価値観と優先順位

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「安全神話」原発の嘘.10 (今後の電力.2)

2011年09月13日 | 原発問題

前回記事 「安全神話」原発の嘘.10 (今後の電力.1)

 

先日、再生可能エネルギー特別措置法案が衆院可決した。

私はこの法案自体には勿論大賛成で、これがないと自然エネルギーの伸び率を上げる事は出来ない。

しかし、「太陽光発電」に重点を置くのにはあまり賛成ではない・・・。

勿論、太陽光を積極導入していくのは間違いではないのだが、今はまだ時期尚早だろうと思う。今は家庭レベルの推進倍増計画くらいで良いのではないかと思う。
それはやっぱり費用対効果の問題だ。家庭レベルで需要供給増し、太陽光パネルの効率UPやコストが下がってから国として推し進めるべきだ。

では、今後、何を研究開発すれば良いのか?

 

本格的に未来に向け、徹底的に研究開発すべきは地熱だと断言する!

地熱でも「高温岩体地熱発電」だ。

日本は言わずと知れた「火山国」であり、環太平洋火山帯に属する。


地熱資源量の世界での順位は第3位であり、1位比で74%もあるが、地熱発電量は世界第6位で、1位比はなんと21%しかなく、国内発電シェアは0.2%しかない。

この資源を使わない手はないと誰もが思うはずですが、温泉組合だとか国立公園だとかの問題や予算の関係で開発整備が殆ど進んでいないというのが実状だ。

国の地熱開発促進調査事業の予算は10年度の約6億8千万円から11年度案では1億4千万円に削減した経緯もあり、震災後の来年度予算が注目される。たった6億や1.5億ほどの予算で何が出来ると言うのか!

しかし、世界的にその発電機械自体は日本製のものも沢山採用されており、問題はタービン類のハード面でなく、地熱の場所に関わる法整備の問題である。

そして、地熱発電の買取コストの問題がこれまではあった。
RPS法の対象外で、通常の電源と同じ1kWh当たり数円でしか売れない為、ハイリスク・ローリターンの事業になっていて、地熱発電は振興しないように、わざと政策がとられているとしか思えない状態だった。というか、原子力を推進しないといけないので故意にそうしてきたに違いないが、これを改めないでどうする!

買取価格については、先日の再生可能エネルギー特別措置法案により解消されると思われるが、残るは場所に関わる法整備の問題だ。

この問題を、今、法整備して解決できないでようでは、「持続可能な脱成長路線」の日本は無い!

原発を辞め、化石燃料に頼る電力を改める為なら、国立公園や温泉の方が大切な筈がない!

そんな事を建前に「出来ない!」と決定したならば「価値観」と「優先順位」が間違っている。

今後は、地熱発電に兆単位の予算を投入すべきである!

 

要は、いろいろな自然エネルギーを使って発電する方法を、もっと真剣に研究するべきであって、 「原発増設ありき」でこれまで来た為に そういった研究開発が数十年遅れている。

誰が考えたって、(種類は別として)燃料を使わずに発電出来た方が良いに決まっている。

なのに、その発展は他の機械や通信とかあらゆる技術より著しく遅いと思うのは私だけではない筈だ。

原発ありきで「原発で全電力を賄う」くらいの勢いで無理矢理原発を造ってきたもんだから、予算も原発にだけ集中し、他の発電には殆どまとまった予算が廻っていなかっただけなのだ。

 

もうひとつ、これからの自然エネルギーは、潮力・波力発電の研究開発がもっと必要だと私は思う。

世界最大で現在フランスで運用されているタイプは河口を堰き止めないといけないので、このまま運用するのは全く賛成できないし、何種類かの方式があるようだが、今はジャイロ式が最も有力のようだが、更なる研究開発に望みをかけたい。


そして忘れてはならないのが、スマートシティ構想である。

各社いろいろ案があるようだが、今年5月に発表した神奈川県藤沢市のサスティナブル・スマートタウンのような複合的な自然エネルギーで自給自足する形で街全体を構築する街である。

こうした街を、太陽光一辺倒ではなく、沿岸部なら波力潮力と太陽光、高台なら風力と太陽光とか、それぞれの地域の特性を生かした発電や街づくりを実現させたい。出来れば各県に2.3地区は欲しいところである。

