古市くん、社会学を学びなおしなさい

2017-04-21 02:53:24 | 映画、本
タイトルはふざけているのでなく、そういう題名の本がありまして。

古市憲寿氏の本です。
彼は最近、「若者を代表する社会学者」としてテレビに露出しているので、ご存知の方もそこそこはいるのでしょうか。

この本で初めて知りましたが、古市氏は、大学院修士しか卒業していず、博士号を取ってないんですね。「学者」という肩書きは不正確というか、微妙。
「評論家」のほうが事実に近いですが、あえて「社会学者」とマスコミが呼ぶのは、そのほうが視聴者ウケするからですね。

日本では、社会学者といえば宮台真司がいちばん有名で、1990年代のコギャル文化を解説する社会学者として名を馳せました。
以来、日本のマスコミは、社会現象を解説する人として、社会学者をメディアに呼ぶようになり、古市氏もその流れに乗っていて、だから社会学者の 肩書きなんですね。

私が古市氏の出演番組を見たのは、「日本のジレンマ」くらいですが、社会学者のわりに、質問も解説も軽いし浅いし、発言内容に新しさも感じられず、日本の社会学者はレベル落ちたんかな?と思ってました。

宮台真司はじめ、日本のこれまでの社会学者は、けっこうレベル高いと思うんですよね。
小室直樹、見田宗介は、私にとっても非常にありがたい導き手でした。
わたしはアホーですので、わずかしか吸収できてないと思いますが。
特に見田宗介の「現代社会の理論」は、私の仕事でもっとも役に立った本のひとつです。
マーケティングの本質を、あれほど簡潔明快に説明した本を、わたしは知りません。見田宗介は経済学者でもマーケティング学者でもないのに、、、。

話は戻りますが、わたしが古市氏について知ってることは、哲学者の東浩紀が、マスコミにちやほやされてる古市氏を、冗談半分でやっかんでること笑
(東浩紀も、いっときメディアの寵児でしたが、最近は大手メディアには、全く出演しませんのでね。)
あと、冗談半分な言い方をしてるけど、どーしようもなーと言ったら言い過ぎかもしれませんが、ともかく、あずまんは古市氏を評価してないことくらいです。

でもこの本は、意外と(失礼)おもしろかったです。
社会学の入門書として、ものすっごくわかりやすく、しかも内容も鋭いものがあると思います。

まあその鋭さは、古市くんがインタビューに行っている社会学者の諸先生方の鋭さなんですが。

この本は、日本の社会学者の有名どころに、古市くんが「社会学ってなんですか?」と質問しにいく、という内容なのです。
どなたも社会学者として著名な方なので、回答はどれもキレ味鋭く、説得力あるものです。
社会学とは、社会科学において、法律学・経済学・政治学といった学問が説明できない部分、いわば残りモノを対象にしたもの、というのは、確かに納得です。
社会学の真実ですね。

しかも古市くんの先生方についての紹介文と、本文を読めば、社会学の主要な理論や、社会学のスター学者は誰で、それぞれどんな主張をしたのかを、一通り網羅できる構成になっています。
ここはうまくできてるなーと思いました。

あと、古市氏のメディアでの立ち位置というか、振る舞いの理由もよくわかりました。
大先生方へのインタビューのあいまに「研究って、ちゃんとしたほうがいいんですかね」とか「博論書いた方がいいんですかね」などと、古市くんは言っちゃうんですね。

ふつう大先生方にそんなこと言えないし、聞けねーよ!っていう。

古市くんは、「頑張らない」イマドキの若者の代表として振舞っていて、頑張って何かを達成したり、積み上げたりしてる大人達に、そんなに頑張っていいことあるのかなあ? いまいちボクやる気になれないんだよねーとまぜっ返す、という芸風なのですね。

古市くんのイマドキさは、そのまぜっ返しが、これまでの若者にありがちな、大人を見下し冷笑する、といった態度でなくて、「弱っちい軟弱な若者」としてまぜっ返してることなのでしょう。

古市くんが「やっぱり研究、ちゃんとやんないとダメですかねえ、、、」と、上野千鶴子に(!)言うと、
上野千鶴子は「あたりまえだ、今すぐアメリカに留学して死ぬほど勉強しろ!」と答えるわけです。
いかにも上野千鶴子らしい、ガツガツ上昇志向!熱血努力あるのみ!という旧来型のオトナに対し、「はあ、そうですか、、、」と、脱力系・やる気なしな答えを返す古市くん。

上野千鶴子を相手に、よくそんなこと言えるな、という点も含め、なんともイマドキ。

いかにもゆとりっぽい、困った草食男子で、しかも「大人はボクを叱るけど、現実として、ボクけっこうしあわせだし、あんまり困ってないよ? このままでもけっこう世の中渡っていけちゃうんじゃない?」と、暗に言っている。
弱っちいふりしといて、まるで親の脛をかじるニートなようなふてぶてしさ(笑

古市氏への評価として、なんとはなしにムカつく、という意見がある理由がよくわかりました。
私も、こんなやつがいたら張り飛ばしたくなると思います(笑

しかし、古市くんは「カッコつきの自分」、つまり「世間から自分がどのように認識され、世間は自分に何を欲望しているか」を明確に把握し、意識的に演じてるようですね。
バカではないのね、というところでしょう。
もっとも、社会学者たるもの、その程度のことができなければ存在価値はなく、無能というものでしょう。

しかし古市氏は、年齢が30代前半のいまだから、軟弱なイマドキの若者代表として、こういうポジションで生きていけますが、このままだと、社会学者としてまともな業績も残さず、鋭さも深みもない意見しか言えないまま、年をとるわけですよね。

まさにマスコミに消費されるだけの存在で、大丈夫なんでしょうかね。
50歳の彼に仕事はあるのか?というと、これで生き残れるほど、世の中は甘くないと思いますねえ。

なにしろ戦争起こるかもなご時世。
古市くんのような、やる気なし草食男子は、日本が豊かで平和だから、生存できてるだけですからねえ。

日本がもし阿鼻叫喚の地獄になったとき、彼はどう思うんでしょうね。
わたしは、やっぱりこの世は根性出さないと生きられないんだ、と思ってほしいですけどね。

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