隠久日記(こもりくにっき)

士やも 空しくあるべき 万代に 語り継ぐべき 名は立てずして  山上憶良

千々に思う

2017年10月15日 | 日々



源氏物語を読む。桐壺、帚木、空蝉・夕顔はすでに描いた帖ゆえ速読、そして若紫とここまで一気だ。

物語の最初だけで消えてしまい、一見影の薄い桐壷更衣だが、よく考えて見ると源氏物語全編を支配している。低い身分で帝から溺愛されたため、嫉妬と反感をかい儚い最後を遂げたように見えるが、その子光源氏と父方の明石一族の血縁により国の基となる。

この物語のキーワードは「形代」だ。源氏を巡る多くの女性(個々の長所を持った)は結ばれることのない理想の女性藤壺(全てを備えた)の形代であり、最愛の妻紫の上も藤壺に似ているからこそ選ばれている。そして、その藤壺は桐壷更衣の形代として登場する。

最近、こんなことを思う。

もし運命の赤い糸があるなら、それは悲しい。何故ならそれが許される関係であるのは奇跡だろうから。だから多くの人はそれと気付かず「形代」を求める。


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パリ個展 テレビ取材映像

2017年10月13日 | お知らせ
パリ個展の時に受けたテレビ取材の映像を、昔からお世話になっているコレクターの方が見つけてくれた。




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制作の空いた時

2017年10月02日 | 日々

六年前に万葉集を主題として取り入れることを決めた時、最初に集全体を見渡すためにざっと全二十巻に目を通してから、しばらくは順を追って丁寧に読み直すことを保留して来たが、昨年から少しずつでもと万葉集釈注を読み始めた。

それも個展が近づいて来たここ数ヶ月は、全く手つかずだったので、ひと段落付いた機会にと、後一息だった第六巻の後半を読んだ。

その中には、不義密通で配流される男と見送る妻の相聞があったりするが、裏切られた妻が流される夫を気遣うのもおかしいし、元々配流では妻も同行するのが慣わしだったようで、この歌のやりとりは成り立たない。これには政治的な陰謀の可能性もあるようだが、万葉歌人を単に純粋素朴と捉える姿勢に問題があるのだろう。芸術創作の虚構性はなにも後世の専売特許ではあるまい。

今回の収穫は、

一つ松 幾代か経ぬる 吹く風の 声の清きは 年深みかも   市原王

これを制作候補リストに加えた。

~美しくも儚い世界~
長谷川資朗絵画展
10月5日(木)~11日(水)
藤崎百貨店 本館6階美術ギャラリー

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先行投資

2017年09月29日 | 万葉源氏植物園

遅れていた牡丹の剪定・施肥をする。本来砂漠の植物である牡丹に、この夏の多雨はどう影響するか不明だが、現実的にはおおざっぱな事しかできないから、構わず剪定をし庭に残っていた家庭菜園用の肥料を処分も兼ねて盛り付けた。今回は牛糞と家庭菜園用混合肥料、牛糞がさほど匂わないのは意外だった。最後はマルチングをして水を撒く。

それでも、最低の手間暇はかかっているから、絵に描かないのは少々悔しい。源氏物語シリーズで似合いの帖はあまり見当たらないが、来年、若菜の上下あたりで使ってみようかとも思っている。特定の人物と言うより、豪華な六条院の象徴として。

今回の個展出品作にも、苗作りから始めた「夕顔」がある。3号の小さな作品だが、構想・準備を含めると足掛け四ヶ月は費やしている。

〜美しくも儚い世界〜
長谷川資朗絵画展
10月5日(木)〜11日(水)
藤崎百貨店 本館6階美術ギャラリー

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個展準備最終段階

2017年09月27日 | 制作

絵が描き終わっても制作は終わらない。結界枠を作り、基板にベルベットを貼り、額縁を組み立てる。

結界枠は木枠に西陣の金襴を巻く。高価なものだが妥協はできない。よく使うのは牡丹唐草・波頭に梅鉢・三階松、織るのに手間暇がかかるものだから発注から納品まで数ヶ月から半年となる。

制作が終われば、画集を作ったり、Webデザイナーに渡す画像のために作品を複写する。これも、反射する画面故に、照明やカメラのセッティングがけっこう大変である。小型ビューカメラでシフトしたりピント面を微調整する。

〜美しくも儚い世界〜
長谷川資朗絵画展
10月5日(木)〜11日(水)
藤崎百貨店 本館6階美術ギャラリー

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