oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

愛国心よりも市民権教育?

2007-03-05 | その他
主要な高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)に持ち込まれる家庭ごみや粗大ごみなどの処理費用が、2005年度で約15億6000万円と試算されることが、東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社の調べで分かった。家電や家具のほか、ペットの死骸(しがい)を捨てていくケースもある。3社はごみの持ち込みをやめるよう呼びかけているが、有効な防止策はなく、利用者のモラル低下が浮かび上がっている(YAHOOニュース内のYomiuri Onlineより)

「ほかの人だって捨てている」「人が見ていなければ」といった意識が見え隠れする。大量消費、使い捨て時代を象徴する光景は美観を損なうだけでなく、一人ひとりの心のありようを問いかけている(YAHOOニュース内の信濃毎日新聞より)

(宣教師が日本の清潔さを絶賛したときから)400年の時が流れ、「公共の場」に、家庭から出たごみを当たり前のように置いていく、そんな国に成り下がってしまった。異国の人々を驚嘆させた、あの「清潔さ」を愛(いと)おしむ精神は捨て去ってしまったのだろうか。「いや、きれい好きな国民性というのは、宣教師が訪れた時代から変わっていないように思うんです」。こう語ったのは、京(みやこ)エコロジーセンター(京都市)館長で、石川県立大学教授の高月紘(ひろし)さん(環境倫理学)。では日本人の何が変容したのか。「モラルの低下です。それにより、『街の美』というものに関心が向かなくなったんですよ。いつのころからか、『自分の周辺だけきれいだったら、それでいい』-そんな考え方になってしまった」(YAHOOニュース内の産経新聞記事より)

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ごみ問題の原因としてまず挙げられるのが、耳にたこができそうな「モラルの低下」。「モラルの低下」って「今どきの若者は・・・」と同じで、有史以来人間がずっと言い続けてきたんじゃないっけ?

400年前に来日したイエズス会宣教師が日本の清潔さを賞賛したのは、今や昔。国土がごみだらけらしい、現代日本。この違いはモラルの差?400年前の日本人は現代の日本人よりもモラルが高かったの?モラルの問題もあるかもしれないけれど、何といっても使い捨てが幅を利かす、この”楽しい”消費時代。400年前の日本と比べてごみの量が格段に多いのは、ある意味当然です。

このごみ問題の一つの原因としてわたしがモラルの低下よりも挙げたいのが、「市民権」という意識の欠如。市民権というと、市民個人の「権利」のことだけだと思いがちだけれど、権利には当然(?)「義務」がセットでついてきます。(←グリコのおまけか?)財布が許す範囲で色んな商品を買って”楽しむ”という「権利」は行使するけれど、その商品をやむなく捨てる場合はルールやエチケットを守る、という「義務」は無視。「地球温暖化防止のため、市民一人一人が○○に取り組もう」という呼びかけに対して、「自分一人が○○しても高が知れてる」という反応をする人は、義務を果たしていないと言えるのかもしれません。民主主義を(建前だけでも)標榜する社会では、個人が義務を果たさないと権利とのバランスが崩れ、今回のようなごみ問題などが発生するのは火を見るよりも明らか

市民権に伴う義務、つまり、公共の利益のために個人が守ったり行ったりすることの中には、投票に行くだけではなくて街の美観を維持することも含まれているはず。もしかして、市民権に伴う義務って選挙のとき投票に行くことだけ、って思っている人が多いのかも。「Founding Fathers (建国の父)」と呼ばれるアメリカ建国時の政治家が今の日本の現状を見たら、「ほらな!おバカで自分の私利私欲にしか興味がない一般市民に市民権などを与えるからこんなことになるのだ!市民権を行使するのは、徳(virtue)のある高潔なエリートだけに限定すればいいんだ!」と言いかねない?

市民の「権利」を行使して人生をそれなりに楽しんでいるけれど、市民が果たす「義務」は無視。今の日本に必要なのは愛国心を養うよりも、権利と義務が表裏一体である市民権に対する意識を高めることかもしれません。

(写真は建国の父の一人、トーマス・ジェファソン像。去年の11月、首都ワシントンで撮影。ジェファソンが現代日本のごみ問題を見たら、「おバカな一般庶民からは市民権を没収じゃあ~!!」と言いかねない?)

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4 コメント

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ゴミ。。 (ikura)
2007-03-05 17:52:04
ゴミに関しては、今は一つ買ったらそれをながーく大切に使うよりも、例えば、紙コップのようにじゃんじゃん買ってほいほい捨てるほうが時間の節約、(掃除、手入れの省略)、小銭(掃除などに使う水、洗剤)の節約にもなる、、という感じなんでしょう。すぐに壊れる、しかし安いから今すぐ手に入れる事ができる、で、買い捲ってしまう。世の中物で溢れてますね。パンのシール集めるとお皿、トーとバックもらえるからってたいして必要ないのにただだから貰う。飽きたらリサイクルショップへGO!だ、友達にあげよう。。そんな安易な事で物を手に入れるのもいけないですね。以前私はブログで「ばかうけのマーク貯めてタオルをもらう」なんて言ってましたが捨てる事にしました。
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モノ (しんのすけ)
2007-03-06 05:48:38
わたしも「タダ」とか「プレゼント」とかいう言葉に弱いです。それに、100円ショップが乱立しているのも、使い捨てが増える原因かなと思います。簡単に買ったものって、捨てるのも簡単ですもんね。わたしは、記事になったような不当放棄はしなきけれど、モノとの付き合い方というのはわたしの大きな課題です。
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美しい日本 (蘭丸)
2007-03-06 11:33:41
「美しい国」
安倍首相がよく口にする言葉ですが、
具体的にこういう問題についてはどう思われてるんでしょうね?

今、家に溜め込んだ「ガラクタ」を処分している最中なので
もちろん不法投棄などはしていませんが
ゴミを増やしている一人の日本人としては
ちょっとこの記事は耳が痛いです(;^^

これからは「ガラクタ」を家に溜め込まない人間に生まれ変われる様に努力します!
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ごみ (しんのすけ)
2007-03-07 10:23:35
首相のいう「美しい国」ってほんとなんなんだろう?(←本読めってか?)ごみを捨てるよりは、まずはモノを家に入れないのが先でしょうね。理屈は簡単なんだけれど、わたしもモノとの付き合い方に関しては偉そうなことを言えません。
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