8月11日、NY外国為替市場では、ドルが売られ、対円では
一時、6週間振りの安値の1ドル=109.65 円まで値下がりした。
ドルは、対ユーロでも売られ、前日の1ユーロ=1.2375ドルから
1ユーロ=1.2402ドルまで、対英ポンドでは、同じく1英ポンド=
1.7951ドルから1.8090ドルへそれぞれ値下がりした。
米国では、7月の小売り高が1.8%伸びたこと、米国の新規
失業保険申請件数が予想以上減ったことはドル相場に
さほどインパクトを与えなかったようだ。
アメリカの中央銀行である米FRB(連邦準備制度理事会)は
先日短期金利を0.25%上げ年3.5%としたが、ドル買いの
材料にはならなかった。
米国の10年物国債が値上り(利回りは低下)して、落ち着いた
動きを示したこともドル買いにブレーキをかけたかもしれない。
原油相場がこの日、瞬間的ながら、過去最高のバレル66ドルを
記録したが材料視されなかった。
この日のドル売りの主役は日経ダウが4年振りの高値を更新した
ことである。
衆議院解散後、日経ダウがほぼ500ポイト値上りしたことが
ドル売り、円買いを刺激した。ここ3営業日だけで、ドルが対円で
1.6%値下りしたことが端的に示している。
中国の7月の貿易黒字が1年前の19.7億ドルから104億ドルへ
急増したとの発表を受けて、中国総合株価指数が1.6%値上りした
ことから、人民元切り上げに対する思惑が改めて広がったことも
円買いを刺激したようだ。
人民元切り上げは円高を連想させる傾向が強いから、円が対ドルで
買われ易い(ドルは対円で売られ易い)。
日本株は、小売り、不動産、銀行、保険、証券と俗にいう内需関連株
中心に幅広い銘柄で買われた。
日本株は外人がキャスティングボートを握っている。
外人は、小泉支持率が予想以上に高いこと、失業率が
4.2%へ低下したこと、堅調な機械受注高は企業の
設備投資意欲が旺盛なことを裏付けているとして
日本経済の底型さを再評価したのかもしれない。
外人買いにとどまらず、日本人買いにも増加の兆しが
見られる。
日本の株式投信残高が7月度、32兆6,592億円と
14年振りの高水準に達したことも、金利ゼロに近い
定期預金から株式へのシフトがようやく進み始めたことも
日経ダウ上昇を助けているようだ。
日本発のデータの中には都合のいい情報ばかりではない。
日本の財務省は、6月の経常黒字額が、原油が前年比48.5%
増えたことが響いて、輸入が増え、15.3%減少し、
1.087兆円となったと発表した。5月も前年比19.5%
減少した。
6月データでは、輸入が13.1%増加して4.232兆円、輸出が
3.7%増え5.231兆円と輸出の伸びが減り、輸入額が急増した
ためである。
現在までのところ輸入原油はバレル45ドル前後といわれているが、
これが50ドル、60ドル、70ドルへ上がらない保証はないだろう。
日本の石油メーカーも、60ドル原油は行き過ぎだが、
再び30ドルとか20ドル台の原油はもはや期待出来ないと
見ているようだ。
ドルベースでの値上がりが比較的落ちついているのは、
為替レートが1ドル=110円前後で落ちついていることが
円ベースでの値上りを低く抑える効果が大きい。
為替レートは経常収支を基本的には反映するから、
黒字の間はいいが、状況が一変すれば円を平気で売って
来るのが相場の非情なところである。
いずれにしろ、日本株高や日本発のデータが円買い材料に
されたことは最近では例を見ない珍しい出来事である。
日本人は山登りでも3合目当たりでは気がつかない。7合目か
8合目かへ外国人が登っていると慌てて飛び乗る傾向が強い。
外人が自分で温泉を探して湯につかり、いい湯加減だということで
風呂から上がる頃になって、日本人は風呂にはいってくるとよくいわれる。
今はまだ、はしりだから心配は要らないが、日本人がどっと株式市場に
参加してくるときが一番危ない。
日米データ、ドル下げる。
原油、為替、金利の3点セットには引き続き目を離すことは出来ない。(了)
