ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

薔薇の季節

2017-06-03 18:31:37 | 日記
 今年の5月は暑い日が多く、雨は少なかったようですが、バラは元気に咲きましたね。近くのバラ園には、毎日のようにカメラを手にした人たちが集まってきます。「ここに1日中いてもいいわ」とおっしゃるおば様たちもいて、賑やかな会話もはずんでいます。いつもは何気なく通り過ぎるバラ園ですが、「栄光」と命名されたバラに釘づけになり、しばらく佇んでしまいました。スマホのカメラではその鮮やかさがうまく出ませんでしたが、ついついカシャリ。

 栄光という名のバラ バラ園

 野バラは古くから日本にあったようですが、それに関する文献はきわめて少ないようです。中国から伝来した薔薇は「そうび」と呼ばれていましたが、和名がつかなかったために和歌などにはあまり詠まれず、「古今集」に紀貫之の歌が見えるくらいです。

 和歌ではありませんが、平安時代になると『源氏物語』の賢木(さかき)に「そうび」が登場してきます。頭の中将が勝負事に負けて勝った人たちを饗応する場面、「階(はし)のもとの薔薇(そうび)けしきばかり咲きて、春秋の花盛りよりもしめやかにをかしきほどなるに…」とあって、『白氏文集(はくしもんじゅう)』の「階(はし)の底(もと)の薔薇は夏に入って開けたり…」の影響を受けているのがわかります。花はやはり春と秋ですが、夏にもこんな花が咲くというのは驚きだったんでしょうね。

 また『枕草子』の「草の花は」の段にも登場します。撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、桔梗、朝顔、刈萱(かるかや)、菊、竜胆(りんどう)など、あれこれ面白いと思われる花を上げて清少納言の視点から述べているのですが、その最後に「薔薇(そうび)は、近くて枝の様などはむつかしけれど、をかし」とあって、枝は棘(とげ)があって嫌だけれど、雨が晴れあがった水の際(きわ)や、黒木の階段などの際に乱れ咲いた様子(特に夕映え)がいいと評しています。

 近世になると「ふるさとや…」(マイブログ)にも書きましたように、一茶の句に登場します。それでも梅や桜のように和歌や俳句に詠まれることが少なかったのは、西洋的色彩が濃かったこと、棘があったり派手に見えたり、日本の情趣に合わなかったということがあるのかもしれません。

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