土曜日に続いて、今日(正確には昨日)のTBSラジオもすごかったな。午後1時からの「赤江珠緒 たまむすび」での午後3時からのコーナー。毎週曜日ごとにゲストが異なるが火曜日はアメリカ在住の映画評論家の町山智浩(以前この記事で紹介したが、経歴の件で上杉隆とガチバトルした人)。いつもはアメリカからの電話出演なのだが、今日は町山が日本に来ているのでスタジオ出演。いつもはアメリカの映画紹介なのだが、今日は「知られざるアメリカの大統領選挙の裏側」的なテーマで語るとのこと。
以下、会話そのものではなく、その主旨を中心にした書き起こしである。←私自身の記憶を頼りにした書き起こしなので。
(ここから)
町山智浩
「アメリカではオバマが全国民を対象とした健康保険制度を導入しようとして法律を作ったんですが、その法案に賛成した議員の住所を晒して『こいつの家に火をつけろ!』っていう熱狂的な共和党支持者が出てきたんですよ。」
赤江珠緒・山里亮太(南海キャンディーズ)
「へ~~」
町山
「日本では信じられないでしょ?アメリカでは、貧富の格差を認めるのが共和党。共和党は、『努力の結果として貧富の差ができても、それは問題ないじゃないか』という立場。民主党は、『その貧富の差をすこしでも平等に近づけよう』という立場。だから、アメリカの民主党と共和党は明らかに基本的な姿勢が異なっているんですよね。」
赤江
「日本では自民党も民主党も主張の違いは何?(笑)って感じですから、こんなにハッキリと分かれているなんて意外ですね」
山里
「(笑)いやーホント日本では違いがわかりませんよね。」
(ここまで)
・・・赤江は午前中にテレビ朝日系列でニュースワイドショーのMCをやっているはずなのだが。しかも月~金の平日に毎日。そこで報道しているコンテンツをMCとして見ていても、民主党代表候補4人と自民党総裁候補5人の違いがわからないのか。
まあ山里亮太の方は、テレ朝のCS放送でMCをやっていたこともあるので、むべなるかなといったところ。
ただここで町山智浩のシナリオ(笑)どおりに、「日本の民主党と自民党の主張の違いがわからない」という「空気」を、こういうマスゴミを使って作られるのはまっぴらごめんだからここに明記しておこう。
例えば「2030年代に原発ゼロ」という命題をめぐっても、民主党代表候補4人と自民党総裁候補5人は明確に違う。そんなことは金、土、日の政治系ニュースorワイドショーのどれか一つでも見ていればすぐにわかることだ。
・自民党総裁候補5人は全員「2030年代に原発ゼロ」とは明言していない。どの候補者も、「今廃炉と明言してしまえば、今後の原子力技術者が育たない」と発言することで、原発という電力源を2040年代以降にも残す可能性を示唆している。
・民主党代表候補者4人は全員「2030年代に原発ゼロ」と明言している。赤松に至っては、「今後もう一度政権交代したときも、『原発ゼロ』の方針が変わらないように、今のうちに法律を作れ」とまで言っている。
これだけ違っているのに、赤江珠緒と山里亮太はどこを見て「どこが違うの?」とか言ってんの?????自分たちがニュースを見ていないだけ、赤江に至っては自分がニュースワイドショーのMCをやっているのに番組内容を理解していないということを告白しているだけだ。
次に「復興財源をどう使うか」についても、民主党代表候補(野田を除く)と自民党総裁候補は違っている。
・民主党代表候補(野田を除く)は、みな「復興財源は公共事業には使わない!全額『人』・『福祉』に使う!」などと言っており、自民党総裁候補はみな、「震災で亡くなる人が減るような公共事業は必要だ」と言っている。野田だけは、NHKスペシャルで、復興財源が被災地3県以外にも使われていることを報じられているから、「被災地以外の地震対策にも使っている」と、これまた明言している。
