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アンフェアthe movie ネタバレなし編 とバルト9(カルトQではない)

2007-03-20 13:37:03 | 映画などのエンタメレビュー

 いや~、いろいろあって、更新が遅れた。この映画は色々な意味で40点(/100点)!

ワンシーンより。今一番風が吹いている女優であろうと思うが、この映画ではやや空振りか。

 最近はドラマの最終回が多くて、ドラマ系のネタの方にドライブがかかっているが、この流れに乗じてようやく映画レビューができる(ブログにも勢いが必要だ)。ここで映画レビューをやるのは実に1年ぶり以上か。篠原涼子つながりで、つい「アンフェア the movie」を観に行ってしまった。以前から、「ネタバレなし版」を作ると「ネタバレあり版」を作るのがおっくうになって放置してしまっていたことが多かったので(以前のレビューを呼んでくださっていた方々、申し訳ありません)、今回は両方をいっぺんに載せる。ネタバレあり版の方は、次の記事で文字色を反転させて書いておくので、みなさんの好みに応じて読んでほしい。

 なるべく空いているところで観たかったので、今年の2月にできたバルト9という、新宿初のシネコンに行ってきた。新宿の丸井を作り直したビルの上の方にできた。新宿初の全席指定定員入れ替え制である。そのレポートも少し。

バルト9

 紹介記事はこちら様がとても参考になる。駐輪場がないのに「駐車禁止・駐輪禁止」の看板がこのビル全体をぐるっと囲っているところがドタマに来た。昼は行けないな。駐輪場も作らないクセに、駐車監視員は容赦なく取り締まるからねぇ。さすが警察庁営業部(しかも外注)!毎日よく働くねぇ!というところだ。

 

バルト9 外観 バルト9 駐輪禁止

(左)南側から見た外観。さっそく若者がスケボーで「ガーーーーーーーーーーーーーーッ!ゴトン!」っとやってた。

(右)駐車駐輪禁止! ふざけんな!駐輪場を作ってからにしろ!

 

 このビルの9階から上がシネコンで、中はエスカレーターを使って登り下りするのだが、エスカレーターが、「人が乗っていないと減速し、人が乗ると加速する」のがさり気ない隠し味。

 

バルト9 エスカレーター

 いかにもシネコンっぽいエスカレーター。この速度が、人が乗っているときと乗っていないときで変わるのだよ。

 さすがに平日の夜(午前0時ちょっと前)。新宿なのに、この写真を見てわかるように、ほとんど人がいない。今後、平日のレイトショーがなくなるのではないかと思うくらい人がいない。500人以上入るシアターで上映されたが、客の数は、遅刻した2人を含めて6人…。空いてるのはいいが、平日レイトショーがなくなるほど空いているのは困る…。他のブログを読むと、昼は大入満員に近いようなので、この映画の人気がないせいではあるまいと信じたい。この時間帯は、他にも3本ほど上映していたが…今後、このシステムがどうなるかかなり不安となった。

 というわけで、デジカメの写真をアップしたブログを試すという狙いもあってこういうレポートをさせて頂いた。肝心の映画については… 。

 

(ネタバレなし編 TVシリーズのネタバレはある)

・ドラマの頃からそうだったが、このシリーズ自体が「刑事モノ」というより「裏切り者を捜せモノ」に近い。「正義」という価値観にほとんど重きが置かれていないシリーズだからだ。この映画も完全にその路線を守って作られている。では、「裏切り者を捜せモノ」として面白いかというと、ドラマの頃からあまり面白くなかった。その理由は、「予想が外れても悔しくない」からだ。 TVドラマ編を数話見ると、「まーこうやって裏切る人がたくさんいるのねー」と慣らされてしまう。この展開を繰り返すには、それぞれのキャラの人間としての背景(なぜ刑事をやっているのか、なぜ裏切るのかなど)についてのリアリティが不可欠なのだが、ドラマでは、裏切るキャラについて「不幸な過去ゆえの復讐心」などの「説明」が多くて、感情的にスッキリと「あぁ、だから裏切ったのだなぁ」と思ったことはほとんどなかった。

・その「ドライな印象」は、TVスペシャル版(「コード・ブレーキング」)を見ても、この映画版を見ても、全く変わらなかった。 雪平の、「自分と無関係な容疑者にはトコトン冷徹、しかし娘が危険にさらされると狂ったように『母親』らしくなる」性格づけに、説得力を感じなかった。パンフレットにあった監督インタビューで

>今回は、“刑事”の部分を捨てても雪平は強かった。“刑事”という鎧をはずしても、強い女性がそこにいた。そういうことです。

と熱く語っているが、私としては、

「雪平さん、そんなに娘の痛みを我が痛みのように感じられるのなら、なぜ他の被疑者に対しても、同程度とは言わないまでも、「あぁ、容疑者にもある『痛み』を想像しているのだなあ」と感じられるような行動を取らないの?」と聞きたい。ドラマ版での牧村(木村多江)に対する態度くらいかなぁ。そう感じられたのは。

と言いたくなってしまったので、この監督の思いを受け止めることができなかった。この映画でも、クールに演じようとしていた篠原涼子の、そのクールさの「裏にあるもの」や「透けて見える部分」が、私には感じられなかった。

・雪平に限らず、ほぼどのキャラも、人間としての背景が感情として伝わってこないので、どのキャラも単に段取りを追って演技しているようにしか見えなかった。ひと言で言って、各キャラが薄っぺらい。どうやら、俳優陣に台本が渡されたときは、篠原涼子以外の俳優には、最後のシーン(裏切り者が誰かがわかる)の部分を外した台本が渡されたようだ。そりゃ、「俳優」として、身の置き所のない気分になるから、演じ方が薄っぺらくなるのもわかる。この方針は裏目に出たと私には思えた。

