白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

お星さまになった少女

2015-08-01 | 画廊の様子
緑のお部屋の中に白いお部屋、またその中に赤いお部屋あって、今は
この赤いお部屋の中~緑の季節を過ぎて梅雨が明けて夏が燃えています。
真夏の陽射しをいっぱいに浴びて花たちが赤、黄、紫、白もこれ以上は
鮮やかに染まらないほど誇らしげに花びらを広げています。
二十四節気の夏の最後、大暑は大地が潤い穀物が実りやがて秋を迎える
力に満ちた時季です。

今日から八月、蒸し暑い中にも心なし風が木の葉を揺する音がさらさら
聞こえてきます。
笹の葉、短冊、花火、星屑、天の川、団扇、浴衣、盆踊り、提灯、太鼓、
朝顔とまだまだ夏の風物詩は星の数ほどきりがありません。

八月七日は月遅れの七夕祭り、雨でも晴れでも夜空を見上げて心の中の
お星さまに願をかけます。
やがて迎えるお盆のために身を清める日でもあります。

今日の一枚の絵  「星まつり」 竹久夢二  リトグラフ
  彦乃は夢二ひとすじに心を燃やした少女でした。
  画を学ぶためとは表向きの理由で彼女を溺愛する父親の手を逃れて
  京都の夢二のもとに身を寄せましたが一年余りの蜜月の日々は
  彼女の結核という病とその後の死によって終わりを告げました。
  この京都時代、彦乃をモデルにした夢二の絵はそれまでにない傑作を
  次々に生み出すことになりました。
  いくぶん切れ長の瞳、面長の顔、初々しい品の良い少女の面影は
  彦乃でしょう。夢二はこの女性を心から愛し自らの手をもって飾って
  やりました。
   青麦の青きをわけてはるばると逢ひに来し子とおもへば哀し
                         夢二  
  夢二の元へ胸を焦がして通ってきた彦乃を愛おしく思って詠んだ
  のでしよう。

青い空、輝く太陽、大きな白い雲、ひまわり、金色の麦畑、じゃがいもの
白い花、目の前に広がる北海道の夏です。

いつもの散歩道、小さな麦畑はもう黄金色、たった一本ひまわりがはずかしそうに
顔を傾げていました。 

~ひまわりの三本まではまあ許す~と坪内稔典先生の一句思い出しました。 
群れて咲いているのは好きではないと。(笑い)
今日、行ってみたら麦は刈り取られていました。 s・y