白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

あくがれ

2016-11-08 | 画廊の様子

今日の一枚の絵 「賢女烈傳 和泉式部」 歌川国芳 木版 多色刷り
                      天保14年~
  ~和泉式部が加茂神社参拝の折、草履の鼻緒が指をかみ、付き人の広輔に
  紙を巻いて手当をしてもらう場面~

これを見た神主の忠頼が「千早ぶるかみをば足に巻くものか」と問えば
和泉は「これをばしものやしろとぞいふ」と返しました。
紙は神、足は下とかけて守る神と下加茂神社になぞらえたので彼女の聡明さに
忠頼はつくづく感心したという。

和泉式部日記は1003年4月から1004年1月までの10か月の間に書かれた
人を愛する喜びと哀しみ、苦しみにふるえる心模様を夢物語風に綴った日記です。
~夢よりもはかなき世の中を嘆きわびつつ明かし暮らすほどに~と始まります。
        (男女の仲)

~今は亡き恋人弾正宮さまを想い嘆き暮らしておりましたら、五月半ばの頃、花橘の
一枝がほのかな香りとともに贈られて参りました。
亡き宮の弟君帥宮さまからの恋のお誘いでございました。
驚きました。まだ、あの美しい宮さまとの日々が忘れられませんのに。
それからは次から次へとおなぐさめのお手紙やらお心を打ち明けるお手紙を
贈ってくださいました。私は心の扉に鍵を掛けておりました。
でも、闇のなかに隠れれば隠れるほどにお慕いする心が深くなっていきました。
耐え難い想いがついに私を道ならぬ恋の虜にしてしまったのでございます。
いつの間にか木々の葉が錦の色に染められたある日、宮さまは庭の檀の一枝を折り
「言の葉ふかくなりにけるかな」と二人の心は堅く結ばれているねとささやいて
くださいました。私はただただ幸せの涙に暮れて「白露のはかなくおくと見しほど
に」とお返しいたしました。~
 
この四年の後、宮さまは若くして亡くなられました。
和泉式部は宮さまへの愛と哀しみの追憶の歌を
その歌集に溢れるほどに詠み収めたのです。     

   物おもへばさはのほたるもわが身よりあくがれいづる魂かとぞ見る

白露よりも夢よりも現世よりもはかないと嘆きつつその恋を胸に抱きしめて生きた
和泉の魂は蛍に身を変えて愛する人の元へと行き着いたことでしょう。
                                s・y

今日のおやつ
カトルカール カラメルソースをたっぷりと型に流して焼きました。



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