形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

2015-08-06 18:53:56 | Weblog



   人にもそれぞれに春夏秋冬がある。

   十歳にして死ぬものには、その十歳の中に自(おの)ずから四季がある。

   二十歳には自ずから、二十歳の四季が、

   三十歳には自ずから、三十歳の四季が、

   五十歳、百歳にも自ずから四季がある。           』


                         吉田松陰 「留魂録」


からだの形は、生命の器 
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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夏空

2014-08-23 14:02:53 | Weblog

海を知らぬ少女の前に 

麦藁帽のわれは両手をひろげていたり


               寺山修司(1935~1983)


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燃えない木

2014-08-18 12:51:11 | Weblog

昔、子どもがまだ小学生の頃、夏休みに軽井沢の国立キャンプ場へ連れて
行ったときのこと。 朝、キャンプ場の共同炊事場で、薪でご飯を炊いていた。

となりに団体で来ていたらしい、子どもたち4、5人が、火をおこそうとして
悪戦苦闘を始めた。  懸命に新聞紙を丸めたもので、かわるがわる
息を吹いているが、いっこうに燃え上がらない。 
あまり長く燃えないので、もしかと思い、子どもたちがひろい集めていた
枯れ木を、見せてごらんと見てみた。 
枯れてはいるが、断面がまるで黒いスポンジのような、例の木である。

山をよく歩いていた頃、見おぼえがある木だった。
この木、燃えないのだ。 ひろって折ると、ポキポキと
小気味よく折れるので、いかにも燃えそうな感じがする。 
でも焚き火に入れても、いつまでも、ブスブスといぶるばかりで
ちっとも燃えない、焚き火にはまったく向かない木だった。

私は折った木の断面を見せて、こういう木は燃えないんだよと
教えてやった。 ヘーッ! と子どもたちの目がソンケイの眼差しに
なったように感じ、私はちょっとだけ胸をはったような気がする。 
あまっていた薪をやり、それは勢いよく燃え上がって、
子どもたちは歓声をあげて炊飯を続けた。

長いあいだ、この燃えない木がいったい何なのか、
知りたかったが、枯れ枝では知りようもなかった。 
試しに最近、「燃えない木」で調べてみたら、なんとあった。 
ネットの検索はまことに便利なものだ。

あれはたぶん、ナナカマドの木だ。
夏に白い花をつけ、秋に美しく紅葉するあのナナカマド。
バラ科だそうだ。 7回かまどに入れても燃えないから、
ナナカマドという名前がついたという。
なるほど~ 

                   
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ヤブミョウガ(藪茗荷)

2014-08-16 16:40:10 | Weblog

* 写真は城址公園の堀沿いの道のもの。

ヤブミョウガは、少し日陰になった湿気の多いところでよく見る。 
城址公園でもあちこちで見かける。 
夏に写真のような白い可憐な花を咲かせる。 
初秋、この花はやがていくつもの濃い紫の実をつける。



ずっと前、この野草の名前を近所の方から教えてもらい勘違いした。
名前からてっきり、野生のミョウガだと思い込んでいた。
夏、そうめんの薬味にしようと、群生していたヤブミョウガの根元を、
さんざん探したが、収穫はゼロで、なぜないのか不思議に思っていた。

あとで、葉はミョウガの葉とよく似ているが、全然別ものと知った。 
こちらはツユクサ科の多年草で、ミョウガはショウガ科の植物。


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夏草

2014-08-15 13:51:58 | Weblog



       目に見えぬ 空のかなたゆく

       一羽の小鳥になりたい


       ただ一度聞いて

       いくたびも思い出される うたになりたい



       そよ風にゆれる

       ゆかの上のしらゆりの影になりたい


       すぎたむかしのすべてに値する

       愛のこだまになりたい   


       忘れはてて 二度とかえらぬ

       希望のその記憶になりたい       
                                』
                        


          クリスティナ・ロセッティ 『 のぞみ 』 
           イギリス女流詩人(1830~1894)
                   (三井ふたばこ 訳詩) 


