隠久日記(こもりくにっき)

士やも 空しくあるべき 万代に 語り継ぐべき 名は立てずして  山上憶良

本物志向

2016年05月20日 | 徒然

 北海道に鵜泊稲荷神社という社があります。ニシン漁にゆかりの「おしろい祭り」の前にはここで神事が行われ、その年の漁を占ったそうです。この社は、裏の壁に穴がひとつ開いていて、その穴は祭壇の下へと続いています。この穴を通って神の使いである狐が(たぶんキタキツネでしょう)中へ入り、祭壇のお供え物を食い荒らすそうです。その荒れ具合や歯の跡から、吉凶を判断し、荒れているほど大漁となります。本物の狐を呼び込む稲荷神社と言うのがあるのですね。


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源流

2016年05月17日 | 徒然

 富山県の五箇山地方は、浄土真宗の盛んなところですが、蓮如がそれを伝える以前からの様々な仏事・神事も残っています。五箇山地方で最も古い神社の白山宮では、秋祭りに「こきりこ」が上演されます。囲炉裏の上の乾燥した煤竹から作られた二本の棒の楽器「こきりこ」、舞い手が使う楽器ささらをこの地に伝えた放下僧の「こけら経」、語源は色々と説がありそうですが、この日本最古の民謡と言われる「こきりこ」の原型が、「田楽」であることは確かなようです。と言うことは、民謡は実に多彩であり、その一部は「能楽」と源流を同じくすると言うことになります。能の謡いと民謡の節からは、なかなか想像し難いです。

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ゴールデンウィークに盆踊りを思う

2016年05月05日 | 徒然

 天草の牛深という港町に「牛深ハイヤ節」という民謡があります。江戸時代中期に流行ったこの民謡は、弁才船の船乗り達によって大阪へ向かって広がり、やがて大阪からは北前船で日本海沿岸へと伝わっていきます。平戸では「田助ハイヤ」、広島の三原では「三原ヤッサ」、そして徳島で「阿波踊り」、大阪から日本海へ回って「隠岐ハイヤ」、「宮津アイヤエ」、そして「佐渡おけさ」、(我が宮城県の「塩釜甚句」も)、民謡門外漢の私だからかもしれませんが、「阿波踊り」と「佐渡おけさ」は同じ民謡から派生したものだと知って少々驚きました。

 興味深かったのは、「阿波踊り」です。現代の賑やかで壮大な様式は戦後のもので、本来は集落ごとの盆踊りでした。港町津田の盆踊りでは、不気味なわら人形が最初に登場します。沖で遭難した死者の霊を憑依させるためのものです。中央の火の側にわら人形が置かれ、村人はゆっくりとした調子で歌い踊り始めます。その踊りによって死者の魂は人形に乗り移り、残された家族と共に踊り出すそうです。そのリズムは少しずつ調子が上がって、やがて激しく陽気な踊りとなり、あの「阿波踊り」が姿を現します。この不気味な陰から賑やかな陽への変化に惹かれました。

 ハイテンションで陽気な民謡や祭りの裏に何が潜んでいるかは注意して見る必要があります。何時か明るく高彩度な画面で「柏木」を描いてみたいものです。




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