・そんな中では、寺島進さんと椎名桔平さんには「背景」を感じた。このくらいが、例えば「容疑者 室井慎次」(当ブログではここ)の各キャラに出ていた「背景としての厚み」の標準レベルかな(※)。でもまあ、ストーリー的には、寺島さん演じる山路に、4重5重くらいの役割を持たせているみたいで、そこまで感じてしまうと、「そりゃ演じるの無理だよ」と、逆に醒めてしまう(まあ私の勝手な予想を大いに含むが)。私の勝手な予想が正しければ、「そんな無理のあるストーリーは映画としては全然ダメだよ… せいぜい小説だなぁ…」と言わざるを得ない。

・逆に、ドラマ版にハマった人は、同じテイストが映画でも展開されているので、十分に楽しめるだろう。あの謎解きや人を疑うときのドキドキ感がたまらなかった!という人には、同じくらいのドキドキ感は味わえると思う。

・いずれにせよ、ドラマ版とTVスペシャルを見ていないと、登場人物をつかむのに手間取るので、大変かなあ。最低限、ドラマ版のラスト3話くらいを見てから行くべし。TVスペシャルは、まだレンタル版がリリースされていないので、録画等していないと厳しいよね。TVスペシャルで、雪平が公安部に異動し、そこでの上司が斉木管理官(江口洋介)になったというくらいの知識で何とかついて行けるだろう。

・設定などのリアリティはなかったので、「映画版だから設定はしっかりしているだろう」と思っている人にはお勧めできない。詳しくはネタバレあり編で。パンフレットには

>「アンフェア」シリーズの醍醐味は、徹底して本物にこだわった刑事ドラマとしてのリアリティだ。

などと書かれているが、拳銃の握り方やガンアクションなど、細部がリアルでも、全体の設定にリアリティがなければ、ストーリーものとしては全然のめり込めないということを知らないのだろうか?と言わざるを得ないほど、 設定やいくつかのキャラは「not real」であり「ひどい」。これも、ネタバレあり編の方に書く。

・単なるアクションものとして見れば、そこそこドキドキする。「華麗なる一族」に対して感じた「座長芝居」的な雰囲気はなかったので、そこは良かった。この辺が、篠原涼子が特に女性に人気がある理由だろう。いつも、自分が求められている役割をストイックな方向で作っていこうとするところが、日本人の「古き良き美徳」だよね。女性から見ると「男に媚びない」って見えるのだろうね。そのストイックさのおかげで、彼女のブラウスが水で透けても何もうれしくなかったよ。そんなにストイックにやらなくていいのに…と思うくらいだった。篠原涼子のサービスシーンがあるぞ!的な言葉にはだまされるな!気をつけろ!

・「タイトルクレジットが終わっても目を離すな!」というブログ記事が多く、篠原自身もテレビで言っていたのだが、私としては、それほど重要性を感じなかった。思うに、篠原のお茶目なコメントだった、ぐらいの受け止め方が良いだろう。むろん、タイトルクレジットが終わるまでが映画だから、このネタとは関係なく、みなさん最後まで静かに見てほしいものだ。

 

・まとめ

良くも悪くも、ドラマ版から得た印象の延長線上のものしか得られなかった。この意味で「映画」としてやる意味は薄かった。映画としてのsomething newはほとんど感じられなかった。しかし「金返せ!」と思うほどではなかった。予習さえしておけば、楽に見ながらドキドキできる。やはり、DVDで家で見る方がいいか。

踊る1 > 容疑者 室井慎次 > ローレライ > アンフェア > >>(越えられない壁1)>> 踊る2 >>(越えられない壁2)>> キャシャーン

である。「アンフェア」のあたりがちょうど40点ラインくらいだ。「越えられない壁」を右に越えると、「上映中に金返せ!と叫びたくなるゾーン」である。

 

! また長くなったので、記事を分けて「ネタバレあり編」をアップする。

 

あ!忘れてた。こちらのレビューにうなりました。すばらしいです。リンクを貼らせて頂きます。

アンフェア the movie 50点(100点満点中) (´-`).。oO(蚊取り線香は蚊を取らないよ) 様

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※ いや~、ヤフー映画では激辛だな… 。これがこの評価なら、「踊る2」はどうなるんだよ…。こいつらは織田裕二が出てスリーアミーゴズがくすぐってくれればそれでいいのか?

 


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2 コメント

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40点・・・。 (美加)
2007-03-21 16:19:35
 TVの宣伝見て、観に行こうと思ってたのに・・・。(ーー;)
 ドラマも観てなかったことだし、ここは大人しくTV放送待ちます。
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ドラマを見ていないと… (白河)
2007-03-22 07:24:25
この独特のノリについて行けないかもしれませんね。「おもしろかった!」という記事もよく見かけるので、話題作りで行ってみるという気持ちなら損しないかも知れませんね。私はそういう気持ちで観てきました(笑)。

24に似ているという記事もありましたね。そう言われてみればそうかも知れませんが、私が24をあまり面白いと思わないので、私にとってはこれはプラスポイントにはなりません。

「展開のドキドキ感」だけで、「感情」を豊かに感じられない映画を私は評価しないのですよ。このあたりの「私の評価基準」を差し引いて読んで頂けるとありがたいです。

ご覧になったらまた感想を教えてください!(^-^)
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