        * 三井ふたばこの父は、詩人、西条八十。



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日本薄荷

2014-08-11 13:28:49 | Weblog

城跡公園を歩いていると、小川のほとりで
ふっと目に止まった野草があった。
どこかで見たような。 
ずっと昔、遠い記憶の中の野草。 

もしか・・・・
小さな葉を一枚摘んで香りをかいでみた。 
懐かしく、やさしい匂い。 
薄荷(ハッカ)だった。 正式な名称、日本薄荷。

昭和三十年代、私が小学生の頃は、
東京にも原っぱがたくさんあってよく見かけた。
縁日で売っているハッカのお菓子の匂いがした。
子供たちは甘いものに飢えていた。
遊んでいるときに見つけると、葉を摘んで指で揉み、
その匂いでハッカ菓子を思い出していた。

水辺に多く出る、シソ科の多年草。
淡いピンクの花をつける。
洋種のミントの香りよりも淡い匂いがする。


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八月の石

2014-08-09 13:38:32 | Weblog

『    
     
     八月の石にすがりて

     幸多き蝶ぞ いま 息絶ゆる

     わが運命を知りしのち

     たれかこのよく烈しき

     夏の陽光のなかに生きむ

     ・・・・・         
                  
                        』

伊東 静雄(1906~1953) 長崎県出身、詩人。
「 八月の石にすがりて 」


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ネジ花(捩じ花)

2014-07-11 13:01:45 | Weblog

ネジ花、ねじり花ともいう。
城址公園でもちょうど今、あっちこっちで咲いている。
ラセン状に小さなピンクの花をつけるかわいい野草だ。
細く小さいので見落とすかもしれない。
他に背の高い草のない、明るい芝生や草原などに出る。

前に東京の友だちの家に泊りがけで遊びにいったとき、
そこの縁日で、野草と思っているこのネジバナを売っていたので驚いた。
その姿に惹かれて、ネジ花の愛好家もいるようだ。
ラン科の植物で、場所によっては30センチもの大きさになるという。
私がいつも見るのは、背丈が10~15センチほどのもの。
下のほうにつく葉は、よく見ないとわからないが、
細長い蘭の葉の形をしている。


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桜貝・Ⅲ

2014-06-30 13:08:25 | Weblog


青梅雨の 浜辺にさがす桜貝


               岡久枝


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カキドオシ(垣通し)

2014-05-13 17:11:11 | Weblog

カキドオシの花が咲き始めている。 勢いよく垣根を越えていくという
ところから、垣通し(カキドオシ)という名前がついたという。 
それぐらい繁殖力が強いツル性の植物で、ツルの途中、途中で根を
出し広がり伸びていく。 シソ科の多年草で、葉を揉むと少し青臭い
ハーブティーのような香りがする。 民間の薬用茶として古くから
飲まれてきたそうだ。

別名を連銭草(レンセンソウ)、疳取り草(カントリソウ)とも呼ばれる。 
連銭草の名は、丸い葉が対生に連なって付いているところからきたのだろう。
葉のふちにはノコギリ状の丸いギザギザがある。 
花は薄紫色のものの他に、ピンク色のもあるようだ。



疳取り草の名前のほうは、子どもの疳の虫をおさめるために使われたという。 
疳の虫(カンノムシ)という言葉を、今はほとんど聞かない。

夜泣き、疳の虫というのは、セットみたいなもの。 
症状をみると、交感神経の興奮様の症状に思える。 
子どもは活発なので、夜の神経といわれる副交感神経より、
昼の神経、ケンカ神経とも呼ばれる交感神経のほうが優位に
なりがちになるのではないだろうか。 
 
                  
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烏豌豆(カラスノエンドウ)

2014-04-22 13:24:56 | Weblog

カラスノエンドウが今、真っ盛りに咲いている。
清楚なピンクの花を咲かせ、群生している姿は、やわらかな葉の
色とともに美しい野草だ。 だがほとんど雑草として扱われている。

私の家の裏の、年々縮小していくわずかな自家菜園のまわりにも、
たくさん出ている。 野菜や花の苗をその近くに植えたとき、
カラスノエンドウをつかんでうっかり引き抜くと、苗に絡んだ
細いツルで、折れてしまうことがあるからやっかいだ。





だがカラスノエンドウは、古代の地中海周辺では食料として栽培されて
いたそうだ。 花が終わると、細くて小さいがキヌサヤと同じような
実をつけ食べられる。 実や若い芽は天ぷらにするのが一番いい。 
だが食べるのも今のうち。 もう少しすると、葉の根元にある蜜腺に
大量のアブラムシがついて、とてもじゃないが食べる気を失くす。




