できるだけごまかさないで考えてみる

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

で、そんな不公平採用をして憚らない「岩波書店」は、どんなメッセージを発していたっけ?

2012-02-15 00:33:30 | メディアリテラシー・マスゴミ考察

前記事にも書いたように、今では本屋でめっきり手に入れにくくなった岩波書店の月刊誌、『世界』。たまたま、昨年(2011年)の6月号を持っている。このときはまだ、本屋で売っていた(笑)。

 

世界 2011年 06月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
岩波書店

 

『世界』は、以前から反原発の論調で有名だった。この号も、「原子力からの脱出」と称して、

・小出裕章

・川内博史

・河野太郎

・孫正義

など、反原発の名だたるメンバー(笑)が寄稿している。中でも小出万年助教の文章は永久保存版というくらい面白い。

 

もはや「ギャグ」としか思えないのは、この雑誌が、20ページに、「世界の潮」という大タイトルで、こんなタイトルの記事を載せている点だ。

・最高裁判決で拓かれた「一票の格差」の新局面 宍戸常寿

 

 

 

・・・「一票の格差」なんぞを大上段から論評するヒマがあったら、自社への就職を希望する志願者を、できるだけ「平等」に審査するシステム作りをとにかく作ってからにする方がよかろう。自社へ就職を希望する志願者には、

・岩波書店の著者あるいは社員からの紹介状

を要求する「不公平採用」を平気でやっておきながら、

 

・最高裁判決で拓かれた「一票の格差」の新局面

 

とは、一体どのクチが言っているのかという話だ。読売からもチクリと刺されている。

 

 

岩波「縁故採用」に波紋…厚労省調査、擁護論も (読売新聞 2012年2月14日14時39分)

 憲法や人権など硬派のテーマで出版界をリードしてきた岩波書店が、2013年度の社員募集要項で「著者か社員の紹介」があることを採用の条件としたことに波紋が広がっている。

 縁故採用に限定するような印象を与えるだけに、厚生労働省が調査に乗り出す事態になった。だが、「学生の熱意を期待しているのだろう」と擁護する声もあり、学生の反応も複雑だ。

 「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」。同社は、こんな注意書きを太字で示した社員募集要項をホームページで公表し、今月になって一斉に報じられた。

 人権問題などで知られる同社だけに反響は大きかった。厚生労働省就労支援室は、「公正な採用選考を呼びかけている国の立場からすると見逃せない」と厳しい目を向ける。小宮山厚労相も3日の記者会見で「早急に事実関係を把握したい」と明言し、東京労働局などが調査を行っている。(ここまで)

 

人権の問題とは、どんなに少数であっても、どんな弱者であっても、憲法で保障されている権利は明確に存在するのだという考え方から思考をスタートさせる。上記の「一票の格差」の問題も、人口が多い地域の一票と、人口が少ない地域の一票の影響力があまりにも異なれば、政治家は一票の影響力が大きい地域の利益を優先させる政策ばかりを行うだろうという、「平等性」に関するきわめて重要な議論である。そういう重要な議論を行っているつもりになっている岩波書店が、自社の就職希望者には

「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」

などという、「自社と同じ価値観を持っているような志願者しか選考の対象にしません」

と言っているに等しい、全く持って不平等な選考基準を公言しているのだ。これが、社運をかけたギャグでなくて一体何だというのか(笑)。

 

おそらく、『世界』でひたすら訴えている「脱原発」も、ただのギャグなんだろうな(笑)。

 

この「岩波ロケット」が、今後、どこまでスムース(笑)にぶっ飛んで行くのか、見物である。

ジャンル:
社会
キーワード
一票の格差 厚生労働省 クリエーター
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3 コメント

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Unknown (ぶぶ)
2012-02-16 18:57:28
この募集要項って、厚労省で問題にはならないのでしょうか?ハローワークに出す際は、年齢とか性別の条件入れれないですよね?

岩波って、世界の名作とか、専門書とか、固定客がいるものが中心ですよね。だから新しいも企画とか必要ないって思ってるのかしら?

保守的なのはいいですけど、閉鎖的なのは会社にとって危険な気がしますね・・・
例外事由 (白河)
2012-02-16 19:50:33
この前の記事に、岩波の求人ページのSS(スクリーンショット)を貼っておいたのですが、そこに

>(雇用対策法施行規則第1条の3第1項[例外事由3号イ]による)

とあるのですよね。つまり、例外事由に該当すれば、ある年齢以下に絞って募集ができます。今でも続いている「新卒募集」という慣行は、この「例外事由3号イ」を根拠として行っています。

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=2&H_NAME=&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S41F04101000023&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

ここの「第1条の3のイ」には、こうあります。

>イ 長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限り、かつ、当該労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合であつて学校(小学校及び幼稚園を除く。)、専修学校、職業能力開発促進法 (昭和四十四年法律第六十四号)第十五条の六第一項 各号に掲げる施設又は同法第二十七条第一項 に規定する職業能力開発総合大学校を新たに卒業しようとする者として又は当該者と同等の処遇で募集及び採用を行うときに限る。)。


長々と書いてありますが、要するに、長期間継続して雇い、その中で社員としての能力を開花させようというときは、ある年齢以下の希望者に絞っていいってことなんですよね。

ハローワークでも、この例外事由を根拠に、ある一定の年齢以下しか募集していない案件があるはずです。まあ、例外を使えばいろいろできるっていうことですな。


で、岩波の場合は、「社員または岩波書店の著者による紹介」を条件とすることに関して、上に挙げた新聞記事の通り、厚労省が調査に入っているようですが、その結果がどうなるかはわかりませんね。「指導」で終えて、岩波の反応を見るか、「例外事由の根拠が弱い」という根拠で、より強い法的措置を行うかはわかりません。


この前の記事にも書きましたが、岩波の社員の頭の中には、

「岩波書店で出している本だけで、日本人にとって本当に必要な本は足りているのだ」

という前提がガッチリと存在しているのでしょうね。だから「新しい血」はいらないと。


「保守」も、どのくらい守ろうとすれば「保守」と言うのか、あるいは「自称保守」だからと言って、「全て今のままでよい」と言っているわけではない、などの問題がけっこうあるはずなのですが、岩波的には、

「ウチの今までのやり方はまちがっていない!」

という確固とした自信に満ちあふれているのでしょう、全社的に(笑)。
Unknown (ぶぶ)
2012-02-17 01:09:36
適当なコメントをして失礼しました。厚労省が調査を行っているって記事にありますね^^;。

例外事由もあるのですね。勉強になりました。

岩波は”古くさい”印象だったのですけど、刊行物では”人権問題”を訴え、社員の採用では排他的(紹介のない人の権利は否定している?)。

これもあくまでもイメージですが、すごく”サヨク”っぽいです。

”岩波イズム(?)”に忠実な社員でないといけない、みたいな風潮があったりして^^;

いつも興味深い記事をありがとうございます。

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