スマートシティの場合、発電施設は大規模でなくて良い。

波力潮力なら先ほどのランス潮汐発電所等の大規模なものは事業体がやる事として、スマートシティには向かないが、ジャイロ方式や海中凧のような小規模タイプなら街ごとに合わせた発電方式が可能である。

風力なら丘の上に高効率の大型機を設置するのも良いが、ゼファーやウインプロなどの小型機を多量導入して文字通りエネルギー自給自足の街を創る。
以前、DMWというリニアモーターを利用した風力発電機(初動に風が必要なだけで1度回れば磁気力で半永久的に回り続けるというモノ)があって「コレだ!」と思ったのだが、あれはどうなったのだろう?

 

 コンバイトサイクル発電へのシフト、自然エネルギーのシェア拡大(特に高温岩体発電や波力潮力発電)、スマートシティの積極推進等々、そうした複合的な取組みで、原子力は勿論、燃焼から得る電力を出来るだけ減らす事が急務であるが、一番大事なのは消費電力そのものを抑える暮らしや産業のあり方を改めないといけない。

ここではあえて私は、省エネとは言いたくない!

省エネとは、本来必要であるエネルギーを、人間個々の自助努力によって、それを少なく消費しようとする働きである。

省エネを努力するのでなく、本来必要とするべき電力量そのものを少なくて済む社会構造へと転換しなくてはならないと思うからである。


オール電化住宅などはその最たる代表悪で、夜間電力を利用し、安い電気代で生活したとすると、一般の方々は「エコだねぇ!」とか「省エネ住宅だねぇ!」とか言うだろう・・・。

私からすると、それは全くの勘違いで大間違いである!

深夜電力が安いとか、オール電化住宅などは、「原発ありきで原発を稼動する為の政策」にまんまと商品化された住宅でしかない!

家庭における電気代の負担減というニンジンをぶら下げ、出力調整の出来ない原発の夜間発電をどうにか消費しようと考えられただけであり、揚力発電と深夜電力の値下げは、原発がなければ成り立たない理論であるが為に、本当は全くエコでない原発推進住宅なのである。

単に、消費量そのものは全く変化させず、消費者の払う電気料金だけが下がっただけの話で、決して省エネなんかではない。省エネの名を借りた「自分だけ安くなれば良い利己主義的原発推進環境負荷増住宅」である。

 

そういう意味ではなく、もともとの社会・経済構造が、現在の過剰浪費社会ではなく、体質的に省エネルギーの構造に変換しなければならない。

 

 

次回、最終章としてまとめます。

 


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2 コメント

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Unknown (SS)
2012-02-02 19:26:46
オール電化がどういうものかわかっていながら原発撤廃って矛盾してね?
日本でオール電化がどれだけ普及してるかご存知?100万世帯をも超えているんですよ。それだけの数を原発を利用せずに賄えますかね?できれば予算の見通し、発電所の新規建設のための土地の見通しなど詳細に書いてみてもらいたい。(特に土地に関して)
ちなみに私は徐々に原発を減らせればと思っています。よろしくお願いします。
電化住宅 (TK)
2012-02-04 17:34:05
☆SSさん

はじめまして、コメント有難うございます。

オール電化と原発撤廃が何故矛盾するのですか?
太陽光を大幅利用した、電力会社からの供給電力量(金額ではなく)を半減できるオール電化住宅なら私は賛成です。
さらに太陽光パネルの効率向上と小型風力などの併用で、電力会社から殆ど電気を買わなくて良いオール電化住宅となれば推進する立場です。
それに、電化住宅は100万世帯どころではなくて、約486万世帯に普及していますよ。

>それだけの数を原発を利用せずに賄えますかね?
ハイ、今現在原発は3基しか稼動していません。
それでこの冬のピーク時を乗り切れていますよ。

>できれば予算の見通し、発電所の新規建設のための土地の見通しなど詳細に書いてみてもらいたい。(特に土地に関して)

予算とは何に対しての予算でしょうか?
土地とは何の新規発電所の土地でしょうか?
お手数ですが、質問する際は明確にお願いします。
もし、地熱発電の新規土地の事なら、その土地を調査する予算も出ていないと嘆いているのです。

SSさんはどういう段階を踏んで徐々に減らべきだと考えていますか?よろしければご意見をお聞かせ下さい。

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