 
緑のサヤはそのままにしておくと、真っ黒くなる。 
ここからカラスの名がついたようだ。 マメ科ソラマメ属の植物。





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イヌノフグリ

2014-03-06 14:32:32 | Weblog

散歩に行くと、イヌノフグリのかわいい花が咲き始めていた。
ずっと以前、春もまだ少し遠い頃に、城跡公園を散歩していると、
遠く離れた日当たりのいい台地に、水色の絵の具を帯のように
刷いたものが見えた。 まわりは冬枯れで、植物とは思えず、
まるで青いカビのように見えた。

好奇心にかられて近づいてみると、イヌノフグリの群生だった。
この植物自体はどこにでも出ている野草だが、
小さいので、数が少ないと気がつかない人が多いかもしれない。 
あれから何年がたったのか、植生の変化は面白く、
今はその場所にはほんのわずかしか見ることができない。



この小さく可憐な花に、イヌノフグリ=犬のコーガンなどと、まるで似つかわしく
ない名前がついている。 どう見ても、この花とコーガンなど結びつかない。 
不思議に思って調べると、その種子をつけている様子からきているらしい。 
花が終わり、種をつける頃見てみると、なるほどと思わず笑ってしまった。
それにしても花にしたら迷惑な名前だろうな。

ゴマノハグサ科の野草で、仲間には金魚草(キンギョソウ)や強心剤に使われる
ジギタリス、漢方の生薬の地黄(ジオウ)などがあり、大きな分類では、驚いた
ことに桐の木までが仲間に入るようだ。
                         

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氷雪

2014-02-15 13:24:36 | Weblog
      


 もののふ  やなみ                 あられ
 武士の 矢並つくろふ小手の上に 霰たばしる那須の篠原



鎌倉幕府を開いた源 頼朝の子で、
右大臣に就いた実朝(さねとも)は、
歌人でもあり、家集の金槐和歌集がある。






いでいなば 主なき宿となりぬとも 軒端の梅よ春を忘るな



1219年1月、雪の鎌倉、鶴岡八幡宮にて暗殺される。
享年28歳。 予感していたのか、これが辞世の句となる。


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東京即席雑煮

2014-02-06 16:31:35 | Weblog

私の家では、私が小学校から高校が終わる頃まで学生下宿をしていた。
下宿人は親戚や親の友人の大学生ばかりだった。 1年365日、朝、晩の
食事を作らなければならないから、オフクロはかなりしんどかったと思う。
家族を入れて、7~9人の食事が一年中続いた。 夕方、弟を背中におんぶして、
籐の重い買い物カゴを両手にぶら下げ、疲れきって歩くオフクロの姿が目に残る。

なので簡単で大量に作れて、できるだけうまいものが工夫された。 
家でこの即席雑煮と呼んでいたものが、我が家の伝統の雑煮だった。 
両親は亡くなり、この雑煮が、今ではどこからきたものかわからない。 
東京はいろんな地方から人が集まるから、いろいろな雑煮のつくり方が、
ごちゃ混ぜになっているようだ。 この雑煮のミソは、味付けが生醤油と
バターというところ。 バターが入るが、意外にあっさりした味になる。

<つくり方>

* カツブシを用意しておく。(ダシをとっておいてもよい)

1、焼いた餅を丼に入れる。
2、そこに削りブシと生醤油を適当に入れる。
  甘い蕎麦つゆは合わない、生醤油に限る。
3、そこに熱湯をそそぐ。
4、バターを一片入れる。
5、あとは海苔、ミツバ、ゆず、菜っぱのおひたし、カマボコなどなんでもよい。

醤油とバターが思いがけなく合って、うまい雑煮ができる。


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「最後のうた」 から

2014-01-24 16:31:49 | Weblog


  
    初めての太陽が、

    新しい存在の出現にあたって

    たずねた  ― 

    おまえは誰か?


    返事はなかった。


    年また年は過ぎ去り、

    最後の日の太陽が、

    静かな夕暮れ

    西の海の岸辺で 最後の問いを投げかけた  ―

    おまえは誰か? 


    答えはなかった。             
                            』

1941・7・27 朝 カルカッタ

ラビンドラナート・タゴール(1861~1941)
インドの詩人、思想家。 
「死生の詩」森本達雄訳・人間と歴史社刊 から。


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