・・・野田以外の民主党代表候補にとっては、未だに「公共事業=悪」という価値観のようである。ということは、東日本大震災の教訓を受け、福井県大飯原発の予備電源を高所にも設置したり、免震棟を建設することも反対ということか??どちらも、公的費用が投入されれば立派な「公共事業」なのだが。反原発派が大好きな「再生可能エネルギー開発」に関しても、公費で投資を行う際はこれも立派な「公共事業」になるのだが、野田以外の民主党代表候補にとっては「公共事業=悪」なんだねえ。へえ。
さらに、9月16日日曜のNHK、『日曜討論』で、原口一博は、「われわれ民主党がめざしてきた価値観」と称して、以下のような発言を行っている。
原口一博
「今世界は大きく二つに分かれていると思う。一つはTPPなどに象徴されるように、新自由主義で、遠くまで行って貿易を行い、金融資本に大きな権力が集まる。
その一方で、もともと民主党がめざしてきたのは、ひとりひとりの人間の尊厳、働く人を中心に、もっとやわらかな、おだやかな、支え合いの社会をめざすのか、ということです。」
この発言より、原口候補は、少なくとも橋下一派とは絶対に組まない、と宣言しているのと等しい。なぜなら橋下一派は、「TPP賛成」だからだ。当ブログこちらの記事より。
<2012年9月1日 読売新聞より>
原口発言に関しては、ものは言いようというか、「労働者を中心に」と明言することで、民主党のいちおうの支持母体である労働組合の主張を尊重しますよ、ということである。これも、原口が、民主党の支持母体は変えませんよ、と明言していることと同じであるから、きわめて重要な発言だ(まあ、原口は「解党も辞さない」と言っているから、「解党」することで、「何も言っていませんよ?」と言うつもりなのかも知れないが)。
とまあ、週末のニュースなどや政治系の番組のいくつか(私も全部見ているわけではない)を見るだけでも、これだけ「民主党と自民党の違い」や、「民主党と橋下一派の違い」が見つかるというのに、町山智浩の誘導(笑)に乗っかった赤江珠緒と山里亮太にとっては、
・「自民と民主、何が違うの?(笑)」
と笑うことまでできるということだ。
赤江も山里も、むしろ一個人としてどちらの方に説得力を感じるかなどの発言は好きにすればいいと思うが、これだけいろいろな番組で「民主党代表候補」と「自民党総裁候補」の各候補どうしによる討論番組が流されているのだから、さすがに
・「自民と民主、何が違うの?(笑)」
はないだろう。違いを知らない人ではなく、違いを知ろうとしない人がMCをやっているのが「現代日本」の「ラジオ」の「MC」であるという現実に愕然とする。これでは、これまた以前書いたように、
・「橋下徹に任せれば、既得権益を持つ集団を徹底的にやっつけてくれると思う!」
と平気で語るアホを量産するだけではないか。その結果が中国ではすでに出ている。こういうところを隣国に学ぼうとなぜしないのか、日本人は。
<本日のTBS『news23』より>
<本日のフジテレビ『ニュースJAPAN』より>
<明けて19日、NHK『NHKニュース24』より>
これだけの確率で同じサイズの「毛沢東像」がカラーコピーされ、アイコン化されていることがすごい。あの、中国人の同胞を数百万人~数千万人も文化大革命とそれに派生するさまざまな政策で殺してきた毛沢東が、今では「発展と平等の象徴」として、なんと「反日デモの旗印の一つ」になっている。もちろん、できるだけ正確な歴史を教えられておらず、「反日教育」とセットで、「戦後中国共産党の政策を理想化する教育」の犠牲者となっている情報弱者層たちでの話だが。
中国ではサルどもが「愚民化教育」を施され、毛沢東が「発展と平等の象徴」とされているのと同様に、日本ではマスゴミが意識的にかどうかは知らないが、「情報弱者層」に迎合するような放送を平気で行っていると。まさしく、中国にとっての毛沢東が、日本にとっての橋下徹になるのかね?
私としてはごめんこうむりたいところだ。何も知ろうとしない愚民に迎合しようとする政策ほど愚かなものはない。