「心理判定終了しました。所長」
「ご苦労様です。そしてありがとうございました。何せこの児相にはフランス語に堪能な職員がおりませんので、先生のご協力は大変助かります」
「子供の会話に毛の生えた程度の語学力ですがね」
「フランス留学までされた先生が何をおっしゃいますか」
「私は語学留学ではなく、バレエの…でしたからね」
「残念ですね。足の怪我さえ無ければ」
「いやいや。これはなるべくしてなったのですよ。それよりあの少女…」
「何か身元の手掛かりでも。それとも不審な事でもありましたか」
「身元の方は何も。でもそれなりに身分の高い親かお金持ちの子女でしょうね。フランス語訛りにスラングの類も有りませんでしたし。私が気になったのは特定の単語に対しての極度の怯えです。特に医療用語への」
「医者とか薬とか注射…などですね」
「かなりの心的虐待が疑われます」
「表向きの病院とかではなく」
「あくまで推測ですが、俗に言う裏の…」
「警察へ届ける際に所見として書類へ記載しておきます」
「多分黙殺されるんでしょうが。彼等は殺人でも絡まない限り、身元不明の外国人少女への正体不明な機関での虐待など関わりたがらないでしょうからね」
「仰る通りでしょうね。流石伊達にフランスでは」
「テ・ゼブ!ストップ!所長。その話は嬉しくありませんわ」
「そうでした。失礼しました」
所長は頭を掻きながら、勿論あくまでもポーズであり、ファイルに収められた書類のナンバリングを確認しながら、その女性に頭を下げる。
「ではまた」
「お手数をおかけ致しました」
「私は、後は早く彼女に平穏が訪れますように、と祈るのみですわ」
バレリーナの所作そのままに小さく頭を下げた女性は扉の外へ消えた。

所長室には溜め息をつく所長の呼吸音以外は沈黙の帳を降ろして、次の来客待ちをするように徐々に熱気を収めていった。



「あのフランス人形ちゃんの件、あの日ら何かあったかい?」
「あの刑事が来てからですか?特に何も」
琢磨医師の問いかけに私は職務上の顔で答える。
「あの刑事、あんたの後輩なんだって?」
「入庁歴ではそうですが、役付きでは彼が上ですから」
私は訂正するように機構の階級を説明する口調で返答した。
「昔の先輩も調査の対象か。まあ、それが彼らの職務だからな。出来れば我々は検案書程度の付き合いに留めたいよ」







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筆者敬白
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