一時、6週間振りの安値の1ドル=109.65 円まで値下がりした。
ドルは、対ユーロでも売られ、前日の1ユーロ=1.2375ドルから
1ユーロ=1.2402ドルまで、対英ポンドでは、同じく1英ポンド=
1.7951ドルから1.8090ドルへそれぞれ値下がりした。
米国では、7月の小売り高が1.8%伸びたこと、米国の新規
失業保険申請件数が予想以上減ったことはドル相場に
さほどインパクトを与えなかったようだ。
アメリカの中央銀行である米FRB(連邦準備制度理事会)は
先日短期金利を0.25%上げ年3.5%としたが、ドル買いの
材料にはならなかった。
米国の10年物国債が値上り(利回りは低下)して、落ち着いた
動きを示したこともドル買いにブレーキをかけたかもしれない。
原油相場がこの日、瞬間的ながら、過去最高のバレル66ドルを
記録したが材料視されなかった。
この日のドル売りの主役は日経ダウが4年振りの高値を更新した
ことである。
衆議院解散後、日経ダウがほぼ500ポイト値上りしたことが
ドル売り、円買いを刺激した。ここ3営業日だけで、ドルが対円で
1.6%値下りしたことが端的に示している。
中国の7月の貿易黒字が1年前の19.7億ドルから104億ドルへ
急増したとの発表を受けて、中国総合株価指数が1.6%値上りした
ことから、人民元切り上げに対する思惑が改めて広がったことも
円買いを刺激したようだ。
人民元切り上げは円高を連想させる傾向が強いから、円が対ドルで
買われ易い(ドルは対円で売られ易い)。
日本株は、小売り、不動産、銀行、保険、証券と俗にいう内需関連株
中心に幅広い銘柄で買われた。
日本株は外人がキャスティングボートを握っている。
外人は、小泉支持率が予想以上に高いこと、失業率が
4.2%へ低下したこと、堅調な機械受注高は企業の
設備投資意欲が旺盛なことを裏付けているとして
日本経済の底型さを再評価したのかもしれない。
外人買いにとどまらず、日本人買いにも増加の兆しが
見られる。
日本の株式投信残高が7月度、32兆6,592億円と
14年振りの高水準に達したことも、金利ゼロに近い
定期預金から株式へのシフトがようやく進み始めたことも
日経ダウ上昇を助けているようだ。
日本発のデータの中には都合のいい情報ばかりではない。
日本の財務省は、6月の経常黒字額が、原油が前年比48.5%
増えたことが響いて、輸入が増え、15.3%減少し、
1.087兆円となったと発表した。5月も前年比19.5%
減少した。
6月データでは、輸入が13.1%増加して4.232兆円、輸出が
3.7%増え5.231兆円と輸出の伸びが減り、輸入額が急増した
ためである。
現在までのところ輸入原油はバレル45ドル前後といわれているが、
これが50ドル、60ドル、70ドルへ上がらない保証はないだろう。
日本の石油メーカーも、60ドル原油は行き過ぎだが、
再び30ドルとか20ドル台の原油はもはや期待出来ないと
見ているようだ。
ドルベースでの値上がりが比較的落ちついているのは、
為替レートが1ドル=110円前後で落ちついていることが
円ベースでの値上りを低く抑える効果が大きい。
為替レートは経常収支を基本的には反映するから、
黒字の間はいいが、状況が一変すれば円を平気で売って
来るのが相場の非情なところである。
いずれにしろ、日本株高や日本発のデータが円買い材料に
されたことは最近では例を見ない珍しい出来事である。
日本人は山登りでも3合目当たりでは気がつかない。7合目か
8合目かへ外国人が登っていると慌てて飛び乗る傾向が強い。
外人が自分で温泉を探して湯につかり、いい湯加減だということで
風呂から上がる頃になって、日本人は風呂にはいってくるとよくいわれる。
今はまだ、はしりだから心配は要らないが、日本人がどっと株式市場に
参加してくるときが一番危ない。
日米データ、ドル下げる。
原油、為替、金利の3点セットには引き続き目を離すことは出来ない。(了)